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開発陣に聞く「Xperia XZ」(後編)――進化したカメラと長持ちバッテリーの秘密

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2016/12/26
開発陣に聞く「Xperia XZ」(後編)――進化したカメラと長持ちバッテリーの秘密: 左からカメラ設計担当の板垣秀星氏、商品企画担当の川原崎翔太氏、デザイン担当の大谷祐介氏、機構設計担当の深谷友詞氏 © ITmedia Mobile 提供 左からカメラ設計担当の板垣秀星氏、商品企画担当の川原崎翔太氏、デザイン担当の大谷祐介氏、機構設計担当の深谷友詞氏

 ソニーモバイルコミュニケーションズのスマートフォン「Xperia XZ」の開発者インタビュー前編では、デザインや機構設計の話を聞いたが、後編ではカメラやいたわり充電について取り上げる。

●レーザーAFとRGBC-ICセンサー搭載の狙い

 カメラ機能が大きく進化したのも、Xperia XZのトピックだ。

 まずは「レーザーAF」。赤外線を照射して被写体の距離を測ることで、暗いシーンでも素早くピントを合わせられるようになった。カメラ設計担当の板垣秀星氏は「暗いところでは光がなくて距離を測れないので、レーザーAFを使って自ら照射することで、正確に距離を測れます」とメリットを話す。

 レーザーが届く距離は1mほどだが、それより遠い場所でも「遠い」という情報が分かるので、コントラストAFと併用することで、AF自体は速くなるという。

 暗い場所での画作りも向上したそうだが、単にノイズを減らしたわけではない。「ノイズをつぶしすぎるとディテールが崩れてしまうので、ノイズをあまりにつぶさないように、バランスを取りました」と板垣氏は説明する。

 もう1つの新機能が、赤外線を測る「RGBC-IRセンサー」だ。赤外線情報を取得して光源環境を特定するもので、屋外、白熱灯、蛍光灯など異なる光源環境でも自然な色を再現できる。

 「これまでの機種では、『明るければ屋外』『暗ければ室内』などの判断はできましたが、例えば『夕方、屋外の緑』を屋内と間違えてしまうことがありました。赤外線情報があれば、夕暮れ(日暮れ)の植物の緑や、屋内の蛍光灯下にある被写体の光源を、正しく推定できます」

 「RGBC-IRセンサーは、カメラを起動している間は常に赤外線情報を取り続けています。(屋内から屋外など)環境が変わっても、リアルタイムで情報を取っていて、タイムラグはほぼありません」と板垣氏。ホワイトバランスの設定を変えなければ、マニュアル撮影時でもRGBC-IRセンサーは有効となる。

 RGBC-IRセンサーでとらえた赤外線情報によって、「より多くの環境で、正しく光源を特定できるようになった」(板垣氏)という。「難しいのが、窓から光が差し込んでいて、赤外線が含まれている室内です。そのあたりも検証して仕上げています」(板垣氏)

 スマートフォンのカメラでは、食事をいかにおいしそうに撮れるかも重要になるが、Xperia XZでは“メシウマ”写真が撮れるよう改善されている。「居酒屋など光源に赤みのあるシーンで、以前はより白くするような作り方でしたが、あまりにもお皿か真っ白になると雰囲気が失われてしまうので、赤みが出るように振りました」と板垣氏。これはXperia X Performanceと比べても変わっているという。

●動画撮影時の手ブレも進化、4K撮影も復活

 動画撮影時の手ブレ補正は、従来の3軸から5軸に進化。左右に傾く「ヨー」と上下に傾く「ピッチ」の「角度ブレ」、左右に回転する「回転ブレ」に加え、XY軸(上下左右)に並進する「シフトブレ」も補正できるようになった。シフトブレは画面に対して水平に動くため、近いものを撮るときにブレにくくなる。

 「3軸では歩いているとき、遠くのものをズームするときの手ブレ補正はかなり強力にカバーしています。5軸でマクロ撮影をカバーすることで、全方位的に動画の手ブレを低減できます」と板垣氏は胸を張る。

 これらの手ブレ補正は電子式で行っており、光学式手ブレ補正の対応も期待したいが、「光学式を入れると機構上、レンズが厚くなってしまう」(板垣氏)ため、対応を見送っている。Xperia XZは1/2.3型の大型センサーと、2300万画素という高解像度カメラのメリットを生かして、電子式でも大きく手ブレを抑えられる、という考えだ。

 なお、静止画では手ブレ補正機能は採用していない。これについては「高感度にしてもノイズを抑える画作りを心掛けています。それでシャッター速度を上げられるので、結果的に手ブレは少なくなります」(板垣氏)とのこと。

 動画撮影については、Xperia X Performanceでは見送られた4K撮影が復活した。「より『4K』のフォーマットが一般化されてきたことと、日常の何気ないシーンでも高画質で残したいというニーズが出た」(川原崎氏)ため、採用した。

 一方、これまでの4K動画対応のXperiaでは、撮影中に発熱して強制終了してしまうことがあったが、この点は改良し、「より長時間とれるようなチューニングを行っている」(川原崎氏)とのこと。

※カメラ機能については、荻窪圭氏のレビューも参考にしてほしい。

●2年使っても劣化しにくいバッテリーを目指した「いたわり充電」

 多くのスマホメーカーがバッテリーの容量を増やしたり、ソフトウェアをチューニングしたりしてスタミナアップに努めている中、ソニーモバイルは「バッテリーの長寿化」という異なるアプローチを取っている。それが「いたわり充電」だ。

 米Qnovoとの協業で、Xperia X Performanceでもバッテリーを劣化させない最適化は行っていたが、いたわり充電はこれを強化した形だ。ユーザーの行動パターンを学習し、寝ている間に充電をする場合、起床時間に合わせて充電が完了するよう自動で調節してくれる。行動パターンは、早くて1週間程度で学習するという。

 「バッテリーは特性上、満充電状態で放置するとよくありません。今回はそこで起こる劣化をいかになくすかに着目しました。例えば0時に寝て7時に起きると、7時まで100%で放置されてしまいます。そこで、充電の開始と終了のタイミングを学習して、次に終了するタイミングでちょうど100%になるように、充電速度を調節しています」(川原崎氏)

 住んでいる地域の気温や気候の影響で、一概に「○年持つ」とは言えないが、目安として「従来の2倍以上担保すること、2年使っても劣化しにくいこと」(川原崎氏)を目指した。

 もちろんバッテリーの持ちにも気を配っている。容量はXperia X Performanceの2570mAhから2900mAhに上がり、「ソフトレベルでも省電力設計を行っている」(川原崎氏)。また、Android 6.0では、バックグラウンドでのアプリの動作を抑える「Doze」モードが新たに搭載されたが、Xperiaの「スタミナモード」と機能がかぶってしまう。そのため、Xperia X Performance以降のモデルでは「Dozeとバランスよく共存する形でスタミナモードを再設計した」(川原崎氏)という。

 さらに、Xperia XZでは節電レベルを3段階から選べるようにして、ユースケースに即した節電ができるよう配慮した。

●フラグシップモデルを年2機種投入する理由

 Xperia XZは、ソニーモバイルが2016年から導入している「Xシリーズ」のフラグシップに位置付けられる。これは理解できるが、Xperia X Performanceとはどうすみ分けるのか。グローバルで展開しているXperia Xシリーズ全体を見ると、Xperia X Performanceは派生モデルといえるが、日本ではX Performanceもフラグシップモデルだという。

 「グローバルではXperia Xを導入し、より高いスペックのニーズが強い地域で、ハイエンドモデルのXperia X Performanceを導入しました。Xperia XZはXperia X Performanceの後継となるフラグシップ機として導入しています。日本とグローバルではラインアップの視点で違うこともあります」(川原崎氏)

 一方、日本ではドコモを中心に、ハイエンドモデルは「各メーカー年に1機種」という方針になりつつある中で、Xperiaについてはこれまで通り、年2回のモデルチェンジとなっている。以前と同じく商品サイクルが早すぎるのでは……とも思うが、「Xperia XZでは、トリプルイメージセンシングや、より長持ちするバッテリーなど、新しい技術を導入しています。こうした技術をいち早く市場に届けたいという思いがあります」と川原崎氏は話す。日本で「年2機種」を維持できているのも、キャリアからの要望が強いことの裏返しでもある。

 商品サイクルが短いと、どのタイミングで購入すべきか悩ましいが、3つのセンサーを備えた新しいカメラやいたわり充電など、Xperia XZは2年間しっかり使えるスマートフォンに仕上がっているといえる。

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