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10歳年下のプロ野球選手に嫁いだ妻の超献身 楽天・今江年晶を支えるまるで母のような愛

東洋経済オンライン のロゴ 東洋経済オンライン 2018/06/14 10:00 TBSテレビ『プロ野球選手の妻たち』取材班
東北楽天ゴールデンイーグルスで活躍する今江年晶選手(左)と妻の幸子さん(写真:TBSテレビ) © 東洋経済オンライン 東北楽天ゴールデンイーグルスで活躍する今江年晶選手(左)と妻の幸子さん(写真:TBSテレビ)

連日、熱戦が繰り広げられている、日本のプロ野球。そこで戦う選手を支える妻の献身ぶりを描く「プロ野球選手の妻たち」(TBSテレビ、次回は6月20日〈水〉よる7時から放送、地域によって放送時間は一部異なる)。「バース・デイ」「プロ野球戦力外通告」など、TBSのスポーツドキュメンタリーのスタッフが手掛けるドキュメンタリー番組だ。過去の放送分から、過酷なプロ野球の世界に人生を翻弄されながらも、力強く生きていく夫婦の姿が感動を呼んだ夫婦3組を3回にわたってご紹介しよう。

東北楽天ゴールデンイーグルスの今江年晶(いまえ・としあき)選手、34歳。高校時代、PL学園で活躍し、2001年に千葉ロッテに入団。チームの日本一や第1回WBCでは世界一にも貢献した名選手だ。

 当初、全く無名だった今江選手を2億円稼ぐスター選手にまで出世させた10歳年上の妻がいる。プロ野球界現役ナンバーワンと評判の「あげまん女房」、幸子さんだ。

「僕にとっては、お母さん…」

 10歳年上の妻・幸子さんを今江選手は、「妻っていう存在プラス、僕にとってはお母さん……」と話す。一方、幸子さんは、今江選手のことを「この子だったらやれるんじゃないかなと思った」と語る。夫婦なのに相手を「お母さん」「この子」と表現する、ちょっと不思議な夫婦関係の2人。

 その夫婦の関係は、まさに親子のようだ。夕食時、野菜の食感が苦手な今江選手のために、幸子さんは、なんとか食べさせようと、食材を小さくし柔らかくなるまで煮込むという細やかな工夫を欠かさない。それは、子どもに嫌いなものを、なんとか食べさせようとする、お母さんの姿に見える。

 時には、強引に苦手なものを出すこともある。だが、今江選手は「好きではないけど……」と文句を言いつつ残さず食べている。

 妻であり、母のようでもある幸子さんが、夫と初めて出会ったのは、今江選手が、高校を卒業してまだ間もない、プロ2年目。当時を振り返り、今江選手は……。

 「雰囲気のある大人の女性だなと思いました。僕なんか本当に相手にしてもらえないぐらいの雰囲気の方だったんで」

 出会った時、28歳だった幸子さんは、10歳年下の人と付き合うとは、全く考えていなかった。そして、1年半の交際ののち、2004年にゴールイン。当時、千葉ロッテに在籍していた夫・今江選手は、ほとんど2軍暮らしという、無名の存在。それでも、10歳年上の幸子さんが結婚を決めたのは、こんな覚悟があったから。

 「もしダメでも、私が食べさせていこうぐらいに思っていたので……」(幸子さん)

 すると、結婚したその年、今江選手は一気にブレークし1軍昇格、レギュラーに定着した。翌2005年には、日本一をかけた試合で大活躍。最優秀選手に輝いた。10歳年上妻・幸子さんのサポートのおかげで、無名だった夫は、プロ13年目で2億円プレーヤーとなるまでに成長したのだ。

夫婦に訪れた大きな転機

 ところが、2015年に大きな転機が今江夫婦に訪れる。夫が、14年間在籍した千葉ロッテから、楽天に移籍。それは、幸子さんにとって、大きな問題の始まりだった。

 楽天の本拠地は、宮城県仙台市。一家が、共に暮らすには、東京から仙台へ引っ越さなければならない。しかし、この時、小学4年生だった長男、陸斗(りくと)くんは、都内の、小中高一貫教育の学校に通い、転校は難しい状況。

 そこで、夫婦で話し合いを重ね、夫が、仙台へ単身赴任することになった。妻・幸子さんには、大きな心配があった。夫は、一人暮らしするのが、生まれて初めてだということ。特に、気になるのは、まだまだ好き嫌いが多い、夫の食事。もう母親のように、すぐそばで面倒を見るわけにはいかない。

 結婚以来、幸子さんは、夫・今江選手の食事に、何よりこだわってきた。

 これまで作った、13年分の料理は、全てノートに記録。食欲がない時には、消化を考え、スムージーやスープにし、ケガをした時には、コラーゲン豊富な手羽先を、料理にとり入れた。夫の体調によって考えた献立は、ゆうに500を超えている。

 そんな幸子さんは、夫・今江選手が一人暮らしする仙台の自宅周辺を共に食べ歩き、栄養バランスのいい食事が摂れる飲食店を探した。

 そして、ついに一軒のお店にたどり着き「リクエストしたものを作ってほしい」と、無謀とも思えるお願いをした。すると、お店の人が「いいですよ。奥さんがこういうのを作って食べさせてほしいとかあれば言ってください」と快諾してくれた。

 今江選手は、妻・幸子さんお墨付きのこのお店に、多い時で週4回も、通っている。この店では、今江選手のために、栄養バランスのいい食事を、日替わりで考え提供している。

 今江選手は、毎食出てきた料理を撮影し、妻・幸子さんに送信することを欠かさない。画像を送られた幸子さんは、東京でメニューをチェック。特に気にしているのは、今江選手が苦手な野菜をちゃんと摂っているかどうか。これが、妻の考えた、夫の食事の遠隔操作なのだ。

少しでも時間があれば、料理を作りに、仙台へ

 遠く離れていても、妻に見守られている今江選手。それでも、10歳年下の夫が心配で、少しでも時間があれば、料理を作りに仙台へ行く。

 そんな日の幸子さんはまさに過密スケジュール。早朝4時半に起き、5時には、息子の朝ご飯を支度し食べさせる。7時には、登校する息子を車で近くの駅まで送り届ける。そして、家に戻り、夫のために仙台に持っていく料理作りスタート。この日は鶏肉と野菜たっぷりの煮物や、夫の好物である玉子焼き、ソーセージなど計6品を仕上げた。

 お昼12時、作った料理を持って、東京の自宅から仙台へ出発。午後2時過ぎ、仙台駅に到着すると、その足で地元のスーパーに向かい、さらに、食材を購入。30分後、今江選手が一人暮らししている、マンションに到着。この日は夜、試合があり、夫はすでに不在。部屋を片付け、掃除・洗濯を手早くすませ、午後3時から夫の夕食作りに取りかかる。

 滞在時間、わずか1時間あまりで、妻・幸子さんが作ったのは、計5品。驚きの手際の良さだが、その一つ一つに、夫への愛情が込められている。

 午後4時半。料理を冷蔵庫に入れ、この日の目的は完了。後片付けをすませ、夫・今江選手の喜ぶ顔を思い浮かべなから、夫とは会わないまま、仙台の部屋を後にした。

 午後5時、仙台駅から新幹線に乗り、夜7時過ぎに東京の自宅に到着。息つく間もなく、今度は、お腹を空かせて待っている息子、陸斗くんの、夕食を作りに取り掛かる。朝4時半に起きて、実に16時間。10歳年上妻は、夫のため、ここまでやるのだ

 一方、夫・今江選手は、試合を終え、仙台の一人暮らしのマンションに帰宅。妻・幸子さんからのLINEを確認すると、心尽くしのご馳走が書いてあった。

「1年でも2年でも現役を長くやってほしい」

 冷蔵庫から妻の手料理を出すと、テーブル一杯に広がる、妻の愛。今江選手にとって、30歳を過ぎて、初めて経験する一人暮らしだが、妻・幸子さんの支えを受け、不自由は感じていない。

 尽くしてくれる妻・幸子さんに対し、「嬉しいです。わざわざ東京から来て、作ってまた帰って。息子の世話もあるし、本当に感謝しきれないですね」(今江選手)

 28歳で、10歳年下の夫と出会い、母のように、1人のプロ野球選手を支え続けてきた、今江幸子さん。現在、幸子さんは今江選手が取り組む、小児がんの子どもたちへの慈善活動や、被災地の支援などさまざまなボランティアに、積極的に参加している。

 結婚から約14年が経った今、妻・幸子さんが改めて思うことは、「1年でも2年でも現役を長くやってもらいたいし、お互いに今必要だなと思うことに全力投球して助け合いながらいければ…」(幸子さん)

 今江選手の活躍は、妻・幸子さんの支えなしでは成しえない。夫が戦い続ける限り、妻の全力でのサポートは続いていく。

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