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高性能なPCほど省エネって本当? エコで仕事もはかどるPC選びのコツ

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/07/31
高性能なPCほど省エネって本当? エコで仕事もはかどるPC選びのコツ: 【その他の画像】 © ITmedia NEWS 提供 【その他の画像】

 こんにちは、日本HPでPCの製品企画を担当している白木智幸です。この連載では、PCの周辺機器やパーツ、メーカーサポートの舞台裏、そして次世代のPCなどを広く紹介しています。

 皆さんいかがお過ごしでしょうか。夏本番に向けて暑い日が続き、職場では冷房がガンガン効いているという人も多いのではないでしょうか。

 冬場に比べて夏は電力の消費量が上がるため、省エネが求められます。環境省は5月1日から9月30日までを「クールビズ」の実施期間として定めており、普段スーツでも期間中は軽装で出社という人も多いのではないでしょうか。

 真夏の外出時に軽装の方が涼しいからという理由もありますが、オフィスにいるときも、エアコンの温度を大きく下げなくてもスーツに比べれば涼しく感じるので、結果的に消費電力の削減につながるということで推奨されています。

 実は、PCも年々省電力性が向上しています。最新モデルに買い換えることで消費電力の削減につながる可能性があります。そして、不思議なことに「高性能なPCほどエコ」になります。

 高性能──例えば、車の場合は高性能でパワーのあるものほど燃費は悪くなる傾向があります。しかし、PCではそれが逆になるのです。一体どういう事でしょうか。

●エネルギー消費効率とは

 皆さんは、PCを購入するときに「エネルギー消費効率」という項目がスペック表に記載されていることにお気付きでしょうか。このエネルギー消費効率の数値が低いほど、効率のいい製品であると定義されています。

 PCにおける燃費ともいえるエネルギー消費効率ですが、これは次のような計算式で求めます。

この式においてE(W+W)/2、W、WおよびQは次の数値を表すものとする。

E:1のエネルギー消費効率(単位 ワット/メガ演算)

(W+W)/2:消費電力(単位 ワット)

W1:アイドル状態の消費電力(単位 ワット)

W2:低電力モード時の消費電力(単位 ワット)

Q:複合理論性能(単位 ギガ演算)

 シンプルに説明しますと、OSだけ起動した状態の消費電力とスリープ時の消費電力を平均化し、それをプロセッサの演算性能で割っているのです。

 PCは処理能力が高い方が多くの作業を少ない時間で完了できるため、エネルギーの効率がよいという考え方です。もちろん、この値を求める前提条件は実際のPC利用時と完全にイコールではありませんので参考程度に留めておくことも必要です。

●仕事内容に最適なスペックを見極めるには

 では、PCはどれくらいの性能を持つモデルを選ぶべきなのでしょうか。

 ここで例え話をしましょう。五輪やワールドカップで活躍するアスリートの脳を一般の人と比較すると、アスリートは脳の負荷をかけずにほとんどの基本的な動きを行えるそうです。その分、他の動きにリソースを使えるため、普通の人に比べて非常に複雑な動作を素早くこなせるといわれています。

 アスリートの脳の仕組みをPCの話に置き換えると、プロセッサ(CPU)がそれに当たります。アスリートのそれと異なり、残念ながらCPUは訓練やトレーニングによって機能が向上することはないので、性能を上げるためには機器の入れ替えが必要になります。

 そんなに高性能なPCは必要ないと思われるかもしれません。しかし、皆さんがすでに体感したり利用したりしている通り、最近のWebサイトには動画があふれています。商品をより効率的に見せていくためには写真と文字だけでなく、その商品の「利用体験」を分かりやすく説明できる動画が適しています。

 この傾向はますます進んでいくでしょう。そして、同じものを伝えるならば他よりも良く見せたいと考えるはずですから、解像度もより高く、4Kの映像で「魅せたい」と思うはずです。

 さらに、スマートフォンでも4K動画の撮影に対応したものが登場しています。素材があるならば、それを編集するためのPCが必要になるでしょう。

 アプリで手軽に使えるようになったことで写真のレタッチも、もっと一般化してきます。オムニチャネル化が進み、オンラインストアできれいに撮影した商品写真をドンドン掲載していく必要があります。外注して時間とお金をかけるよりも、内製した方が早いと考えるでしょう。

 商品の提案もパーソナライズ化が進み、3Dスキャンや3Dプリンタの活用も進むでしょう。海外ではお客さまの足をスキャンして足の形状に合ったインソールをその場で3Dプリンタで出力してジャスト・フィットするシューズを提供するというサービスも登場しています。この場合は3Dデータをスムーズに扱えるだけの処理能力が必要になってきます。

 店舗でのサイネージディスプレイも、だいぶ普及しましたが、次のステージでは、プロジェクションマッピングやホログラム、巨大な壁面全体をディスプレイにするなど、ほかとは違う「驚き」や「体験」を提供することで差別化を図っていきたいと考えるでしょう。

 これらのことを実現するために、コンピュータのパワーがますます必要になってきます。

 このとき、CPUの演算性能(時間当たりで処理できる数)が注目されがちですが、CPUは主にいろいろなことに応用できる汎用的な処理性能を目標として作られていますので、例えば画像の処理に特化したグラフィックス・プロセッサ(GPU)にはかなわなかったりすることがあります。

 CPUで処理すると負荷のかかるものが、GPU側で処理する場合はCPUには負荷がかからず、その分ほかの動作に使えることになります。

 そして、4K動画など大容量のデータを高速に扱うためのストレージも求められてきます。最近はPowerPointの資料に動画を埋め込むケースも増えてきました。数年前は10MBを超えるPowerPoint資料はまれでしたが、最近は100MBを超えるものも珍しくはありません。

 このときデータの読み込みが低速なハードディスクドライブ(HDD)ではストレスが増えるでしょうから、アクセスの高速なソリッドステートドライブ(SSD)が求められるようになり、さらにSSDの中でもより高速なPCIeタイプが今後のことを考えれば欲しいところです。

 このように、エネルギー消費効率の高いPCを選択することで、結果的に待ち時間の短縮や、ストレスの軽減などにつながります。そして、結果的に仕事自体の効率化が見込める可能性が高まります。

●PCを省エネに使うテクニックとは

 PCを省エネに使うテクニックもいくつかあります。

 最も効果的な手段の1つとしてお勧めしたいのが、同時に複数のアプリケーションを立ち上げないことです。メモリが不足すると頻繁にHDDからデータを引き出すなどエネルギーも使う上、作業にも時間がかかってしまいます。

 何より、いくつもの作業を同時に行うよりも、1つの作業に集中して素早く片付けていく方が仕事自体も早くすみます。

 そして、予定表を活用して「今日やるべきこと」のリストアップと、その作業に「かかる時間」をあらかじめ予定表に記録しておくことも効果的でしょう。

 それでも、最近は1つのことをこなすために複数のアプリケーションを立ち上げておくことが増えていますので、メモリが不足してしまう事もあります。

 可能ならば、メモリの増設をお勧めします。メモリを8GBや16GBなどに増設することで、HDDから頻繁にデータを取り出す必要がなくなり、作業自体もスムーズに進むことでしょう。

 また、OSが古い場合は、最新のバージョンに更新することで消費電力を抑えられます。セキュリティ性能も向上するので一石二鳥といえます。

 さらに、オフィスに社員が居なければオフィスの空調や照明も使う必要がないので、テレワークを導入する手もあります。しかし、この場合オフィスの省エネにはつながるが、結果的に外出先や自宅の空調、照明は使っているだろうという声があるかもしれません。

 そのような中、「海の家」でテレワークをするという斬新なトライアルが2016年に実施されました。この場合は空調代もかかりませんし、何より海の「さざ波の音」と「風」を感じながら仕事ができますので、とても良い気分転換にもなります。今までにない創造的なアイデアも生まれるかもしれませんね。

 政府としてもテレワークを推進しているので、今後さまざまなステキな解決策が登場してくることでしょう。

●省電力なPCを選ぶことは「手段」にすぎない

 エコを実現するためにはエネルギーの省電力化という「手段」が近道に感じられるかもしれません。しかし、ここでは省電力化という「手段」が「目的」にならないように注意しなければなりません。

 エアコンの温度設定を「28度」にしたり、PCを省エネの設定にすることは、手段の1つにすぎません。前出の通り、オフィスで利用する電力はさまざまであり、早く仕事が終わればオフィスの滞在時間が減り、結果的に照明や空調に使う電力を抑えることにつながるのです。

 そして、事業を営むという視点で見た場合、コストの削減と利益の確保、もっと広い視点でみれば事業の継続という点が非常に重要となってきます。

 エアコンの温度設定を「28度」ではなく「26度」にすることで短時間に成果が上がるのであればそう設定すべきですし、PCも仕事の特性にあった性能の機種を選択して効率化を図ることで、最終的にオフィスの省エネも達成できればベストです。

 このように、一部ではなく俯瞰的な視点で見ることにより、大きな結果につながることでしょう。

 いかがでしたでしょうか。働き方改革や、残業削減が求められている中で、ますます効率化が求められています。最適なPC環境で仕事のスピードUPと省エネも両立できれば理想ですね。この夏、「省エネ」や「効率化」について検討するきっかけになりましたら幸いです。

※省エネルギー化が、限られた資源を有効活用するという観点で、エコロジー地球環境保全に有効であると考えられるという理解で、本連載を記載します。製造物に関しては、その製造や原材料の採掘にかかるエネルギー消費も本来は考慮する必要があると考えられるが、経済活動は一定量必ず発生しうるものとして考え、それらについても間接的に省エネルギー効果が見込まれることと、条件が複雑化することを避けるため本連載では利用時点での効果として考える。

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