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西野カナの楽曲は「誰かの生活のBGM」に? 『関ジャム』のいしわたり淳治コメントから考察

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/01/16 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 現代における「ヒット曲」とは何なのか、そしてそれはどう生まれるのかと各所で議論されている今日この頃。その答えのひとつが明らかになったような気がした。

(関連:台湾のMaydayが日本で本格始動 訳詞担当のいしわたり淳治が、ディープな歌世界を読み解く)

 昨日1月15日放送の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)で、いしわたり淳治、蔦谷好位置、tofubeatsの3名が、2016年の名曲ベスト3を発表した。『ヒットの崩壊』の著者・柴那典氏の言葉を借りれば、「“誰も思っていなかった”ことが起きたことが、今年のヒット曲のキーワードだった」。(参考:http://realsound.jp/2016/12/post-10784.html 2016年は“誰も予想していなかった”ヒット曲が生まれた? 「前前前世」「恋」「PPAP」から考察)RADWIMPSが『紅白』に初出場を果たすことを少し前までは予想できなかったし、ピコ太郎の「PPAP」を毎日のように耳にするなんて誰も考えていなかったはずだ。そんな2016年の名曲から3名が選んだ楽曲は実に多種多様だった。

 いしわたりは3位にRADWIMPS「前前前世」、2位にAI「みんながみんな英雄」、1位に西野カナ「Have a nice day」、蔦谷は3位にMrs. GREEN APPLE「鯨の唄」、2位にKOHH「Die Young」、1位にRADWIMPS「なんでもないや」、tofubeatsは3位に宇多田ヒカル「道」、2位にブルーノ・マーズ「24K Magic」、1位にピコ太郎「PPAP」を選出。ランキングそのものも3人の個性が出ており興味深かったが、各楽曲の歌詞やメロディだけでなくプロデューサーらしい視点でコード進行、リズムや楽器に着目するなど、選出した理由が非常に面白いものだった。

 そんな中いしわたりは「流行語が歌から生まれなくなってる」と危機感を示し、「ミュージシャンは自分の気持ちを歌う、表現することがゴールだと思っていて、その曲が世の中でどう機能するか、誰の生活のBGMになるかまで考えが及んでいない」と指摘。しかし、西野の「Have a nice day」は<ドンマイ ドンマイ><「行ってきます」「行ってらっしゃい」>といった誰しもが日常で口にする言葉が歌われており、「常に誰かの生活のBGM」になっているという理由から第1位に選んだ、と話した。

 いしわたりの指摘通り、ミュージシャンは音楽を自己表現の手段の一つと考えている人が多いかもしれない。もちろん、そうした曲の中から名曲やヒット曲が出てくることは少なくない。例えば宇多田は、亡き母への思いを込めて制作したアルバム『Fantôme』を大ヒットさせた。一方で西野は、自己表現というよりは、聴き手の生活に寄り添った歌詞を書くことで、若い女性の間でのヒットにつながった。もちろん表現のあり方は自由で、どんな方法があっても良い。ただ、西野のように“普通の女の子”の日常を歌い続けることも多くの人に愛される楽曲のあり方のひとつなのだ、といしわたりの言葉から改めて感じることができた。単純にCDセールスやランキングでは測れないが、確実に人の耳に引っかかる西野の歌詞。<がんばれ私!>と可愛らしく歌う「Have a nice day」は私たちの「生活のBGM」として息づいている。(村上夏菜)

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