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総務省の新ガイドラインが中古携帯業界に与える影響

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/08/27
総務省の新ガイドラインが中古携帯業界に与える影響: 2015年に携帯料金とサービスのタスクフォースが始まり、そこで策定したガイドラインのフォローアップ会合が2016年に開催された © ITmedia Mobile 提供 2015年に携帯料金とサービスのタスクフォースが始まり、そこで策定したガイドラインのフォローアップ会合が2016年に開催された

 実質0円の廃止や長期利用ユーザーの優遇などで大きく変動している携帯電話業界。2017年1月10日には総務省が「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」を策定し、SIMロック解除期間の短縮やキャリアの下取り金額の見直しが行われます。今回はこの指針が中古携帯業界に与える影響について解説します。

 最初に、これまでのいきさつを時系列でまとめました。

2015年

・安倍晋三首相が携帯電話料金引き下げに言及

・総務省ICT安心・安全研究会が「携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース」を数回実施

2016年

・4月1日に「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を発表。実質0円にメスが入る

・8月2日に公正取引委員会が報告書「携帯電話市場における競争政策上の課題について」公表。携帯電話業界が独占禁止法に抵触しないか、中古携帯端末の流通促進についても触れられている

 端末メーカーやMNOを含め、中古端末購入者が、当該中古端末をどのように購入・処分するかは本来自由であるが、端末メーカー又はMNOが、不当に高い価格で中古端末を購入する場合には、独占禁止法上問題となるおそれがある(不当高価購入、取引妨害等)。

 また、中古端末の処分に関連して、下記の行為を行う場合、MVNOの新規参入を阻害することにもつながり、独占禁止法上問題となるおそれがある。

・端末メーカーが、MNOに対し、MNOが下取りを行った端末を国内で再び流通させることを禁止するなど、MNOによる中古端末の流通を制限する行為(拘束条件付取引、取引妨害等)

・MNOや端末メーカーが、自らが下取りした端末を第三者に販売するに当たり、第三者に対し国内市場での販売を制限する行為(拘束条件付取引等)

※出典:携帯電話市場における競争政策上の課題について

・10月から「モバイルサービスの提供条件・端末に関するフォローアップ会合」を開催。SIMロック解除やキャリアの下取り価格等について議論される

2017年

・1月10日に「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」策定

 「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」では、

・SIMロック解除の円滑な実施に関するガイドライン

・スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン

 という2つのガイドラインが改正、統合されました。それぞれのガイドラインの趣旨と改正ポイントは、以下の通りです。

SIMロック解除の円滑な実施に関するガイドライン

・趣旨:SIMロック解除の円滑な実施に向けて策定されたガイドライン。

・改正のポイント

(1)端末購入からSIMロック解除が可能になるまでの期間の短縮。割賦払いの場合は100日程度以下(※これまでは180日のため、80日程度短くなった)。2017年8月1日から適用

(2)端末購入からSIMロック解除が可能となるまでの期間の短縮。一括払いの場合は支払いを確認できるまでの期間。2017年12月1日から適用

(3)解約時に、原則としてSIMロック解除を可能にする。2017年5月1日から適用

(4)MVNO向けSIMロックの廃止。2017年8月1日以降に発売される端末から適用

スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン

・趣旨:スマートフォンを購入する際に行われている高額な割引を是正し、適正化するために策定されたガイドライン

・改正のポイント

(1)フィーチャーフォン(3G)からスマートフォン(LTE)への事業者間での移行を、自社内の移行と同等に促進させる。2017年2月1日から適用

(2)1カ月未満の期間限定で行う販売奨励金を合理的な額にすること。2017年2月1日から適用

(3)端末購入者に求める合理的な額の負担を明確にすること。具体的には、2年前の同型機種の下取り価格以上。2017年6月1日以降に発売される端末から適用

 この指針により、

・SIMロック解除期間が短縮されたことで、今まで以上に国内外問わず他キャリアのSIMや格安SIMが使いやすくなる

・実質0円がなくなるため、消費者にとって通信料金や端末代金の負担が増えたように感じる

・過度なインセンティブや実質0円がなくなるため、新規契約やMNP契約が減る

 などのプラスマイナスの影響が出るといわれています。

 そんな中、「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」は、中古携帯業界にどんな影響を及ぼすのでしょうか?

中古業界にとってプラス面

SIMロック解除の短縮化

・消費者は、ロック解除端末を高値で販売できる可能性が増える。※iPhoneのように海外でも人気がある端末は、SIMロックが解除された端末の方が、ロック未解除の端末よりも高く売れるため

・中古携帯事業者は、今までより早くロック解除済み端末を入手できる。また消費者にとっても、今までより早くロック解除端末が中古で購入しやすくなる

・格安SIMを取り扱っている中古携帯業者は、SIMロック解除済みのスマートフォンを格安SIMとのセットで売りやすくなる。その結果、MVNO業界の発展に寄与する

・格安SIMを取り扱っていない中古携帯業者でも、格安SIMユーザーに対して、SIMロック解除済み端末を販売しやすくなる

・SIMロック解除が短縮化されることで、キャリアやMVNOが販売する端末代金が高額になる可能性がある。そうなった場合、中古端末の安さがより際立ち、価格面でのメリットが増える

端末購入適正化

・端末の実質負担額を、2年前の同型機種の下取り価格以上を目安とするため、キャリアの下取り価格が低廉化する恐れがある。これによって、中古店の方が高く買い取れるようになると、日本の中古市場に出回るiPhoneが増える可能性がある(キャリアが下取りしたiPhoneは、海外に転売されている)

中古業界にとってマイナス面

SIMロック解除

・auの中古スマホの利便性が下がる。

 KDDIは、改正前では契約者本人でなくてもSIMロック解除できたが(中古auスマホでもSIMロック解除できた)、改正後には、契約者本人でないとSIMロック解除できないように改悪された。

端末購入適正化

・新品端末が流通しなくなって中古事業者の仕入れが減るため、最新機種を消費者に提供できない

 9月には新型iPhoneが発売されるといわれています。そこで注目したいのが、今から2年前に発売された「iPhone 6s」の下取り価格です。2017年後半の中古業界の盛り上がりは、iPhone 6sがカギを握っているといえます。

●著者プロフィール

粟津浜一

株式会社携帯市場 代表取締役

 1979年岐阜県生まれ。2004年筑波大学大学院理工学研究科修士課程修了。その後ブラザー工業にて、さまざまな研究開発業務に従事。2009年株式会社アワーズ設立、社長に就任。2017年株式会社携帯市場に社名変更。中古携帯を日本中に文化として広めることをビジョンとして、中古携帯市場動向セミナー、事業説明セミナーを行い、これまでに1000以上の店舗に中古携帯事業を展開、コンサルティングを行っている。

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