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脳にチップを埋め込む時代はもうすぐ? イーロン・マスクが目指すこと

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/04/29
脳にチップを埋め込む時代はもうすぐ? イーロン・マスクが目指すこと: イーロン・マスク氏(火星コロニー計画発表動画より) © ITmedia PC USER 提供 イーロン・マスク氏(火星コロニー計画発表動画より)

 Teslaで電気自動車を、SpaceXで宇宙ロケットを開発しているイーロン・マスク氏が、今度は脳に埋め込む無線チップ開発会社のNeuralinkを立ち上げました(彼は最近、トンネル掘削マシン企業のBoringも立ち上げています)。

 このチップの目的は、脳で考えたことを人間同士、あるいはコンピュータ(AIシステム)とダイレクトにやりとりすることです。そう、Facebookが開発している「脳から考えをダイレクトに出力するシステム」と同じ目的です。Facebookのレジーナ・デューガン氏は「効率が悪い」とした外科手術によるチップ埋め込み方式なところが大きな違いとなります。

 マスク氏の取り組みを紹介したWait but Whyの記事(3万8000ワードあるけどすごく面白いので、ゴールデンウイークにおすすめ)を読んで、確かに効率は悪そうだけど、実現不可能じゃなさそうだと思いました。

 技術的、法律的、人の気持ち的にも……障壁がたくさんあるので実現が何年先になるか分かりませんが、マスク氏は10年先には一般ユーザー向けに実用化したいそうです。Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは「同社のシステムは25年後には使えていないと残念だよね」と言っており、AIの権威であるラメズ・ナム氏は50年後と予測しています。

 脳に何かを埋め込んで人間をサポートする技術「BMI(Brain Machine Interface)」の研究開発は既にかなり進んでいて、日本語だと産業技術総合研究所の長谷川良平博士の論文などが参考になります。現状は主に非健常者のサポート目的で研究が進められていますが、FacebookやNeuralinkが目指すのは、健常者の脳を拡張する機能としてのツールです。

 念じるだけで考えを送受信できるなんて、全くもって攻殻機動隊の世界ですが、今の技術の地続きにあるんですね。

 脳の働きは完全に解明されていませんが、人間はこれまでも理解していないものを便利に使うための道具はいくらでも発明・活用してきているので、そこはあまり問題ではありません。現に今のBMIも「脳のこの部分がこの感覚をつかさどっているんだな」というブラックボックスの反応から推測してツールを開発しています。

 頭蓋骨に穴を開けてチップを埋め込むなんて、今はまだ生理的に気持ち悪いものですが、マスク氏は「レーシック手術くらい手軽で安価なものにしたい」と語っています。実用化してある程度普及してしまえば、「今度の週末にチップを埋めてくるね」みたいな日常になるのかもしれません。

 無線にするには相当なサイズのチップになるだろうとか、充電はどうするんだよとか、そういう技術的な懸念は、コンピュータではENIAC(1946年開発の電子計算機で巨大)がiPhoneのサイズになるのに65年くらいしかかかっていないし、ムーアの法則と同じようにBMI技術も進歩していくと考えてれば、割と早く何とかなりそうです。参考までに、カリフォルニア大学バークリー校のラボが研究している「NEURAL DUST」の図も紹介します。

 シンギュラリティや人間による悪用の問題について、マスク氏はどちらかというと心配している側ですが、記事中のインタビューで、「警鐘を鳴らしてもあまり耳を傾けてもらえなかった」から自分で正しい方向に持っていこうと思ったと語ってます。

 もし生きているうちに実用化されたら使ってみたいなー。でも、全く新しいユーザーインタフェースになるので、慣れるのは大変そうです。

 今の高齢者が画面のタップやスワイプといった操作を覚えるのが容易でないように、高齢になってから脳で念じて出力する技術を身につけるのは難しいかもしれません。若者に「このおばあちゃん、考えダダ漏れだよ」とか困られるのかと思うと、ちょっと不安になります。

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