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薄型コンパクト設計のミニワークステーション! 「HP Z2 Mini G3 Workstation」を試す

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/03/01 21:00
薄型コンパクト設計のミニワークステーション! 「HP Z2 Mini G3 Workstation」を試す © ITmedia PC USER 提供 「HP Z2 Mini G3 Workstation」

●ミニサイズにハイパフォーマンスとプロユースの本格装備を凝縮

 日本HPが発表した「HP Z2 Mini G3 Workstation」は、薄型コンパクトサイズのワークステーションだ。

 ワークステーションというと大柄なタワー型タイプのイメージが強いだろうが、HPはイメージ通りの大きなタワー型はもちろん、ブック型、オールインワン(液晶ディスプレイ一体型)、モバイルワークステーション(ノートPC型)まで、さまざまなタイプの機種をラインアップしている。

 この製品は、その中でも異色の存在。同社が「HPワークステーション史上、もっともパワフルなミニワークステーション」とうたうように、モバイルノートPCに匹敵する省スペース性を備えながら、パワフルな処理性能とプロユース向けの本格装備を兼ね備えている点が特徴だ。今回は発売前の試作機を使って、その魅力にせまる。

(特記のない限り、記事中のBTO構成は「HP Directplus」で3月1日現在選択できるもの)

●機能性と美しさを兼ね備えたボディーデザイン

 コンパクトなボディーは、背の低い八角柱をフレームで囲んだようなフォルムが印象的だ。八角柱の四面は通気性に優れたメッシュ仕様となっており、その部分だけフレームを絞りこみつつ距離を離すことで通気性を確保している。放熱効率と見た目の美しさを兼ね備えたデザインといえる。

 具体的なサイズは216(幅)×58(高さ)×216(奥行き)mmで、現行の「Mac Mini」(197×36×197mm)を一回り大きくしたようなサイズ感だ。電源は内蔵しておらず、出力200WのACアダプターで駆動する。

 電源ボタンがある前面には端子類はない。左側面にUSB 3.0 A端子×2とイヤフォンマイク端子を、背面にUSB 3.1 Type-C端子×2、USB 3.0 A端子×2、DisplayPort端子×4、Ethernet端子(1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T)、シリアル端子(BTOで選択した場合のみ)、電源端子とセキュリティーロックポートを備えている。シリアル端子はBTOオプションだが「後日追加予定」となっており、3月1日現在は選択できない。

 ボディーのコンパクトさを生かして、同社のワークステーション用ワイドモニター「Zシリーズ」の背面に本体をマウントできる「モニターマウントキット」も純正オプションとして用意している。狭い机への設置時に役に立つだろう。

●CPUはSkylakeベースの「Xeon E3 v5」シリーズを搭載

 基本スペックはBTOでのカスタマイズに対応している。マザーボードのチップセットはIntel C236 Expressを採用し、CPUとして「Xeon E3 v5」シリーズを搭載できる。

 Xeon E3 v5シリーズは、開発コードネーム「Skylake」ベースのサーバ・ワークステーション向けCPUで、内部構造はコンシューマ向けの第6世代Coreプロセッサーと共通である。BTOでは、Xeon E3-1225 v5(3.3〜3.7GHz、4コア・4スレッド)またはXeon E3-1245 v5(3.5〜3.9GHz、4コア・8スレッド)を選択できる。上位モデルである後者は、4コアで8スレッドの同時実行に対応し、TDPが80Wという内容だ。小型ボディーでもTDP80Wの省電力版でない4コアCPUを搭載できるという点は、パフォーマンス面で有利といえる。

 ただし、今回の評価機は試作機のためCore i7-6700(3.4〜4GHz、4コア・8スレッド)が搭載されていた。商品カテゴリは異なるものの、CPUコア部分のスペックはXeon E3-1245 v5に近いので、性能や放熱能力の参考にはなりそうだ。

●ストレージは高速な「M.2 SSD」を含むデュアルストレージに対応

 マザーボードにはPC4-19200(DDR4-2400)に対応するSO-DIMMメモリスロットを2つ装備している。BTOでは、8G×1、8GB×2(計16GB)、16GB×2(計32GB)の構成を選択できる。メモリは、いずれの構成でもECC(エラーチェック・訂正)対応のものを搭載している。評価機は、8GB×2の構成となっている。

 ストレージは、「HP Z Turboドライブ」と呼ばれるPCI Express接続のM.2 SSD(NVMe規格)と2.5インチストレージ(Serial ATA接続)を同時に搭載可能できる。BTOでは、3月1日以下のような構成を選択できる。ただし、M.2 SSDと2.5インチストレージの両方を「なし」にすることはできない。

・M.2 SSD:なし/256GB/512GB

・2.5インチストレージ:なし/1TB HDD/256GB SSD

 M.2 SSD+1TB HDDの構成にすれば、SSDの高速さとHDDの保存容量の大きさを両立できる。評価機では、の256GB SSD(Samsung MZVPW256HEGL)と1TB HDD(HGST HTS721010A9E630)を搭載していた。

 通信機能は、有線LAN、IEEE802.11ac対応の無線LAN(Wi-Fi)とBluetooth 4.2(Intel DualBand Wireless-AC8265)を標準搭載している。サウンド機能はステレオ出力に対応するが、内蔵スピーカーはモノラルとなっている。ワークステーションだから当然ではあるが、エンターテイメントを楽しむ用途には向かない。

 プリインストールOSは、Windows 10 Pro(64bit)、同OSのダウングレード権を行使したWindows 7 Professional(64bit)のほか、Linuxで利用したいユーザーを想定したOSなしモデル(FreeDOSプリインストール)も用意される。Windowsは日本語版と英語版から選択できる。

●GPUはプロユースの「NVIDIA Quadro M620」を搭載

 GPUは、「Intel HD Graphics P530」(CPUに内蔵)と「NVIDIA Quadro M620(2GB)」を搭載する。標準設定ではQuadro M620のみを利用するようになっているが、UEFIセットアップで設定を変更すれば、HD Graphics P530も同時に有効にできる。

 NVIDIAのQuadroは、プロフェッショナル向けデザイン・エンジニアリングツールの利用を想定してドライバの最適化、動作検証や描画の再現性検証を行っており、数多くのISV(Independent Software Vendor)からの認証を受けている。このZ2 Mini G3 Workstationは「AutoCAD」「Vectorworks」「MicroStationInventor」「SOLIDWORKS」「Solid Edge」「Revit」など20以上のツールのISV認証を製品として取得しており、これらのツールが安定して快適に利用できる環境を提供する。

●コンパクトでもパワフルさを感じるパフォーマンス

 では、ベンチマークテストで性能を確認しよう。先述の通り、今回の評価機は試作機ゆえに製品版とはCPUが異なるが、スペック的には近似しているので参考にはなるはずだ。

テスト時は、4K(3840×2160ピクセル)のシングルモニター出力でテストを実施している。

 まず、「CINEBENCH R15.0」でCPU性能を調べてみた。結果はマルチコアで819、シングルコアで172となった。CPUの性能をしっかり発揮出来ており、放熱性能などに不安がないことがわかる。

 次に「CrystalDiskMark 5.2.0」でNVMe SSDのパフォーマンスを測定してみた。Q32T1(32キュー・1スレッド)設定のシーケンシャル(連続)リードは3126MB/秒、シーケンシャルライトは1528MB/秒という結果だった。ランダム(非連続)リード/ライトの性能も一般的なSSDとは一線を画している。NVMe SSDの持つパフォーマンスをしっかりと生かせているといえるだろう。

 この製品は一般向けあるいはゲーム向けの製品ではないが、一般的なベンチマークテストや3D描画性能のテストも行った。

 一般的なPCの各種性能をベンチーマークでくる「PCMark 8」のHome Accelerated 3.0は3786、Creative Accelerated 3.0は4841というスコアとなった。

 次に、ゲームで用いる3D性能をチェックする「3DMark」と、実際の3Dゲームにもとづくベンチマークとして「ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド ベンチマーク」を実施した。Z2 Mini G3 Workstationが搭載するQuadro M620は「GeForce GTX760Mより少し下くらい」のスペックとなっているが、ベンチマーク結果も全体的にはその通りの結果となっている。

 プロ用3Dエンジニアリングツールのパフォーマンスをベンチマークする「SPECviewperf 12」も試してみた。ビューボードの描画パフォーマンスを計測する内容だが、筆者が過去にレビューした前世代の「Quadro K2100M」を搭載したモバイルワークステーションのスコアと比べると平均して1.6倍以上になっている。参考としてQuadro M620と同世代のアーキテクチャを採用する「GeForce GTX970」を搭載したPCのベンチマーク結果も掲載するが、GTX970を上回るスコアをマークしている項目もある。

 動作音も静粛な部類に入るといってよいだろう。アイドル時低負荷時は動作していることがわかる程度の動作音で、高負荷時も目立って大きくなることはなかった。室温22℃・暗騒音30dBの部屋において、本体正面15cmから騒音を計測したところ、以下のような結果となった。

・アイドル時:34.9dB

・低負荷時:34.9dB

・高負荷時(3DMarkのFireStrikeテスト実行時):38.8dB

・高負荷時(CINEBENCH実行時):38.1dB

●生産性、ワークスタイルに劇的な変化をもたらすミニワークステーション

 プロユースのデザイン、エンジニアリングツールで制作されるコンテンツはデータ量も大きく、グラフィックスが正しくスムースに再現される必要もある。そのことから、社内会議や営業先でプレゼンテーションをする際に、タワー型ワークステーションをワゴンに載せて持ち運ぶ、という話を耳にすることがある。近年はワークステーションにもさまざまな選択肢があるとはいえ、耐用年数を考えるとこのような状況にある現場も少なくないだろう。

 この製品のように、移動が容易なミニサイズのワークステーションがあれば、こうした現場における生産性を劇的に変えることができる。持ち運びという観点では、モバイルワークステーションといううってつけな形態もあるが、この製品の処理性能や描画性能はモバイルワークステーションより上ので、ディスプレイの選択も自由であるため、プレゼン用途に限定せず、より本格的なレベルで制作にも活用できることだろう。

 省スペースで静音性にも優れているため、オフィスの環境も大きく変えることができる。個人宅にも無理なく置けるため、自宅で作業するテレワークといったことも現実的に考えられる。

 HP Z2 Mini G3 Workstationは、通信インフラの整備、関連技術の進歩や社会の変化により多様化するワークスタイルに対応できる製品、そして、自身の存在が現場のワークスタイルを変えうる製品でもあるといえる。ワークステーションの新規導入、あるいはリプレースを検討しているならば、見逃せない製品だろう。

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