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高まる認知度 高まる音声SIM比率――2016年のMVNOサービスの動向を振り返る

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/01/24
高まる認知度 高まる音声SIM比率――2016年のMVNOサービスの動向を振り返る: MMD研究所が主催するメディア向けMVNO勉強会は、今回で4回目 © ITmedia Mobile 提供 MMD研究所が主催するメディア向けMVNO勉強会は、今回で4回目

 全体的に上昇傾向にある大手キャリア(MNO)のスマートフォンの実質価格。それを受けて、比較的安価なMVNO(仮想移動体通信事業者)による通信サービス(MVNOサービス)やSIMロックフリースマートフォン(SIMフリースマホ)に興味を持つ人は確実に増えている。

 MMD研究所によると、2016年前半(1月から6月)は、MVNOサービスにおける「メイン利用者」「女性ユーザー」「音声通話プラン選択者」の比率がそれぞれ高まったという。MVNOサービスをMNOに並ぶ選択肢の1つとして捉える人が増えているのだ。

 2016年全体を見通した時、この傾向に変化は無かったのだろうか。そして、2017年のMVNOサービスを取り巻く環境はどうなっていくのだろうか。同研究所が1月23日に開催したメディア向けMVNO勉強会「2016年の振り返りと2017年に向けて」において吉本浩司所長が行った報告を交えて見ていこう。

●鈍化した「スマホ移行」

 MMD研究所では、年次でスマホとケータイ(フィーチャーフォン)のユーザー比率を調査している。2016年の調査でのスマホ比率は、前年比2.4%増の64.8%となった。スマホ比率は依然として増加傾向にあるものの、その伸びは鈍化している。

 年代別に見ると、10歳代(15〜19歳)の90%を筆頭に、そこから年代を重ねるごとにスマホ比率が低くなるが、50代まではスマホ比率が過半となっている。しかし、60歳以上ではスマホ比率が36.9%で、3分の1を少し超える程度となっている。

 スマホの普及をより一層図るためには、60代以上のユーザー比率をもっと高める必要がありそうだ。

●認知度はさらに向上 継続利用(ユーザー)比率はついに1割を超える

 MVNOサービスは、MNOよりも月額料金が安価な傾向にあることから「格安SIM」と呼ばれることが多い。MMD研究所では、この言葉に関するファネル分析(サービス認知から継続利用までの各段階における離脱率調査)を定期的に行っている。

 2017年1月に実施した最新調査では、格安SIMという言葉を知っている「認知」段階の人が83.3%、個別のサービス名(「OCN モバイル ONE」「IIJmio」など)まで知っている「サービス認知」段階の人が51.2%と、いずれも過去最高の比率となった。これについて、同研究所の吉本浩司所長は「(MVNO)各社がCMやプロモーション活動を積極的に行った結果ではないか」と分析する。

 同じ分析においては、MVNOサービスの契約を検討する「利用検討」段階にある人が22.6%、実際に利用している「継続利用」段階の人が11.8%となっていることにも注目だ。MVNOが、MNOと並ぶ選択肢として視野に入るようになった様子が伺える。

●メイン利用増加で音声プラン比率も向上

 従来のMVNOサービスは、別にメインのMNO回線を持った上での「サブ回線」として選択されることが多かった。そのようなこともあり、契約プランも音声通話(場合によってはSMS送受信も)非対応であるデータ(専用)プランの選択率が高い傾向にあった。

 しかし、その傾向に変化の兆しが見られる。MMD研究所が2016年10月に行った定点調査では、MVNOサービスをメイン回線として使っていると回答した人が全体の5.8%となり、1年前(2016年1月)の調査と比べて53%の伸びを示している。

 この調査では、MVNOサービスを利用していると答えた人(5171人)を抽出して、主に利用しているサービス名のシェアも算出している。2016年10月時点でのトップは「楽天モバイル」の20.7%で、以下「OCN モバイル ONE」(13.5%)、「IIJmio」(9.2%)と続いている。

 吉本所長によると、直近では「mineo」と「UQ mobile」のシェアの伸び率が大きいという。そのため、次回(2017年4月)の調査ではシェアの順位が変動する可能性がある。

 同じ母集団を対象にその契約プランが「音声」か「データ」かを尋ねたところ、音声プランが53.8%、データ専用プランが46.2%とほぼ半々になったという。ただし、2016年に入ってから契約した人に絞り込むと、音声通話プランの比率が約70%にまで高まるという。

 さらに、MVNOサービスの契約方法についても調査したところ、35.1%がY!mobileを含むMNOからMNPで契約したという。音声プラン契約者だけを抽出すると、その比率は3分の2以上(68.8%)にまで跳ね上がる。NTTドコモやソフトバンクを利用していた人はMNPで移行する傾向にあるが、Y!mobile利用者はいったんそれを解約してMVNOサービスを改めて新規契約する「解約新規」をする人が多い傾向にあることも分かったという。

 音声プランの比率が高まり、MNP契約者が増えていることは、MVNOサービスをMNOサービスと並ぶ有力な選択肢として位置付ける人も増えているということだ。

●「セット販売」の比率が高まる端末販売

 MVNOサービスは、SIMカード単体での契約がしやすい。新品のSIMフリースマホ、中古のスマホや手持ちのスマホなど、端末を自由に選択できることが強みだ。一方で、ユーザー層の多様化で、SIMカードとスマホのセット販売も充実しつつある。

 MMD研究所が2016年10月調査において端末の入手方法を尋ねたところ、SIMとのセット購入と量販店・通販での新品購入がそれぞれ約3分の1ずつ、手持ちの端末の利用者が約2割、中古購入が約1割となったという。音声プランの契約者に絞るとセット販売の比率は約4割となり、データプランの契約者に絞ると新品購入の比率が4割となる。

 音声プランを契約しようとする人は、MNOと同じようにSIMカードと端末がバンドル(セット)されていることに安心を覚える傾向にありそうだ。一方、データプランを契約しようとする人は、SIM(回線契約)と端末を自由に組み合わせたいと思う人が多いといえそうだ。

 MVNOサービスにおける音声プラン比率の高まりを受けて、今後は端末のセット販売がより重要になってくるものと思われる。

●SIMカードの購入(契約)は依然Web主体 しかし店頭比率も向上

 MVNOサービスのSIMカードは、長らくWebサイト上での販売が主流だった。しかし、ユーザー層の広がりに合わせて、実店舗での販売も広がりを見せている。

 MMD研究所の2016年10月調査では、調査対象の6割程度がWebで、残りの4割程度が実店舗でMVNOサービスを購入(契約)したと回答している。販売は相変わらず過去の調査と比べると店頭での購入比率は確実に高まっている。

 プラン別に見ると、音声プランではMVNOのWebサイトや直営・専門店での購入が多い傾向にあり、データプランではAmazon.co.jpを始めとするWeb通販サイトや家電量販店での購入が多い傾向にある。

 店頭購入者に絞ってより詳細な調査をすると、音声プラン契約者はどのサービスを契約するか「決め打ち」して店舗に向かうという傾向も明らかとなった。

 音声プランの比率が高まっていることと合わせて考えると、これからはよく下調べをした上で、店頭でMVNOサービスを“指名買い”する人も増えると考えられる。

 各種調査の結果を受けて、吉本所長は上記のような流れが2017年も続くと予想している。筆者も、2017年は2016年の傾向がより強まる方向で進むと考えている。

 ただし、MVNOの競争環境は厳しさを増している。MNOだけでなく、MNOが直接手がける格安ブランド(Y!mobile)や、MNOの子会社が手がけるMVNOサービス(UQ mobile)が勢いを増していることはもちろん、MVNO同士の競争も激しい。順風満帆に事が進むかといえば、そうとも言いきれない面もある。

 このような環境で、MVNOは2016年をどう乗り切り、2017年をどう戦っていくのだろうか。今回のMVNO勉強会では、NTTコミュニケーションズ、インターネットイニシアティブ(IIJ)、ビッグローブとケイ・オプティコムのMVNOサービス担当者も登壇し、各社の取り組みを紹介する時間もあった。その模様については、別途記事化する予定なので楽しみにしていてほしい。

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