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高良健吾&永山絢斗、NHKに寵愛される理由は? 『べっぴんさん』に見る“間”と“怖さ”の演技

Real Sound のロゴ Real Sound 2016/12/07 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 『べっぴんさん』(NHK)が、すみれ(芳根京子)をはじめとした女性たちの奮闘と絆の物語であることは間違いない。ただ、その魅力は、朝ドラ定番の「明るく元気な」イメージではなく、「穏やかでおっとりした」女性たちの優しさにある。  その「穏やかでおっとりした」女性たちの世界観に、男性キャストも違和感なくフィット。筆頭格と言えるのが、すみれ義兄・潔役の高良健吾と夫・紀夫役の永山絢斗だ。  ともに物静かな佇まいで、強烈なセリフや表情の大きな変化に頼らない演技スタイルは、『べっぴんさん』の「穏やかでおっとりした」世界観になじんでいる。2人は「芳根の無垢なムードとスローなテンポを受け止め、写し鏡のように同じムードとテンポで返す」という演技を徹底。芳根のペースやテンポを乱さず、長所である感受性の強さを生かす土台を作っている。  2人のように、ゆったりとした“間”が取れて、相手の演技を受け止められる20代俳優は少ない。昨今の連ドラは、ネットの普及ですっかりせっかちになった視聴者に合わせるべく、ハイテンポな展開の作品が主流。つまり、『べっぴんさん』のスローテンポに合わせられる20代俳優が育ちにくい状況だけに、2人の存在は希少価値が高い。  2人はベテラン俳優のように“間”をしっかり使い、相手の演技を受け止められるから、時流にとらわれずスローテンポの作品を手がけ続ける「NHKとの相性がいい」とも言える。高良は連ドラ出演の約半分、永山は約1/3がNHKの作品という実績から見ても、いかに寵愛を受けているかが、分かるのではないか。  しかし、潔と紀夫が時折見せる険しい表情や鋭い眼差しが、物語のアクセントになっているのも、まぎれのない事実。『べっぴんさん』が単なる“女性たちの仲よし起業物語”にならないのは、2人の秘める陰が、戦後の暮らしや商売の厳しさを感じさせるからだろう。  まだ男尊女卑の風潮が強かった時代だけに、2人が醸し出す「ふだんは優しいけど、怒ったらめちゃめちゃ怖そう」というオーラは、説得力の担保にもなっている。今後は潔も紀夫も、これまで以上に「すみれたち女性を支える」という生き方を貫いていくのだが、だからこそ時折見せる怖さが大きな見せ場となるかもしれない。  すみれたちの店『キアリス』が、大急百貨店への出店を決めたとき、紀夫がすみれに「正直言うて、仕事としてはホッとしてるところでもある。でも、夫としてはとてつもなく心配や」と声をかけるシーンがあった。文字にすると普通のフレーズなのだが、永山がたっぷり間を取って演じると、紀夫の人となりと魅力を表す感動的なセリフになるから不思議だ。  永山は6歳年上の兄・瑛太と、「演技や声が似ている」という声もあるが、それは半分正解で半分不正解ではないか。瑛太の演技と声は心にサッと吹き抜けるのに対して、永山のそれは心にじんわり染み渡るイメージ。実際、瑛太は脱力キャラ、永山は朴訥なキャラの配役が多く、私が2人にインタビューしたときもそのままの印象を抱いた。互いの持ち味を存分に発揮した役での共演が見たいところだ。  一方、高良にとって2016年は、大きな飛躍のきっかけになった。冬から春にかけて、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(フジテレビ系)で主演を飾り、夏には大ヒット映画『シン・ゴジラ』に出演。しかも、前者では福島で祖父に育てられた純情青年、後者ではスーツの似合う凛々しい内閣官房副長官秘書官と、異なる魅力を見せて、すべての年代性別でファンを増やした。  また、『べっぴんさん』の潔は、故郷・熊本を襲った地震での献身的な給水活動をしていた高良の姿とピッタリ合致。今後、高良は「逆境にめげず、弱者に優しい」、国民的なヒーローとしての活躍が期待される。  高良も永山もこれまでは、「視聴者よりも現場のスタッフや共演者に愛される」タイプだったが、今年の活躍で実力に人気が追いついたのかもしれない。デビューから高良が11年、永山が9年。すみれたちが子供服を一針一針縫っているような地道な歩みが、現在の人気を築いたことに疑いの余地はない。(木村隆志)

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