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自作は面倒だけど良質なRyzen 7搭載マシンが欲しい! 「G-Master Spear X370A」実力検証

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/04/24
自作は面倒だけど良質なRyzen 7搭載マシンが欲しい! 「G-Master Spear X370A」実力検証: 画像:ITmedia © ITmedia PC USER 提供 画像:ITmedia

●「Intelと互角なRyzen 7」を採用したBTOゲーミングPCが登場

 サイコムのカスタムPC、特にRyzen 7を搭載するPCは、ミドルタワーから、ゲーミング、静音まで、一挙3シリーズが登場した。

 ここでレビューする「G-Master Spear X370A」は、製品名の通りゲーミングモデルだ。標準構成ではRyzen 7 1700にGeForce GTX 1060グラフィックスカードを組み合わせており、人気のタイトルをフルHDで、標準〜高画質設定で楽しめるパフォーマンスレンジに位置する。そしてもちろん、カスタマイズによってより高いパフォーマンスを目指すこともできる。

 サイコムの特徴は、BTOメーカーでありながら、標準構成でも価格、性能、静音性などでバランスのとれたPCを提示している点だ。他メーカーのように、価格を訴求する最も低価格な構成を提示しているわけではないし、過剰なスペックを提示しているわけでもない。

 だから、まずこの標準構成を選べば「ゲーミングPC」として間違いのないスペックが入手できる。さらにより高性能を求めるならばハイエンドパーツを、ちょっと予算が届かなかったらスペックを引き下げる方向のオプションもあるほか、手元のパーツを使い回すのであれば一部のパーツに関しては「なし」も選べる。

 例えば、G-Master Spear X370Aでいえば、CPUの選択肢はRyzen 7 1800Xまで、グラフィックスカードもGeForce GTX 1080 TiやTITAN Xまで、ストレージならM.2のNVMe対応SSDが組み合わせられるので、標準構成ではフルHD標準画質狙いのPCが、最強構成では4K高画質狙いのPCへと変わる。ここがサイコムのBTOパソコンの強みだ。

 また、標準構成の中でもこだわる部分には徹底的にこだわっているのがもう1つの見どころだ。ゲーミングPCでポイントとなるのは、ハイエンド構成を詰め込むための冷却性能や、ハイエンド構成に十分余裕を持った電源など。こうした点にも注目しながら見ていきたい。

 さて、今回はCPUをRyzen 7 1800Xに、メモリをCrucial BLS2K16G4D240FSB(DDR4-2400、16GB×2)に、ストレージを東芝製SSD「THNSN9480GESG」に、ほかケースの側面板をクリアタイプに、ケースオプションのLEDテープを追加した構成の評価機を入手した。これでサイト上の見積もりを使って計算すると、21万6950円(別途送料1500円)になる。

●注目はケースと電源のゲーミングPCらしいチョイス

 評価機に採用されているケースは、Cooler Masterのミドルタワーモデル「CM690III」だ。通気性のよい前面メッシュ構造に、前面下部には大口径の20cm径ファンを、背面に12cm角ファンを搭載しており、さらに天板や底面、側面板にもファンを追加できる冷却性能特化型の製品である。

 天板部は240mmサイズの簡易水冷ラジエーターも搭載可能。このようにカスタマイズ性に優れた製品で、もちろんBTOオプションでもファンの追加やクリアサイドパネルへの変更に対応しており、ほか120mmサイズとなるが簡易水冷ラジエータのオプションも用意されている。

 さらに内部を見ると、5インチベイ×3、3.5インチシャドーベイ×7、2.5インチシャドーベイは3.5インチとの共用×7にプラスして3基搭載できるなど、ストレージの収容力もかなり高い。BTOオプションではセカンダリーストレージまで搭載でき、3基以上の搭載はユーザーが行なうことになるが、トレイ式の3.5インチシャドーベイなのでメンテナンス性もまずまずだ。ケースのサイズは230(幅)×502(奥行き)×507(高さ)mm。ミドルタワーとしては標準的なところで、主に床置きで運用するスタイルになるだろう。

 ちなみに、評価機では赤色LEDテープを用いた電飾も印象的だった。こちらは変更価格が2450円。ちょっとした価格で雰囲気を変えられるので、予算が余った時に検討してみたい。

 電源は標準構成でも採用されているCooler Masterの「V750 Semi-Modular」。製品名の通り出力が750Wのセミプラグイン方式のモデルだ。80PLUS Gold認証でAC−DC変換の効率も高い。ノイズを抑えた設計も特徴で、CPUやGPUに高負荷のかかるゲーミング用途でも安心感が高い。

 なお、標準構成のRyzen 7 1700にGeForce GTX 1060カードという組み合わせであれば750Wの50%も使うかどうかというところだろう。かなり余裕をもった出力なので、購入後のパーツ追加や換装などでの対応力も高い。つまり、購入してから2年3年経てば、より強力なグラフィックスカードが登場しているはずだが、そうした製品に載せ替えることで、長く愛着をもって使い続けることができるわけだ。

●CPUクーラーは高性能な市販モデルを採用

 CPUは前述の通りRyzen 7 1800Xが搭載されている。Ryzen 7の最初のラインアップの最上位モデルだ。8コア/16スレッドに対応したCPUで、これまでなら4コア程度がメインストリームだったところ、一気に倍のCPUコアを詰め込み、パフォーマンスレンジを引き上げた。動作クロックもベースが3.6GHz、ブースト時が4GHzと高めの設定だ。

 なお、執筆時点ではRyzen 7の3製品すべてが選択可能だ。Ryzen 7は最エントリーの1700でもCore i7-7700対抗、1800や1800XはLGA2011-v3版Core i7対抗の製品でハイエンド寄りの構成になる。コストパフォーマンスのよいゲーミングPCが欲しい方は、Core i5対抗となるRyzen 5を選択するといい。

 CPUクーラーは、標準構成でリテールクーラーではなくMSI「CORE FROZR L」が採用されている。当然、冷却性能も静音性もリテールクーラーを大きく上回り、前述したサイコムのゲーミングPCへのこだわりを強く感じられる部分である。

 構造としてはシングルタワーのサイドフロー型でシングルファン。市販のCPUクーラーとしてはスタンダードなスペックだが、MSIが同社のグラフィックスカード用クーラー「TWIN FROZR」で培ってきた技術をCPUクーラーに還元したもので、静音性と冷却性能の高さが魅力だ。また、ヒートシンクのトップカバーには同社のGamingエンブレムがアクセントとなっており、クリアサイドパネルのケースと合わせた際の「見た目」がよい。合わせてLEDを搭載しており発光も楽しめる。

 メモリはヒートシンクを搭載したDDR4-2400メモリのCrucial Ballistix「BLS2K16G4D240FSB」が搭載されていた。容量は32GBで16GB×2枚の構成だ。標準構成ではメジャーチップのDDR4-2400の4GB×2枚。G-Master Spear X370Aは64GB構成(DIMM 4枚)を除けばDDR4-2400を採用しており、この点でRyzen 7の8コア構成のパフォーマンスを引き出せる内容だ。

 ご存じの通り、Ryzen 7は現状でサポートされるメモリの枚数や動作クロックの組み合わせが少々難しい。デュアルランクとシングルランクによってDDR4-1866〜2666まで動作クロックが決まってしまう。自作初心者からすると少々判断が難しいところだが、G-Master Spear X370AはBTOパソコンである。サイコムが独自に検証した「間違いのない組み合わせ」だから安心だ。特に発売まもないプラットフォームでBIOSなど最適化がまだ足りない状況では、BTOパソコンを選ぶメリットが大きい。

 マザーボードはG-Master Spear X370Aの製品名の通りAMD X370を搭載するマザーボードになる。標準構成ではASRock「Fatal1ty X370 Gaming K4」で、評価機もこれを搭載していた。このほかにもASUSTeKやMSIのAMD X370搭載マザーボードも選べる。

 一方で、G-Master Spear X370Aの製品名とは矛盾が生じるが、AMD B350搭載マザーボードのオプションも用意されている。2つのチップセットの違いは、実質的にマルチGPU(SLI)に対応するかどうかといった点のみ。自己責任にはなるが、オーバークロックは2つのチップセットのどちらもサポートしているので、IntelのZ270とH270の機能差とは少し異なる。ここを押さえれば、少しコストを抑えられる。

 Fatal1ty X370 Gaming K4は、ASRockのAMD X370マザーボードとしては現状3モデル中では下位にあたるが、スタンダードゲーミングマザーのグレードになる。LED電飾はもちろん、オーディオ機能などゲーミング用途を意識した製品だ。CPU電源回路も、安定性を重視して12フェーズのデジタルPWM回路というリッチな構成。Ryzen 7ではグラフィックスカードの搭載が必須となるため、2本のPCI Express x16スロット(SLIおよびCrossFireに対応)には、スチール製のカバーを設けて、グラフィックスカードの自重によるたわみを防止している。

 このほか、ストレージでは6基のSerial ATA 3.0ポートに、2基のM.2(Gen3 x4+Gen2 x2)を搭載。もちろんBTOオプションとしてM.2 NVMe SSDも用意されている。そしてUSB 3.1 Gen2 Type-Cポートも用意されているので、インタフェースとして見ればIntelチップセットを搭載したマザーボードとほぼ同等のスペックになっている(Optaneには対応しない)。

●GeForce GTX 1060を搭載したリファレンスデザインカード

 グラフィックスカードは標準構成と見られるGeForce GTX 1060リファレンスデザインカードが採用されていた。GeForce GTX 1060にはグラフィックスメモリ3GB版と6GB版があるが、標準構成は6GB版だ。十分な容量があるので、フルHDでゲームを楽しむのにちょうどよい。パフォーマンスグレードとしてはミドルレンジとなり、フルHD解像度の場合で、標準〜高画質で十分にゲームを楽しめる。

 評価機に搭載されていたのはManliの製品だが、ここは入荷時期によって変更の可能性はある。リファレンスデザインのため、普段は静かだが高負荷がかかるとやや動作音が大きくなる。合わせてケースが通気性のよいCM690IIIのため動作音も外に漏れやすい。日中であればそこまで気になるほどではないが、帰宅後、夜中にゲーム中の音をより楽しみたいのならば、BTOオプションならオリジナルクーラー搭載モデルを選ぶとよいだろう。

 ストレージとして搭載されていたのは「THNSN9480GESG」(480GB)だ。ちなみに、標準構成ではCrucialのMX300「CT525MX300SSD1」(525GB)になる。インタフェースはSerial ATA 3.0、フォームファクタは2.5インチなので、ここは共通だ。先に触れたが、BTOではM.2 NVMe SSDやHDDなど、インタフェースやメーカー、容量をかなり柔軟に選ぶことができる。

●メインストリームゲームなら余裕。ゲーム以外でもバランスのとれた万能型

 それではパフォーマンスを見てみよう。Windowsエクスペリエンスインデックス値(WinSAT)の値は8.05。これはディスクスコア(ストレージ)の値だ。そのほかはCPUが9.1、メモリも9.1、グラフィックスは8.6、ゲーム用グラフィックスは9.9といったポイント。平均9ポイントといったところで、大きくハズレるところもなくバランスのよいパフォーマンスの万能型PCといえる。

 PCMark 8のスコアも、Homeが4821、Creativeが7695、Workが2773だった。おおよそ万能型といえるが、Workに関してはRyzen 7の8コア16スレッドを活用しきれていないため、十分なスコアであるものの、期待したほどは伸びない。ただ、これはソフトウェア側の問題であって、AMDがメインストリームプラットフォームにおけるメニーコアの流れを作り、IntelもウワサされているようにCoffee Lakeで6コア12スレッドを投入すれば、ソフトウェア側もより多くのコアを活用する流れに変わるはずだ。とはいえ、現時点においてもビジネス用途やクリエイティブ用途では快適なPCである。その点でコストパフォーマンスは非常に高い。

 CINEBENCH R15によるCPUパフォーマンスは、Ryzen 7の見どころでもある。8コア16スレッドをフル活用できるため、CPUスコアは1153cbという高い値を示している。シングルスレッド性能は、まだIntelのCPUには及ばないが、不満を覚えることはない。AMD FX系のCPUからは大きな進歩が感じられるところだ。

 3DMarkのスコアは、Fire Strikeで11050ポイント。GeForce GTX 1060のリファレンスクロックとしては妥当なところだ。ただ、3840×2160ピクセルのFire Strike Ultraで3024、2560×1440ピクセルのFire Strike Extremeで5862、さらにDirectX 12のTime Spyで4217と、画質設定次第で高解像度やDirectXのバージョン引き上げにも対応できるだけのパフォーマンスを秘めている。一方、DirectX 10のCloud Gateや、DrirectX 11でも比較的軽負荷のSky Diverでは十分なスコアが出ており、このあたりの負荷のゲームを楽しむのであれば、60fps前後の高いフレームレートが得られる。

 それを示しているのがファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド ベンチマークのスコアだ。フルHDで画質を最高品質、DirectX 11の条件では、スコアが12331、平均フレームレートが95.196fpsだった。

 最後にSSDのパフォーマンスをCrystalDiskMarkの結果から紹介しよう。システムドライブとして利用しているため、単体のパフォーマンスよりもやや低く出る傾向にあるが、シーケンシャルリードは563.1MB/秒、同ライトは537.1MB/秒、ランダムリードは315.8MB/秒、同ライトは262.1MB/秒だった。特にシーケンシャルリード/ライトはSerial ATA 3.0のインタフェースの帯域をほぼ使い切った格好だ。

 一方、ランダムリード/ライトもシステムドライブでこれだけの値が出ていれば、メインストリーム用としては十分だ。ただしBTOオプションでいろいろと選べるところなので、ここはあくまで目安といったところ。むしろM.2 NVMe SSDなどではさらに高速だ。

●ゲーミングPCで重要なのはCPUとGPUだが、そのほかがしっかりした標準構成だから「安心」

 評価機はハイエンド寄りの製品だ。もちろん高負荷なゲームを楽しむためには、高性能グラフィックスカードを選ぶ必要があるが、ベースとなるRyzen 7のパフォーマンスはかなり高い。標準構成のGPUであるGeForce GTX 1060でもフルHDで標準〜高画質なら多くのタイトルがカバーできる。また、豊富なBTOプションから、パフォーマンスと価格で自分なりのベストチョイスを探すのも楽しいだろう。

 G-Master Spear X370Aでポイントとなるのがケースと電源、CPUクーラーだろう。標準モデルのパーツ構成を見れば、予算、パフォーマンス、静音性のバランスのとれたサイコムらしいチョイスだとうなずける。だからこそ、肝心なパフォーマンスを左右する、CPUやグラフィックスカード選びにフォーカスできるというものだ。間違いのない構成でRyzen 7デビューを狙うのならば、G-Master Spear X370Aは頼もしい製品になるだろう。

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