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開発陣に聞く「Xperia XZ」(前編)――ループ形状実現のために見直した“中身”

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2016/12/20
開発陣に聞く「Xperia XZ」(前編)――ループ形状実現のために見直した“中身”: 「Xperia XZ」(写真はドコモ版) © ITmedia Mobile 提供 「Xperia XZ」(写真はドコモ版)

 この冬、ソニーモバイルコミュニケーションズのハイエンドスマホ「Xperia XZ」が、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアから発売された。発売直後から販売ランキング上位に顔を出しており、好調に売れている。

 Xperia XZは、2016年夏に発売した「Xperia X Performance」に続く、「X」シリーズのフラグシップモデル。特にデザインとカメラがブラッシュアップされている。本機はどのような狙いで誕生したのか。ソニーモバイルの開発チームに話を聞いた。前編ではデザインと機構設計の詳細をお届けする。

●“駄肉”をどこまでそぎ落とせるかが鍵

 まずはサイズやデザインについて見ていこう。Xperia XZのディスプレイは5.2型で、Xperia X Performanceの5型からやや大きくなっている。一方、ここ最近は5.5型クラスのハイエンドスマホが増えつつある。商品企画担当の川原崎翔太氏によると、「画面サイズありきでXperiaのサイズを決めたわけではない」そうで、「あくまで持ち心地や、使いやすい形を考慮して、本体サイズを定義しました。その中で表現できる最大のインチ数が5.2でした」と話す。

 デザインにも新しい要素を取り入れた。全体的にアールを掛けたXperia X Performanceに対して、Xperia XZではディスプレイ面と背面の側面を削って円のように見せる「ループ形状のデザイン」を採用して丸みを持たせている。このカタチにはどのような意図を込めたのか。

 デザイン担当の大谷祐介氏は「Xシリーズは、Xperiaとしては生活に寄り添う端末になってほしいという思いでデザインをしています。具体的にはソリッドで手なじみのよいデザインです。それを実現する手法として、2.5Dガラスや、側面と背面が滑らかにつながる形状を採用しました」と説明する。

 しかしループ形状は難易度の高い手法だった。「(側面に)丸みを持たせるほど、手なじみは良くなりますが、同時に(中身のない)“駄肉”が増えて本体幅が広くなってしまいます。どのようにバランスを取るかは、機構設計の担当者と議論しました」(大谷氏)

 結果として駄肉は持たせておらず、無駄のないループ形状が完成した。「泥臭く、ラインを何度も引いて真円から徐々に肉を削っていきました」と大谷氏は苦労を話す。

 端が丸くなった一方で、4隅は角張っており、初めて触れたときに「おや?」と思った。特にXperia Zシリーズでは4隅が球体状で手なじみがよかっただけに、余計に違和感を覚えてしまった。

 大谷氏も「コーナー(4隅)が手に当たるという意見は社内でもありました」と認めるが、「手になじむように、わずかにC面が取られて(角を落として)いる」という。「その角度や量を、モックアップを作成して検証しました」(同氏)

●新素材の「ALKALEIDO」とは?

 背面に、新しいメタル素材である「ALKALEIDO(アルカレイド)」を使用したこともXperia XZならではのポイントだ。ALKALEIDOは神戸製鋼が新素材のアルミニウムとして開発したもので、従来よりもアルミの純度が高く、高輝度な表現が可能になる。スマートフォンで使用するのはXperia XZが初めてだ。

 4色のカラーリングも、ALKALEIDOの輝度感が生きるよう、深みのある表現を目指した。ループ形状から着想を得たCMF(色彩、素材、表面加工)コンセプト「自然界のつながりを想起させるカラー」から、例えばフォレストブルーは、「水面に映り込む森のグリーンが光となって輝く、奥深い地底の水の色をイメージした深みのあるブルー」を表現した。ブラックは「奥深くで熱く光り輝く大地」、プラチナは「まばゆい日の光を受け輝く水の揺らぎ」、ディープピンクは「夕暮れ時の穏やかに輝く水面」をイメージしている。

 ALKALEIDOの美しさに異論はないが、背面下部に、電波感度を確保するための樹脂パーツが入っているのは、ちょっと残念だ。“フルメタル”はやはりハードルが高いのだろうか。川原崎氏は「グローバルで見ても、ネットワーク接続の要求が強くなっている傾向にあります。Xperiaは携帯電話なので、いろいろな地域でも接続できることを保証していきたい。特に日本のオペレーターさんは接続性を重視されるので、このようなデザインになりました」と理由を説明する。

 ちなみにXperia X Performanceでは、背面に樹脂が入っているのは日本のみだったが、Xperia XZでは国を問わず、どのモデルにも樹脂が入っている。「これから5Gの波が来る中で、海外でも接続性の関心が増しています。Xperia XZでは(背面が)フルメタルのモデルは存在しません」

 Xperia XZでは側面のフレームにも樹脂が使われているが、背面の樹脂パーツと合わせて、端末を握っても安定した通信を可能にする効果もあるという。「(端末を握った)手が電波を遮断することがありますが、人が手にしても、安定した接続性を担保できるよう最適なパーツを選定しています」(川原崎氏)

●ループ形状を実現させるために構造を変更

 Xperia XZのサイズは約72(幅)×146(高さ)×8.1(奥行き)mmで、Xperia X Performanceの約71(幅)×144(高さ)×8.6(奥行き)mmから大きくサイズは変わっていない。ただ、機構設計担当の深谷友詞氏によると「中身は大きく変えている」という。

 Xperia XZでは背面と側面を固い接着剤で固定した後、内部の板金と側面を、ネジを打ち込むことによって結合させた。これによって側面の剛性を確保した。これまでは背面に防水接着テープを用いていたが、「(防水接着テープに)クッション性を持たせないといけないので、側面からの負荷がかかった際に接合部自体が変形し、接合された本体外装が正しい位置からずれてしまうことがありました」と深谷氏は言う。今回は接合部を固めるために、固い接着剤とネジを利用したというわけだ。

 今回の接着方法により、Xperia XZのループ形状も実現しやすくなった。今回のように最後にディスプレイを結合させる手順だと、以下の図のように、側面を内側に出っ張らせて丸みに沿う形にできる(出っ張らせたのは接着面を広く取るため)。従来のように下から基板を入れようとすると、側面の出っ張りが邪魔になるが、XZのように上から基板を入れる形なら問題ないという。

●バッテリーのスペース確保に苦労

 また、これまでは「バッテリーを寄せて基板を通すスペースを作っていたために、側面の剛性を確保するのが難しかった」(深谷氏)が、基板の形状を見直して空間効率を上げたという。具体的には、「バッテリーをセンターに配置して、両方に柱を立てるスペースを作って、そこにネジを打ち込みました」と深谷氏。

 Xperia Z5シリーズやXperia X Performanceで採用してきた、放熱効果を高める「ヒートパイプ」は、Xperia XZでは採用していない。その代わり、Xperia XZではグラファイトシートをより厚くし、「Zシリーズよりも放熱性能は高められている」(深谷氏)という。基板のレイアウト見直しとヒートパイプ非採用によって、より多くのバッテリースペースを確保できるようになった。実際、Xperia XZのバッテリー容量は、X Performanceの2570mAhから2900mAhに増えている。

 なお、Xperia XZのディスプレイには強化ガラス「Corning Gorilla Glass 4」が使われている。このように、XZでは多くの面で強度が高められていることが分かる。

※インタビュー後編では、カメラと「いたわり充電」について聞きます。

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