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糸電話が楽器に!世界でたったひとつの楽器「ストリングラフィ」とは?

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2017/10/03 西門香央里

© Excite Bit 提供

糸電話といえば、2つの紙コップの間に糸を張って会話をする簡易電話。小さい頃に遊んだ記憶はありませんか?実はこの糸電話を使った楽器があるんです。

「糸電話が楽器に?」

と思うかもしれません。実際に筆者も思いました。しかも、この楽器を日本人が生み出し、日本にしか存在しないというのですから。これは見に行かなければ!

ということで、今回は糸電話でできた世界で一つしかない楽器「Stringrapgy(ストリングラフィ)」を見に行ってきました。

糸電話でできた「ストリングラフィ」とは?

糸電話でできた楽器「ストリングラフィ」は、作曲家の水嶋一江さんによって考案された「オリジナル楽器」と「演奏スタイル」の総称。糸や弦楽器を意味する「String」と、グラフィックアートの作品を意味する「Graphic」の2つの言葉を合わせ「Stringraphy(ストリングラフィ)」と、考案した水嶋さんによりネーミングされました。

「糸電話の原理を応用し、絹糸の両端に紙コップを取りつけたシンプルな構造の楽器」とのことですが、今回はこのストリングラフィを実際に見て音を聞きたい! ということで、水嶋さんが経営する世田谷にあるスタジオ「スタジオ・イヴ」へ訪問をさせていただきました。

まず、館内に案内されてスタジオのドアを開けると、広いスペースに、四方に糸が張り巡らされています。

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これがストリングラフィです。かなり大きな楽器です。よく見ると、糸の両端には紙コップがありますね。

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これが楽器になり音を奏でるとは想像がつかないのですが…。どこをどう見ても、よく見る紙コップで作られた「糸電話」なのですから! これがどんな風な音を奏でるのでしょうか。

実際にその場で演奏していただいた動画があるので、ご覧ください。演奏していただいたのは、ハッハベルの楽曲「カノン」です。

動画で見ていただいたように、まるで弦楽器のバイオリンのような、でもギターのような、そして打楽器のような音を出すのです。その音色は糸電話で作られたものとは思えないほどの迫力です。

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考案した水嶋さんの話だと

「ストリングラフィは、手で擦ったり、弾いたりすることによって様々な音色が出ます。バイオリンのような音を出すことが多いのですが、動物の鳴き声だって再現できますよ」

とのこと。実に音色の幅が広い楽器なのですね。

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ストリングラフィの基本の形は、ソプラノ、アルト、ベースの3セット。写真のように両端に支柱を立てて、その間に絹糸をピン!と張り、1本ずつドレミファソラシドに調弦しています。張られる糸の長さは一番短いもの(高音弦)で約1メートル、長いもの(低音弦)は約13メートルもあるそう。

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「場所によって糸の張り方は変わりますが、基本的にはN字型に貼ることが多いですね。体育館のような場所で演奏する時は、体育館全体に糸を張って、お客様には楽器の間に座っていただいて、ストリングラフィの中で演奏を聴く、というような形になることもあります」

「ストリングラフィ」はどうやって生まれたのか?

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そもそも、ストリングラフィはどうやって生まれたのでしょうか?「なぜ糸電話で作ったの?」ということで、お聞きしてみました。

「『ストリングラフィ』が生まれたきっかけは、1992年に山形県月山の麓で行われたパフォーマンス・フェスティバルに参加したことからでした。この時に、『森の中の木々の間に糸を張り、森全体を楽器にしてみたい』と思いつき、やってみたのです。

ただ、糸を張っただけでは音が出ないので、糸の両端に『共鳴体』として、紙コップをつけてみたら、大きな音が出たんです。これが『ストリングラフィ』の原型になりました」

実際にストリングラフィからは、想像以上に大きな音が出ます。紙でできた小さなコップがいい共鳴体になっているのです。ただ、この紙コップに行き着くまでにはざまざまな実験も行ったとか。

「他にもペットボトルや、カンなどでも試してみましたが、厚さがありあまりいい音が出ませんでした。そんな中で試行錯誤しながらたどり着いたのが紙コップだったんです。音は振動で伝わりますから、その振動を一番うまく伝えてくれるのが、紙だったのです」

この「ストリングラフィ」を始めてから、2017年で25年が経つといいます。水嶋さんの話ですと、年月が経つにつれて音がどんどん変わっていっているのだとか。

「楽器は年月を重ねていくにつれて、音が変わっていきます。それを『エイジング』と言いますが、ストリングラフィの紙コップにも同様のことが起こるんです。たくさん弾いてあげれば弾いてあげるほど、紙コップが熟成されて、より良い音が出るようになるんですよ」

なんと! 紙コップも長く使ってあげれば、熟されていい音になるとは驚きです。

「今のストリングラフィで使われている紙コップは、長いもので20年くらい経ちます。この25年の間に紙コップの素材が変わったりなどしてきていて、昔の竹の素材で作られた紙コップが一番良い音が出ますね」

もっともっと長く使っていれば、紙コップが熟成されてより良い音になっていくのでしょうね。10年後のストリングラフィはどんな音になっていくのかが楽しみです。

「嵐のワクワク学校」で嵐とも共演!

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ストリングラフィは様々な場所での演奏会を行っています。

「学校以外にもリハビリ施設やフェスティバル、私たちのスタジオでの定期コンサートなども行っています。たくさんの方にストリングラフィを知っていただく機会を作りたいと思っていますので。

最近では、テレビ番組の『ぶらり途中下車の旅』でも取り上げていただきました」

そんな様々なイベントに参加する中で、2016年にはあのジャニーズの人気グループ「嵐」のイベント「嵐のワクワク学校」に参加したそう。

嵐のワクワク学校は、東日本大震災をきっかけに生まれたチャリティーイベント。東京ドーム、京セラドームを大きな「学校」に見立てて、嵐の5人が先生となって授業を行います。毎年テーマが異なり、ストリングラフィが参加した2016年は「嵐のワクワク学校2016〜毎日がもっと輝く5つの自由研究〜」というテーマで開催されました。

「私たちは、二宮和也さんの出した自由研究の課題『トイレットペーパーの芯の可能性を探る』というテーマで参加しました。その名の通り、トイレットペーパーの芯を使ってストリングラフィを作ったのですが、トイレットペーパーの芯に紙の蓋を作るというところから始まり、とても大変でした。

でも、二宮さんの真剣さや真摯さ、ジャニーズのスタッフたちの強い思いもあり、大成功に終わりました。彼らの課題に対するまっすぐな思いは本当に素晴らしいものでしたね。このイベントは、私たちにとってもいい思い出になり、いい経験になりました」

残念ながらここでは写真などはお見せできませんが、掲載された雑誌を見せていただきました。トイレットペーパーでできたストリングラフィを演奏する二宮くんの姿は、とても素敵なものでした。

世界でここにしかない「ストリングラフィ」

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ここまで紹介してきたストリングラフィですが、実はこの「スタジオ・イヴ」にしかない、世界でたった一つの楽器なのです。つまり、ストリングラフィの演奏は日本でしか聞けないし、見ることができないのです。

「最近では、トリップアドバイザーを見て、海外から見に来られる方も増えてきました。世界でここにしかない楽器ですから、珍しいのでしょうね」

スタジオ・イヴでは定期的に「繭の色の演奏会」というカジュアル・ライブや、子供向けの「糸の森の音楽会」というライブを行っています。「ストリングラフィの音色を聞いてみたい!」と思ったら、ぜひ訪れてみてください。

一度聞いたら忘れられない不思議な楽器の、美しい音色をこの目と耳で確かめて、紙コップでできたシンプルな糸電話の奥深さを感じてみてくださいね。

(西門香央里)

スタジオ・イヴ

住所:〒156-0043 東京都世田谷区松原1-4-13

TEL:03-5376-3633(オフィス、スタジオ)

FAX:03-5376-8055(オフィス、スタジオ)

http://stringraphy.com/

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