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赤字続くジャパンディスプレイ、モバイル依存抜ける大ナタ

ザテレビジョン のロゴ ザテレビジョン 2017/08/23
赤字続くジャパンディスプレイ、モバイル依存抜ける大ナタ © KADOKAWA CORPORATION 提供 赤字続くジャパンディスプレイ、モバイル依存抜ける大ナタ

今回のことば 「これがラストチャンス。利益をしっかりと確保できる会社を目指して、第二の創業に挑む。日本の底力を見せるチャンスでもある」(ジャパンディスプレイの東入來 信博代表取締役会長兼CEO)  ジャパンディスプレイは2017年8月9日、2017年度第1四半期業績を発表するとともに、東入來 信博会長兼CEOが出席して、経営方針を説明した。  ジャパンディスプレイの筆頭株主でもある産業革新機構が75%を出資、ジャパンディスプレイも15%出資するJOLEDの社長を務める東入來氏が、6月21日付けでジャパンディスプレイの代表取締役会長兼CEOに就任。JOLEDを成長路線へと向かわせた手腕を、ジャパンディスプレイの再建に生かすためのトップ人事だ。ジャパンディスプレイの新体制で、代表権を持つのは東入來氏だけである。  2012年4月に官民ファンドの産業革新機構を筆頭株主に、日立製作所と東芝、ソニーの液晶事業を統合して誕生したジャパンディスプレイは、2012年度、2013年度は最終黒字化したが、2014年に東証一部に上場して以降、3期連続の最終赤字となっており、2017年度見通しも赤字だ。また、フリーキャッシュフローは赤字が継続したままであり、設立以来一度も黒字化していない。  「大規模投資による固定費の膨張と、フリーキャッシュフローの赤字が、過去の経営の反省点。ピーク需要にあわせた大規模戦略投資を行なったものの、市場環境の変化でリターンが生めず、フリーキャッシュフローの累積赤字が拡大。減損や構造改革を繰り返した。負のスパイラルに陥っていた」と、東入來会長兼CEOは指摘する。  ジャパンディスプレイのビジネスの約8割が、スマホ向けディスプレーだ。ボラタリティーが大きな市場が対象であり、その領域に向けた大規模投資後の市場環境の変化は、ジャパンディスプレイの成長戦略を狂わせた。  「過去の経営者にはその時々の判断があっただろう。だが、目先のP/L(損益計算書)を考えると、大規模な構造改革をやるという判断ができなかった。規模が拡大すれば変動費の削減で解決すると考えていたのかもしれない」とし、「需要に合わせた経営リソースの選択と捨象ができなかった」と過去の経営を総括する。 初めて固定費の削減に取り組む  東入來会長兼CEOは、新たに発表した経営方針のなかで、海外で3500人、日本で240人の人員削減のほか、減損会計の適用などによる固定費削減、生産体制の再編などに取り組むことを発表した。  「今回の構造改革では、初めて固定費の削減に取り組む。目先の利益を気にするのではなく、収益体質を作ることが最も大事なことである。これを2017年度中にやり切る」とする。  有機ELパネルの試作ラインを、石川の4~5世代の生産設備から、茂原の6世代の生産設備へと移行。石川県の能美工場での生産を2017年12月に停止し、JOLEDによる印刷方式の有機ELの生産に活用することを検討。さらに、海外製造子会社の統廃合やEMSの活用拡大により「2017年度には過剰な生産キャパシティーを適正化する」という。また2017年10月からは社内カンパニー制を導入し、顧客カテゴリー別体制へと移行させ、責任を明確化させる考えだ。  同社ではこれらの施策により、2017年度の特損として約1700億円を見込み、年間固定費を約500億円削減する一方、2016年度には8300億円だった損益分岐点売上高を、2019年度には6500億円まで引き下げ、営業利益で400億円以上、営業利益率5%、フリーキャッシュフローで300億円以上の達成を見込む。  東入來会長兼CEOが言うように、目先の利益は求めずに次の決算に向けた大ナタを振るうことになる。 スマホ向けの売上構成比を下げ、ほかの分野の拡大狙う  さらに、みずほ銀行、三井住友銀行、三井住友信託銀行により、1070億円の融資を受けることで、運転資金を確保したほか、今後はグローバルパートナーとの出資を含む提携により、財務体質、経営体質を強化する。  「構造改革の断行による『破壊』と、新たな収益構造への変革による『創造』を同時に推進する」と意気込む。  一方で2016年度実績で81%を占めるスマホ向けの売上構成比を、2019年度には70%とし、さらに2021年度には55%にまで引き下げる一方、車載、産業機器、新規事業というノンモバイルビジネスを拡大させる方針を示す。2021年度にはノンモバイルの構成比を45%以上にする計画だ。とくに、車載は収益構造の柱のひとつにする考えがある。そして新規事業は、内容は明らかにしなかったが「第三の柱」と位置づけ、2019年度には、100~200億円の売上げ規模を見込んでいる。 有機ELのリーディングカンパニーを目指す  もうひとつ、ジャパンディスプレイの成長戦略の柱に位置づけているのが、有機ELだ。  ジャパンディスプレイが取り組んできたスマホ向けの蒸着方式有機ELを2019年度から量産。さらに、JOLEDによる印刷方式の有機ELにより、PCやタブレットなどの中型パネルの量産化に向けた開発を推進。こちらも2019年の利益貢献を目指している。  東入來会長兼CEOは「有機ELなくして、スマホビジネスの将来はない。有機ELに集中することに迷いはない」とし、今後は2016年度実績で147億円の研究開発費を、2017年度には250億円に拡大し、投資対象は有機ELを中心に置く考えだ。  「蒸着方式と印刷方式をカバーし、有機ELのリーディングカンパニーを目指す」と意欲をみせる。  東入來会長兼CEOは「これがラストチャンス。利益をしっかりと確保できる会社を目指して、第二の創業に挑む」とする。そして「日本の底力を見せるチャンスでもある」とも語る。  ジャパンディスプレイは先にも触れたように、日立製作所と東芝、ソニーの液晶事業を統合して誕生した。だが経緯をさらに遡ると、この3社はセイコーエプソンや三洋電機、パナソニック、キヤノンといった日本企業の液晶ディスプレー事業を統合してきた。また、印刷方式の有機ELを開発しているJOLEDも、パナソニックとソニーの有機ELパネル事業を統合してスタートした。シャープが鴻海傘下となった現在、ジャパンディスプレイは、その名のとおり、日本のディスプレー事業の最後の砦ともいえるのだ。  ジャパンディスプレイが取り組む大規模な構造改革は、がけっぷちにある日本のディスプレー産業の生き残りを賭けた最後の挑戦ともなる。  韓国勢や台湾勢、中国勢との戦いに挑むための体質改善を急ぎ、その後の成長戦略をどう描くか。残された時間は少ない。 ■関連サイト ジャパンディスプレイ

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