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10nmをスキップし7nm FinFETに移行 Globalfoundries 半導体ロードマップ

ザテレビジョン のロゴ ザテレビジョン 2017/07/24
10nmをスキップし7nm FinFETに移行 Globalfoundries 半導体ロードマップ © KADOKAWA CORPORATION 提供 10nmをスキップし7nm FinFETに移行 Globalfoundries 半導体ロードマップ

 今回は、Globalfoundriesの製品ロードマップを解説する。AMDが全面的に製造を委託しているだけに、ここの動向も当然気になるところである。 TSMCに次いで世界第2位の半導体製造企業となるGlobalfoundries TSMCに次いで世界第2位の半導体製造企業となるGlobalfoundries サムスンと提携し14LPEと14LPPを提供開始  さてそのGlobalfoundries、AMD FXやAPU世代では28nm SHP(SuperHighPerformance)プロセスをベースに製造していたが、動作周波数は上がるものの消費電力が大きすぎるということで、Carrizzoの世代ではセルライブラリーを7.5/9トラックのものに切り替えて省電力化を図るという、なんとなく本末転倒な結果に陥っていたのは既報のとおり。  Globalfoundriesはこの28nmのSHP以外に28nm HPP(High Performance Plus)と28nm SLP(Super Low Power)の2つのプロセスを提供していたが、AMDはこれらのプロセスでは十分なパフォーマンスは確保できないと判断したのだろう。  Globalfoundriesはこれに続き、20nm LPM(Low Power Mobile)を提供する。ただURLがWayBack Machineというあたりからも分かる通りこの20nm LPMは誰も使ってくれず、結果として同社は2015年にはこの20nm LPMを看板からは外し、代わりに14nmのFinFETプロセスを前面に押し出すことになる。  もっともその14nm FinFET、当初は14XMと呼ばれる独自のものを提供予定だった。当初、この14XMは2014年中旬から提供開始予定としていた。  ところが2014年4月にGlobalFoundriesはサムスンと提携を発表。14XMの提供を中止し、その代わりにサムスンの14LPEと14LPPという2種類のプロセスの提供を開始する。 Globalfoundriesとサムスンが提携 Globalfoundriesとサムスンが提携  現実問題として、サムスンはこの当時すでに14LPEの量産を開始しており、その一方でGlobalFoundriesは14XMの量産の発表はなかった。  ただ、AMDを始めいくつかのベンダーが、わりと混乱もなく14LPPでの量産をこの後始めたことを考えると、少なくともサムスンと提携するという発表のだいぶ前に、14XMを捨てて14LPE/14LPPを採用するという決断がなされ、大口の顧客(AMDはその代表だ)に対して説明はしていたと思われる。  それはともかく、ご存知の通りAMDはこの14LPPプロセスを使い、まず2016年にPolaris GPU、そして2017年にZenコア(Ryzen、EPYC)とVegaコア(Radeon Vega Frontier Edition)をすでに発表。  まもなくRadeon RX Vegaも発表する予定なのはご存知の通り。結果から言えば2014年から14nmプロセスを利用したBroadwellを投入したインテルに2年ほど遅れた格好ではあるが、PolarisシリーズやRyzenプロセッサーが潤沢に市場に投入されているのを見る限り、14LPPの歩留まりは良好というGlobalfoundriesの言葉に嘘はないと思われる。  実際、同社の資料によれば、14LPPの欠陥密度は14LPEに比べるとずっと早く収束しており、少なくとも今後も14LPPに関してはあまり心配する必要はないようだ。 来年前半には、14LPPの生産量を20%増やすとしており、AMD以外の製品も順調に出荷されているものと思われる 来年前半には、14LPPの生産量を20%増やすとしており、AMD以外の製品も順調に出荷されているものと思われる 10nmをスキップし7nm FinFETに移行7nm世代でサムスンやTSMCに追いつく方針  問題はここからである。大きな流れで言えば、今後GlobalFoundriesは、FinFETとFD-SOIの2本立てでビジネスを展開していく。FinFETはハイパフォーマンス向け、FD-SOIはメインストリームとIoT、RF向けという形だ。 GlobalFoundriesのCMOSロードマップ。28nmまでが共通で、その先が分かれる形になる GlobalFoundriesのCMOSロードマップ。28nmまでが共通で、その先が分かれる形になる  まずはハイパフォーマンス向け。Globalfoundriesは、10nmについては生産を行わず、直接7nm FinFETに移行することをすでに明らかにしている。理由は下のスライドにもあるように、投資に対してのメリットが少ないからだ。 10nmについては、そこに熱心なインテル/サムスンと、(やってはいるが)冷淡なTSMC、放棄したGlobalFoundriesと、はっきり2つに分かれた感がある 10nmについては、そこに熱心なインテル/サムスンと、(やってはいるが)冷淡なTSMC、放棄したGlobalFoundriesと、はっきり2つに分かれた感がある  性能は14nm世代に比べて20%未満のアップと35%未満の省電力程度でしかなく、もちろん14nm世代に比べればそれでも多少マシではあるのだが、これにコストと時間を投じるくらいなら、7nm世代にその時間とコストを投じて、7nm世代でサムスンやTSMCに追いつくほうが良いと判断したようだ。  これに関して、7月19日のDigitimesがGlobalfoundries CEOのSanjya Jha氏に行なったインタビューの中に、ちょうど該当する話が出てくる。当該箇所を抜き出すと  「なぜ、Globalfoundriesは自身で7nmプロセスを開発する決断をしたのですか?」  「Globalfoundriesの14nmプロセスはサムスンからライセンスを受けたもので、これはサムスンの14nmの量産を代替できることを想定していた。ところが実際にはこのモデルは、予想した通りには行かなかった」  「しかも、サムスンはこれに続き10nmプロセスの開発に注力したが、このプロセスは我々が望んだものではなかった。それゆえ、Globalfoundriesは自身で7nmプロセス技術を開発する決断をした」  「この7nmプロセスとIPパテントは、かつてGlobalfoundriesがIBMのマイクロエレクトロニクス部門を買収した際に手に入れたものだ。我々はこれを利用して7nmプロセスを開発することに自信を持っている」  となっている。もともと14LPPは、サムスンのFab1~Fab3とGlobalfoundriesのFab8で連携して製造されるという話であったが、実際にはこれによる製造の委託などのビジネスがあまり発生せず、Globalfoundriesにとっては美味しい商売にならなかった、ということが透けて見える。 GlobalFoundriesのFab8 GlobalFoundriesのFab8  この結果が10nm世代のスキップであり、同社は2018年に7nm FinFETの第1世代の量産を開始し、2019年には第2世代の量産に入ることを明らかにしているが、これはTSMCと同じタイミングとなる。  第1世代と第2世代ではなにが違うのかは後述するとして、ただそうなると14LPPの量産を開始した2015年から7nm FinFETの量産を開始する2018年まで3年ほど空くことになり、これはさすがに問題である。  その解決策が、連載408回でも出てきた14nm+である。おそらくは14LPP+などになると思うのだが、既存の14LPPを改良して、より性能を引き上げたプロセスがまもなく量産に入る見込みだ。 AMD CPUのロードマップ。Zenは14nmと14nm+の2種類のダイがあることになる AMD CPUのロードマップ。Zenは14nmと14nm+の2種類のダイがあることになる  14nm+に加えて2018年には、さらにもう一段改良を加えた14LPP++とでも言うべきプロセスも用意ができる見込みである。サムスンのFabとは互換性がないが、先のJha氏のインタビューを読む限り、もう互換性にはあまりこだわっていないものと思われる。  これはインテルの14nmと14nm+と同じようなもので、若干の性能アップと省電力化が可能になる(エリアサイズはそれほど変わらない)ものと見られる。 第1世代7nmの生産コストは14nmの40%増第2世代7nmでようやく14nmと同じ生産コストに  さて、この14LPP+と14LPP++で時間を稼いでいる間に7nmをということだが、Globalfoundriesによれば30%の性能改善と、60%以上の省電力化、そして50%ものダイエリア削減が可能になるとしている。 もうプロセスルールは実際の寸法を示していないので、数字でそのままサイズを判断することはできない。が、それでも14nm→7nmでエリアサイズはおおむね半分になるとしているようだ もうプロセスルールは実際の寸法を示していないので、数字でそのままサイズを判断することはできない。が、それでも14nm→7nmでエリアサイズはおおむね半分になるとしているようだ  用途は上の画像に示されるような、高性能プロセッサーなどであり、これは分かる。おもしろいのが、“2x output per wafer”なのでダイエリアそのものは半分になるにもかかわらず、ダイコストは30%の削減にしかならないこと。  これは7nm世代のウェハー生産コストが、14nm世代の40%増になることを意味している。理由は簡単で露光である。TSMCと同じく、7nm世代ではQuad Patterning(4回露光)が必要になるからで、このコストを下げるためには露光装置にEUV(Extreme UltraViolet lithography:極端紫外線リソグラフィー)が必要になるのは間違いなく、こちらの導入と据付、運用状態に持ち込んでからの調整などには相応の時間がかかる。  連載415回でも書いたが、露光装置そのものは今年中に納入されても、実際に運用段階まで持ち込めるのは早くて2019年になる。  このEUVを露光に使うのが、7nm FinFETの第2世代である。AMDのロードマップで言えば、Zen 3世代に使われる7nm+がこれだ。  ではその手前、2018年中に量産に入る予定の7nmは? というと、これはArF+液浸しかない。7nm世代でウェハー生産コストが4割も跳ね上がるのは、おそらくはこのためである。  ある程度まではダイサイズの縮小で相殺できるとは言え、基本的にはプロセスが微細化するごとに新機能やコアの増強を図ることでダイサイズを一定にしてきたPC業界向けとしてはやや厳しい。  7nm FinFET第1世代に関してはコストを抑えようとすると、理論上はダイサイズを14nm世代の70%程度に抑えないといけないことになる。密度は倍なので、利用できるトランジスタ数は1.4倍程度。つまり8コアのCPUを10コアにするのは可能だが、12コアは厳しいというあたり。  CPUは10コアでもおつりがくるが、コアの数が性能に直結するGPU向けは致命的である。このあたり、14nm世代と同じウェハーコストになるのはEUVが本格稼動する2019年以降で、そこまでは我慢の日々が続く、ということだろうか。  慰めにもならないが、これはGlobalfoundriesだけでなく、TSMCも当然同じである。その意味では、2018年は「相次いで7nm世代の製品が投入されるものの、あんまり性能が上がった気がしない」年になるかもしれない。  ちなみに5nm以降については、そもそも構造が確立していない。そろそろトランジスタよりも配線層がボトルネックになってくる世代だが、これに対する対処方法の決定打がないうえ、さらに投資額がかさむことが予想されている。  先のDigitimesのインタビューでもJha氏は、Globalfoundriesも5nm向けの研究開発は開始したが、5nmを必要とするアプリケーションも見えず、またトランジスタや配線の構造なども明確でないとしている。  Jha氏の個人的な見解では、少なくとも2020年まで5nm世代が来ることはないだろう、というものだった。  ところでTSMCでは16FF+→10FF→7FFというハイエンド向けとは別に、16FFC→12FFC→7FFCというメインストリーム/ローパワー向けプロセスが用意されていることを前回説明したが、GlobalfoundriesでこれにあたるのがFD-SOIである。  もともとGlobalfoundriesはAMDが導入したPD-SOIを受け継いでおり、その後IBM Microelectoronicsの買収によりFD-SOIの技術も入手した。さらにSTMicroelectronicsの開発した28nmのFD-SOIのライセンスも受けているが、2015年にGlobalfoundriesが発表したのが22FDXという22nm FD-SOIのプラットフォームである。 2015年の発表時には22FD-UHP(Ultra High Performance)もあったはずなのだが、いつのまにか消えてしまった 2015年の発表時には22FD-UHP(Ultra High Performance)もあったはずなのだが、いつのまにか消えてしまった  22nm FD-SOIのプラットフォームは以下の3種類がある。 各ビデオカードの比較表 22FDX-ULP Body Biasを利用することで、最低0.4V駆動での動作が可能となっており、28nm HKMGプロセスと比較して平均50%、最大で70%もの消費電力削減が可能となる。 22FDX-ULL 22FD-ULPプロセスにマスクを1枚追加した、リーク電流の削減に特化したIoT/ウェラブル機器向けプロセス。リーク電流を1~10pA/μmのレベルに抑えられるとしており、40nmプロセスと比較して80%以上の消費電力削減が可能。 22FDX-RFA LTE-AやMIMO Wi-FiなどのRF段に利用可能で、従来と比較して最大50%の消費電力削減が可能となっている。  実はこの22FDX、どこまで利用されるか当初は怪しんでいたのだが、実際には順調に顧客もつき、量産も順調のようで、すでに製品の出荷も始まっている。FD-SOIの場合ウェハーそのもののコストが高くつく反面、ウェハー以外の量産コストはFinFETに比べるとずっと安いということで、トータルコストでは遜色ないところまで落ちてきている。  ピーク性能はFinFETにおよばないが、省電力とかアナログ/RFには絶縁層の存在がうまく作用しており、次第に普及しつつある。これに手ごたえを感じたのか、2016年9月にはこの後継として12FDXを発表している。こちらはまだ詳細は明らかでないが、2019年ごろの量産開始を計画しているようだ。 12FDXでは、ついに動作電圧が0.4Vをきるところまで到達した 12FDXでは、ついに動作電圧が0.4Vをきるところまで到達した  この22FDX/12FDXが、PC向けのCPUやGPUに使われることはないと思うが、バリュー向けのスマートフォン向けや、組み込み機器(たとえばCMOSカメラに内蔵されるコントローラー)などに広く使われていくと見られており、気がついてないだけで実は22FDXを使ったチップを使っていた、なんてことになっていくかもしれない。

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