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22年前の小学生のときに書いた個人新聞が素敵すぎる

エキサイト Bit のロゴ エキサイト Bit 2016/12/26 内堀たかふみ

埼玉県・越谷在住の浅見俊哉さん(34歳)が見ているのは、厚さ5cmの紙の束。でもただの束ではない。小学生のときの手作り「新聞」なのだ。全部で320号ある。

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1枚1枚実際に浅見さんとめくっていきながら、その細かさに感心。例えば……。

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それだけではない。

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浅見さんの通っていた小学校では「個人新聞を作る」というプログラムがあった。それは書き終えたら先生の認め印を押してもらい、後ろの壁に張っていくという行事があったとか。浅見さんは、新聞を見た友達からの反応が楽しくて、休み時間や授業中もこっそりと書き続けたという。所定の用紙がなくなり、隣のクラスにもらいに行ったことも。

この新聞には他にどんなことが書いてあるのか一部ご紹介。「家庭科でミシン縫いを習ったよ」という報告や、「卒業式の練習がつらい」とグチをこぼしたり、班替えした後の友達の名前をずらずら書いたり、朝から起きてから夜寝るまでの1日の過ごし方を延々と綴ったり、倒立前転のヒミツを教えてくれたり、釣りのルアーをイラストつきで事細かく紹介していたりと、小学生らしくて微笑ましいのだ。

個人と社会とのかかわり

さらに号を重ねていくと、新聞は次第に、社会との接点を持ち始めていく。

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さらに1994年の年末からこの新聞には「最近地震が多い」という記事を見かけるようになっていく。

浅見さんと話していて、「この時期は地震が多かったんですね」などと回想していると、1995年1月17日の朝に書いた新聞を見つけた。その日はまさしく、阪神大震災の日だった。

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個人新聞ではあるものの、まさにあの時の日本に生きていたことを思い知らせてくれる。それにしても浅見さんも、「久しぶりに見たけど、阪神大震災のこと、さらには『最近地震が多い』と書いていたとは我ながら驚いた。情報への感度が高まっていたのでは」と語っていた。

時間のコレクション

このように、新聞が過去から今の自分に訴えかけているように、浅見さんは現在、写真作家として「時間」を大切にした活動をおこなっている。例えば、広島の爆心地2キロ圏内で被爆した170本の「被爆樹木」に毎年出向き、木に生えている葉っぱを感光紙の上に載せて日光に当て、葉っぱの影を写し取るという「日光写真」作りをしている。こうすることで、1945年月6日から今までその木が生きてきた時間までも刻み付けられると思ったという。それを「呼吸する影」という題名で発表している。

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また各地へ行って、ペンライトで自分の体の輪郭をなぞり、一筆書きをしながらその間の写真を長時間露光で撮るアートなども手がけているという。

きれいな写真を撮ったり、上手な絵を描く人はたくさんいるが、過去の記憶を作品にしたり、生きた証を作品に刻みつけることができる仕事は素敵だ。

思い出が語りかけてくれるもの

浅見さんはこの新聞について改めてこう語る。「こうした物は普通だと『捨てなさい』と親に言われると思いますが、幸いなことに母親が全てとっておいてくれたんです。でも実は中学・高校時代は、新聞を書いていたあのころが恥ずかしくて、見返さないようにしていたんです。そのとき引っ越しがあったら、捨てていたかもしれない。でも大学で美術を学んで価値があるものは何かを知るようになったとき、この新聞と再び向き合えるようになったんです」

以来この新聞は、浅見さんにとって「面白さの物差し」を取り戻してくれる貴重な原点となったという。

かさばるのが良い かさばるから良い

 

さて実は、浅見さんがとってあるものはこれだけではない。子どものころ描いていた200枚以上の絵や運動会の賞状、自分がゲームキャラとなって自分で攻略法を解説している豆本など、とにかくあらゆる物をとっておいてあるのだ。

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デジタルの時代、かさばる紙に囲まれる。それは実は今、すごく贅沢なことなのかもしれない。浅見さんは6年間背負っていたランドセルにそれらをしまって帰っていった。

浅見さんの現在の活動はこちらまで。

http://asa19821206.wixsite.com/shunya-asami

12月27日は埼玉県八潮市で、思い出の品を持ち寄って日光写真を作るワークショップを開催。見学希望の場合はshichizu@yahoo.co.jpまで

(内堀たかふみ)

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