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達人レビュアーが選んだ2016年のイチオシPC

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2016/12/30
達人レビュアーが選んだ2016年のイチオシPC: 15型クラスで圧倒的な軽さを実現した「LG gram」 © ITmedia PC USER 提供 15型クラスで圧倒的な軽さを実現した「LG gram」

 モバイルPCの薄型軽量化が一気に進んだ印象がある2016年。さまざまな新製品が登場したが、個人的に強く印象に残ったPCや2in1(ノートPCにもタブレットにもなるデバイス)を取り上げていこう。

●既存の概念にとらわれない発想力「LG gram」

 意外に知られていない製品だが、ノートPCでテクノロジーの進化を感じさせてくれたのが「LG gram」(LGエレクトロニクス・ジャパン)だ。

 15.6型でフルHD解像度のIPS液晶ディスプレイを備え、重量はたった980g(厚さは16.8mm)。Core i5-6200U(2.3GHz/最大2.8GHz)を搭載し、公称バッテリー駆動時間は約7時間。13型前後のノートPCではなく、15.6型の大画面ノートPCでの話だ。こんな製品が作れるようになったとは感慨深い。もちろん、15.6型ノートPCでは世界最軽量をうたう。

 さらに、先進的なUSB Type-Cポートも搭載する。これはただのUSBポートではなく、DP over USB-C(DisplayPort 1.2)、USB PD(20V/2A)といった拡張仕様もサポートしており、これらに対応した外付けディスプレイと合わせて使えば、ケーブル1本で充電と画面表示が同時に行える。

 日本をはじめ、PC市場では13型前後がモバイルノートPCの標準的な画面サイズとなっており、製品が充実している一方、そこから外れると途端に選択肢がなくなる。例えば生産性を重視するならば、外出先でも大画面で作業できた方がいいが、これまではこうした大画面ノートPCを持ち歩こうとすると厚くて重いのを我慢する必要があった。

 各社が12〜13型の枠内でモバイルPCのベストを追求している中、既存の枠を超え、真に理想のモバイルPCを追求した姿勢は特筆できる。2016年、最もイノベーティブなPCとして、強く推したい。

●薄型軽量化の技術を王道ビジネスPCに還元「ThinkPad T460s」

 最先端を行くLG gramとは真逆の方向性だが、Lenovoの「ThinkPad T460s」も見逃してはならない製品だ。最新の薄型軽量化技術を従来よりの王道路線ビジネスノートPCにフィードバックし、2016年の時点で最高と言えるビジネスPCの決定版に仕上げている。

 ThinkPad伝統の堅牢性は薄型化しても揺るがない。モバイルPCの標準よりも一回り大きな画面、高い接続性、最高に打ちやすいキーボードとポインティングデバイスに加えて、強調したいのがメンテナンス性の高さだ。底部のネジを5本はずすだけで簡単にカバーが外れ、メモリスロットやM.2スロットにアクセスできる。

 18.8mm(最厚部)、約1.32kg(タッチパネル非搭載モデルの場合)まで軽量軽量化しているのだが、ビジネスのユーザービリティーに関する要素は何も犠牲にしていない。

 同じ14型液晶ディスプレイを搭載する同社製品には、より薄型軽量の「ThinkPad X1 Carbon(2016年モデル)」もあるが、接続性やメンテナンス性が多少犠牲になっている。コンセプトが異なる両者だが、購入後の拡張が容易にできる点は(作業は自己責任になるが)コストパフォーマンスの面でも大きい。PCの薄型軽量化が進行する中、これだけのメンテナンス性を確保した製品は貴重なだけに、こちらを強く推したい。

 ちなみに、筆者はCore i5-6200U搭載モデルをほぼ最小構成で購入し、メモリを20GBへ増設、ストレージを1TBのSSDに交換して使っている。これだけのぜいたくな環境を総額14万円(税込)ほどで手に入れられたのは、同製品ならではの高いメンテナンス性の恩恵だ。ノートPC内蔵パーツの交換に抵抗がないような中上級者ユーザーならば、こうした点に魅力を感じてもらえるに違いない。

●新生Lenovoのイメージとテクノロジーが融合「YOGA BOOK」

 Lenovoと聞いて連想するのはどんなイメージだろうか。PCユーザーにとってはIBMからThinkPad事業を買収した企業というイメージが強いだろうが、その一方で、湘南で海の家を営業したり、渋谷でハロウィーンパーティーを主催したりと一般向けのイベントを積極的に仕掛けていることから、若年層にはトレンドに敏感な企業というイメージも広がりつつあるようだ。

 2015年5月の「Lenovo Tech World 2015」においてブランドロゴを刷新した際には、その後のレノボの方向性が示されるとともに、アーティスティックで華やかなデザインのロゴが多く展開されたことも印象的だった。

 そうしたイメージ戦略とともに、同社が注力する2in1の「YOGA」シリーズでは、腕時計のメタルバンドのような「ウォッチバンドヒンジ」、導電性のある固いものならば何でもタッチペンにできる「AnyPenテクノロジー」の導入など、先進的な試みを続けてきた。

 この「YOGA BOOK」は、そうした新生Lenovoを象徴する存在ではないだろうか。ウォッチバンドヒンジをまとったYOGA BOOKのビジュアルは、そのサイズ感もあって既存のPC、2in1とは一線を画す。電源を入れ、画面にアーティスティックなデザインの新Lenovoロゴが踊り、光とタッチセンサーで表現される「Haloキーボード」が浮かび上がる。まさに新しいLenovoのイメージとテクノロジーがつながった瞬間だ。

 2017年もLenovoからは目が離せなくなりそうである。

●突出したビジュアル面の魅力「Surface Book」

 とにかくボディーの美しさ、質感の高さが際立つ「Surface Book」。高画素密度の画面もまた素晴らしく美しい。近年のMicrosoftが投入するハードウェア製品の(ビジュアル面での)デザインは、Appleを強く意識していることは自明だが、そうした面では既に対等あるいはそれ以上の領域に達したのではないだろうか。

 もっとも、プレミアムを名乗るモデルとして、あるいはクリエイター向けに訴求するモデルとしては、パフォーマンス面でいささか中途半端という印象を受ける。10月に米国で発表された新しい最上位モデルはGPU性能が強化されたが、CPUがデュアルコアのままでは根本的な解決には至っていないように思える。対象ユーザー層を考えると、個人的には現状の13.5型ではなく、15型クラスのフォームファクターで勝負してほしかった。

 それでも、デザイン、ビジュアル面の魅力は突出しており、持っているだけでそこはかとない優越感、ハイソな気分に浸れる存在感は、発売から1年近く経過した今でも色あせない。

●大画面+4コアCPUでも薄く軽く「15インチMacBook Pro(2016)」

 Appleファン以外にも、「15インチMacBook Pro」のモデルチェンジを待っていたユーザーは少なくないだろう。というのも、クアッドコアCPUと外部GPU、15型クラスの大画面を搭載し、携帯可能な重さを実現しているPCの選択肢がほとんどないためだ。

 対抗できる製品としては、Dellの「XPS 15」、少し毛色が異なるがRazerの「Razer Blade」くらいだろうか。なぜ他のメーカーがAppleを強く意識しながらこの対抗となるスペックを備えた製品を出さないのかは不明だが、MacBook Proは基本スペックでの特徴を維持しながら、より薄くて軽いボディーに進化した。パフォーマンス志向のユーザーにとって、この堅実な進化はうれしい。

 賛否両論あるだろうが、キーボード最上段を「Touch Bar」に切り替え、インタフェースを4基の「Thunderbolt 3」のみに統一した点もトピックだ。特に後者は、4つのどのポートでもACアダプターでの充電、USB 3.1およびThunderbolt 3のデータ転送、ディスプレイ出力(DisplayPort 1.2)が可能で、スマートフォンの充電もこなす。いち早くThunderbolt 3の多用途ぶりを知らしめた製品としても挙げておきたい。

●2017年はPCのパラダイムシフトに期待

 自作PCやデスクトップPCも数多く扱ってきた1年だったが、振り返って選出してみると全てモバイルPCという結果になった。やはり薄型軽量化の進行、USB Type-Cとその関連技術のインパクトは大きい。

 薄型軽量化技術の進歩を感じさせるモデルとしては、ASUSの「ZenBook 3 UX390」、東芝の「dynabook V82」なども挙げられる。いずれもKaby Lakeこと第7世代Coreプロセッサ搭載製品だ。まだ採用モデルが少ないこともあり、新旧モデルをじっくりと比較する機会には恵まれていないが、Kaby Lakeのポテンシャルは相当に高いと感じている。

 2016年に目立ったPCを構成する要素では、NVIDIAが投入した「GeForce GTX 1000」シリーズ(開発コード名:Pascal)の先代からの進化が強烈だ。特にノートPC向けでは電力効率の進化がダイレクトに効いており、ゲーミングノートPCは大きくパフォーマンスが飛躍した。現時点での搭載製品はまだ少ないが、マウスコンピューターの「NEXTGEAR-NOTE i5720」などがある。

 Kaby Lake、Pascalの電力効率、Haswell(第4世代Core)の時代から業界内で培われてきた省電力技術、USB Type-Cとその関連技術。個人的には、モバイルPCのパラダイムシフトが起きるに十分な条件が整いつつあると考えている。2017年には既存のモバイルPCのイメージを覆す製品に期待したい。

[鈴木雅暢,ITmedia]

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