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12歳のシンガー・わたなべちひろは、新たな“和製スティーヴィー・ワンダー”となるか?

Real Sound のロゴ Real Sound 2016/11/24 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 11月22日、代々木第一体育館にてスポーツと音楽の祭典『パラフェス2016~UNLOCK YOURSELF~』が開催された。  同イベントは、パラリンピックスポーツの普及を目的に日本財団パラリンピックサポートセンターが主催したもの。リオデジャネイロパラリンピックのメダリストが多数登場し、競技の魅力を伝えたほか、大黒摩季やサラ・オレインなど、彼らをサポートするアーティスト・ダンサーがパフォーマンスを繰り広げ、会場を大いに盛り上げた。  筆者もこの日会場を訪れていたのだが、そのなかでも特に衝撃だったのが、シークレットゲストとして登場した12歳のシンガー・わたなべちひろによる弾き語りだった。木下航志が「ブラインドサッカーからヒントを得た」と語り、観客にアイマスクの着用を促したうえで聴覚のみに集中させて歌う「ブラインドコンサート」を終えたあとに彼女が登場。まだ12歳の少女がどのようなパフォーマンスを見せてくれるのだろうとワクワクしていたのだが、わずか3分後、彼女の歌うジョン・レノンのカバー「イマジン」がその期待を大きく超えるとは思ってもみなかった。 (動画とあわせて読む場合はこちらから)  その小さな体でRoland・RD-800の前へと腰掛けたわたなべが、最初のフレーズである<Imagine there's no heaven>を歌ったとき、まずは少女とは思えない見事な低音の立ち上がり方に驚き、次にその発音の巧さに感心した。フェイクは最小限にとどめつつ、純粋に歌の上手さ、ソウルフルで伸びやかな声の魅力を感じさせ、同じ曲で共演した木下の二つ名である“和製スティーヴィー・ワンダー”を継ぐ存在にこれからなっていくに違いない、という確信をもたせてくれるには充分すぎる内容だった。  これは歌唱時に司会の平井理央とnicoから紹介されていたことだが、わたなべは『第13回ゴールドコンサート』において、ネット投票賞3位と観客賞をダブル受賞し、木下とも交流のあるシンガー。同コンサートのHPでは、「2歳の時に野外ライブで聞いたBank Bandの曲 『to U』を小さな手でキーボードの音を探しながら弾いたのが初めての曲」とあり、同じ時期に未熟児網膜症のため視覚障がいになってからもずっとピアノへと向き合い、そのスキルを高めていたようだ。  「イマジン」以外の楽曲だと、先日YouTubeにアップされた竹内まりやのカバー「元気を出して」やミュージカル『アニー』でおなじみの「Tomorrow」でその魅力を再検証できるのだが、先述した低音の魅力はやはり「Tomorrow」でも健在。サビでの伸びやかな歌唱は「イマジン」の時よりもさらに力強い高音で歌われており、改めてレンジの広さを証明している。  また、アップされているなかでは唯一の日本語曲であり、原曲よりも跳ねたテンポで歌われている「元気を出して」も、選曲の妙を感じさせるといっていい。竹内まりやの歌声は、明るさや温かさのなかにどこか陰りや切なさを含んでいるが、わたなべの声質もそれに近い要素を持っているのかもしれない。  ここまで、彼女の歌を見て、聴いて受けた衝撃について書いてきたが、とはいえわたなべはまだ12歳。シンガーとしてはまだまだこれから成長していくのだろうし、その過程でどんな音楽に触れるかで、そのタイプやジャンルも大きく変わってくるだろう。最終的にはどんなピアニスト・シンガーへと進化を遂げ、聴き手をワクワクさせてくれるのか。大きな舞台で演奏する彼女の姿を想像しながら、そんなことを考えるのであった。(中村拓海)

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