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資料を何度も作り直させる上司は三流以下

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/06/13 ITMedia
資料を何度も作り直させる上司は三流以下: 画像:ITmedia © ITMedia 提供 画像:ITmedia

 チームで仕事をする際に避けられないのは「仕事の依頼」です。

 自分が仕事の依頼をすることもあれば、誰かから仕事を依頼されることもあるでしょう。チームワークが難しい1つの理由に、優秀なプレイヤーは、必ずしも優秀なワン・オブ・チームメイトではないという点が挙げられるでしょう。それが顕著に出る例になります。

 同時にこれは、組織における「教育」という側面に密接に関わっています。日本企業の多くは小さいタスクを新人や後輩に任せることで、成長を促しながら実業務の負荷分散を行っていくという役割分担をしていることが多いからです。

 今日はこの点を絡めながら、話を進めてみようと思います。

●何を作ってほしいのか分からない三流以下の上司

 さて、仕事を依頼された中で納得できなかったのは「要件を明確に共有してくれない」ことです。例えば、資料作成の依頼があるとします。ダメダメな上司は誰に対して使う資料なのか、どの資料のどこの部分に使うのか、どのようなイメージなのか何が発生するのかを共有しません。

 そこで、僕が自分なりに気をきかせて要点を抑え、シコシコ作った資料を持っていくと、

 「あー、違うんだよなぁ。こんな感じが欲しかったんだよ。作りなおしてもらえる?」

 なんてことを平気で言います。こちらに要求する粒度(※)や表現について、事前情報が与えられていないにも関わらず、それを求めていたのです。でも、僕はエスパーじゃない!

※粒度(granularity)=荒さ、あるいは細かさの度合いを表す言葉。コンピュータプログラミングにおいては、プログラマの頭の中で問題となる箇所や用途と関連のある箇所をピックアップしやすい状態に保守し続けること。(IT用語辞典)

 アジェンダの前提が変われば、丁寧に作った資料もすべて作り直し。同時に、彼らはそこで発生する手戻りのコストを依頼した相手に負わせ、そこに対する反省がありません。他のタスクが出来たであろうリソースの機会損失を考えると、明らかなチームとしての工数のロスです。マネジメント力のなさを感じます。

 さらには、こちらのセンスがないかのような言い方をする人までいます。こういう人たちは「明確な要件をお互いに共有する」ことに手間暇をかける姿勢がに足りません。自分の頭の中のイメージをサラっと伝えて、それが相手に十分に伝わると思っているのか、スマホの同期のように脳内シンクロができていると思っているのです。

 さて、「明確な要件」というのを先に挙げた資料で言うと、「どのようなアウトプットの形に落とし込まれるか」になります。具体的には、

・その資料がなぜ必要なのか?(背景)

・誰に対して見せる資料なのか?(目的)

・何を説明しようとしている資料なのか?(内容)

・どのように表現してほしいのか?(アウトプットのフレームワーク)

 を、明確にするということです。

 このうちのどれかに対する認識の共有が欠如した時点で「ズレ」が発生します。

●「ズレ」は後になればなるほど、修正に時間がかかる

 誰かに仕事を依頼するとき、「ズレをいかに事前に修正しておくか」というのが重要になります。にもかかわらず、依頼する側もされた側も、着手する前にそのズレを確認、修正にかかるコストを払おうとしない傾向があります。

 自分から依頼主を選ぶことはできないので、せめて依頼主に対して執拗に確認する手間を惜しんではいけません。ウザがられようとひるんではいけません。それがスムーズに仕事を終わらせる生命線と言えるからです。

 逆に、自分が依頼するときには、クドイぐらいにその点を共有するのがちょうど良いです。それほどまでに「パッと依頼して、自分が欲しいものがサクッと上がってくる」ことは少ないのです。

 「ズレ」は後になればなるほど、修正に必要な時間が莫大に増えます。僕はこれを分度器のイメージで捉えています。仮に、30度のズレでも、始点(着手)から離れる(時間の経過)ほどに、距離(ズレの大きさ)は拡大していきます。60度のズレであればもっと広がります。だからこそ着手の際にズレをなくす必要があるのです。

 この事実に対して認識が甘い人が「仕事を依頼するのが下手な人」の正体です。もっと言えば「他人と仕事するのが下手な人」の特徴なのです。彼らに振り回されないために、また、他人を振り回さないために、要件を共有する精度を上げる必要があるのです。

●新人くんや後輩ちゃんたちと接するときの「ズレ」

 とは言いつつも、一定の条件下であれば執拗に要件を確認する必要はなくなってきます。例えば、ずっと一緒に仕事をしていれば上司がどんな成果物を欲しがるのかを大体理解できますし、会社において求められる成果物がどのようなものかを経験から把握できるようになります。

 これは、経験により漏れている要件を自分で補完して成果物を作成できるようになってくるためです。

 ただし、例外があります。それが新人や後輩の存在です。彼らに丁寧に説明したつもりでも、欲しかったイメージやクオリティの成果物が上がってこない。そのわりには時間がかかる。本音を言えば「なんでこんなことが出来ないんだ?」と思うこともあるかもしれません。

 そんなときには、今回の「ズレ」の視点を確認してみてください。

 自分が要求した成果物と、相手がイメージしている成果物にズレがないか? それを補うために必要な知識と経験に関して、自分と相手の習熟度にレベルの差はないか? プレゼンテーションソフトや表計算ソフトのスキルにギャップはないか?

 このズレを意識しないで彼らに要求することは、苦痛を与えているだけに過ぎません。補完する知識と共有が自分のレベルに達成していないのなら、そのズレをなくすためにもっと細やかに情報提供してあげれば良いでしょう。ソフトを使うスキルが低いのであれば、徐々に覚えるまで目をつぶる必要が出てくるでしょう。時間が許すなら教えてあげても良いでしょう。

 純然なアウトプットを見ることは大事ですが、こちらには彼らに改善してほしいポイントを指摘する必要と責任があります。進捗報告を彼らにしてもらうのは、達成度を確認するためだけではありません。成果物が迷走し始めたときになるべく早い段階で矯正するためなのです。何が進捗を遅らせている要因なのかを把握するための材料なのです。

 新人や後輩に接するときは、この視点を絶対に忘れてはいけません。自分を育ててくれた先輩がやってくれたことを、そのままマネしているだけですが。

 僕が他人と関わるときに大事にしていることの中に「差分」があります。それはポジティブであり、ネガティブな意味でもあります。良い方向に転がりそうな差分はそのまま拡大してもらう。自分に出来ないことをやってくれるその人の魅力。悪い方向に転がりそうな差分は極力なくしていく。ディスコミュニケーションやスキル不足などがそうです。

 チームワークとは「違い」とどのように向き合うか、という姿勢そのものだと僕は考えています。(ファーレンハイト)

[サイボウズ式]

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