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音楽系YouTuber・コバソロのカバー曲はなぜ人気? ネット時代に適合したマルチな才能に迫る

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/09/26 株式会社ブループリント
© Real Sound 提供

 SNSやアプリの普及で、インターネットを使ったプロモーション手段も多岐に渡っている昨今。Goose houseのように、YouTubeを主戦場とするアーティストも増えているなか、“音楽系YouTuber”としてティーンを中心に注目を集めているのが、コバソロだ。参考:踊ろうマチルダ、T字路s……“生身と楽器一つ”で衝撃を生み出すアーティストたち シンガーソングライターとして、作詞作曲や演奏といった音楽制作全般をこなすのはもちろん、YouTubeの動画制作やデザインなども自身で手がける、マルチクリエイターのコバソロ。プロデューサーとしてアーティストへの楽曲提供などもおこなう彼だが、音楽系YouTuberとしての認知度がとりわけ高い。YouTubeのチャンネル登録者数は約83万人、動画の総再生回数は3億7千万回にものぼる(2017年9月現在)。 当初は、ピアノ、ギター、ボイスパーカッション、ボーカルなどの全パートをひとりで演奏するフルカバー動画が中心だったコバソロ。しかし、このところは、ヒットソングを若手女性シンガーがカバーする動画シリーズが特に人気を集めている。再生回数1,000万回を超える動画には、西野カナ「No.1」やJY「好きな人がいること」といったポップスのほか、back numberやRADWIMPSといった男性ロックバンドのカバーも並ぶ。さらに、こうした動画の映像も、数年前に流行った「演奏してみた」動画と比較すると段違いにスタイリッシュで、まるでMVのような仕上がりだ。こうした見栄えの良さも、より多くのリスナーにリーチする要因となっているのだろう。 このカバーシリーズの中から選りすぐりの楽曲のほか、YouTube未公開曲も収録したコバソロ初のカバーアルバム『これくしょん』が、9月27日にリリースされた。本作で歌声を披露するのは、それぞれ多彩な魅力を放つ5名の女性ボーカリストたちだ。 これまでのコバソロカバーシリーズでも常連の、春茶、安果音、MICO。ニコニコ動画の「歌ってみた」などで人気を博した、いわゆる“歌い手”の春茶は、ややウィスパーボイス寄りで透明感のある歌唱。リゾートミュージックやジャズ、カントリーに造詣のある安果音は、丸みのあるナチュラルな声で、「糸(中島みゆき)」「奏(かなで)(スキマスイッチ)」といったバラードを担当している。MICOは前述したふたりと比べれば芯のある声で、バンドサウンドにも負けない力強さで歌い上げている。そして、AKB48の中でも「特に歌がうまい」と評判の竹内美宥、現在中学1年生で舞台等でも活躍するえみい(テーマパークガール)の2名も、本作でコバソロとの初コラボを遂げている。 個性のある歌手やジャンルレスな楽曲を起用しつつも、アルバム全体としては彼の色に統一されており、どの楽曲も歌手の声とマッチした非常に耳馴染みのいいものに仕上がっている。このバランス感覚は自身もミュージシャンとして活動し、かつプロデューサーとしての視点が光っているからこそできることだろう。 収録曲のアレンジは、原曲よりもアコースティック色が強く、軽やかな仕上がりだ。バックのリズムは音も軽めで、鉄琴など上物の華やかさが引き立つサウンドとなっている。とはいえ、よくカフェなどで流れているボサノバカバーのように、大幅にテイストが変わっているわけではない。使用楽器や譜面の構成は原曲に寄せられているため、雰囲気はかなりオリジナルに近い形に留まっている。アレンジに色が出すぎれば、当然、聞く人を選ぶサウンドになってしまう。しかし、コバソロのカバーシリーズではそうした過剰演出が避けられているため、より多くの人に受け入れられやすいのではないだろうか。 また、『これくしょん』のアルバムジャケットは、漫画家・イラストレーターの窪之内英策が担当。窪之内は、コバソロ同様若い女性からの支持が厚く、最近では、彼がキャラクターデザインを手がける日清カップヌードルのCM「HUNGRY DAYS」シリーズ(『魔女の宅急便』や『アルプスの少女ハイジ』)も話題だ。コバソロと窪之内はファン層が近似していることもあってか、楽曲の醸し出す軽やかな雰囲気と、イラストの淡く柔らかな色合いの世界観がほどよく調和しているように感じられる。 コバソロの活動背景からは、現代性が色濃く浮かび上がってくる。YouTubeを駆使し、これまで一般的だった同人的な演奏動画とは一線を画すセンスのある動画スタイルを打ち出したことで、ライトなネットユーザーの取り込みに成功したのだ。今回はカバーアルバムの1枚目ということもあり、聴く人を選ばないポピュラリティを持った楽曲で構成されていたが、今後は気鋭のクリエイターとのコラボレーションや、新時代をゆくプロモーションにも注目して活動を追いたい。(まにょ)

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