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5分で分かる、2017年ハイプ・サイクルの注目ポイント

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/08/25
5分で分かる、2017年ハイプ・サイクルの注目ポイント: ハイプ・サイクル(出典:ガートナー ジャパン) © ITmedia エンタープライズ 提供 ハイプ・サイクル(出典:ガートナー ジャパン)

 米調査会社のGartnerが毎年発表している「Emerging Technologies Hype Cycle」の2017年版が公表されました。毎年夏は、このニュースを心待ちにしています。日本語版の「先進テクノロジーのハイプ・サイクル」も近日中にガートナー ジャパンから発表されるでしょう。

●ハイプ・サイクルとは

 ハイプ・サイクルを簡単にいうと、IT業界での注目技術をリストアップし、S字が横に寝たような特殊な曲線上にプロットしたものです。

 IT業界で新しい技術や製品が発表されると、最初は「これはすごい」「夢の技術だ」ということで、注目度が一気に上がります。これが「黎明(れいめい)期」。しかし、そういった技術は、狙いは良くても実装が追い付かなかったり、周辺技術が整っていなかったりして、最初は狙い通りの効果を出せないことがほとんどです。そのため周りはがっかりし、「過度な期待のピーク」に達した技術は「幻滅期」に入ります。ここでなくなってしまう技術も多いのですが、実装や周辺技術が追い付いてきた技術は、徐々に現実のビジネスで採用されていきます。これが「啓蒙(けいもう)活動期」です。その後、技術が安定すると、「生産の安定期」に入り、広く普及していく、という流れになる――という考え方です。

 これを、縦軸に期待度、横軸に時間をとって曲線にしたのがハイプ・サイクルです。多くの技術がこの曲線上を動くというのがGartnerの主張で、IT業界の最新動向や今後のトレンドを見る上で非常に重要なものとされています。

 ここで注意したいのは、“過度な期待のピーク(以下、ピーク)にある技術が必ずしもその後に時代をけん引していくわけではない”ということです。むしろ、ピークにある技術は、理想と現実のギャップを抱えている状態であり、次の瞬間には幻滅され、最悪の場合消えていく可能性もあります。こちらに、Gartnerのアナリストによるハイプ・サイクルの見方が載っています。

●デジタルプラットフォーム=次世代EAか?

 Gartnerは2017年版のハイプ・サイクルで、今後5〜10年で重要になる3つのメガトレンドとして「どこでもAIとなる世界(AI everyware)」「透過的なイマーシブ・エクスペリエンス(没入型の体験:Transparently Immersive Experiences)」「デジタルプラットフォーム(Digital Platform)」を挙げています。

 AIやAR/VR関連は分かりやすいと思いますが、デジタルプラットフォームとは、何でしょうか? 調べてみると、Gartnerの造語のようで、デジタル技術をベースにした新しいビジネス用のプラットフォームを指すようです。前からあるものではありますが、今回はIoTやAIなどの新しい時代の技術を使う意味で、前とは違う位置付けなのかもしれません。

 先に上げたGartnerのリリース記事中の「digital platforms」からリンクされている記事を見ると、デジタルプラットフォームは、IoTとAIによって強化されたEA(エンタープライズ アーキテクト)ということのようです。

●2016年版ハイプ・サイクルからの変化

 ハイプ・サイクルは、毎年の流れを見ることも重要です。2016年版のハイプ・サイクルと2017年版を比べてみると、いくつかの変化が見られます。

 1つは、2016年にピークにあった「機械学習(Machine Learning)」が、2017年も同じくピークにあることで、同じ技術が2年連続でピークにとどまるのは珍しいことです。過去には、「クラウドコンピューティング」が3〜4年、ピークに居続けたことがありますが、それは例外で、翌年には幻滅期に落ちるのが普通です。

 また、2017年は機械学習とともに「ディープラーニング(Deep Learning)」がピークにありますが、2016年は機械学習だけで、ディープラーニングは黎明期にさえありませんでした。いきなり出てきたのか、機械学習から分岐したのか。いずれにせよGartnerは今後、この2つを区別していくのでしょう。

 2016年に黎明期にあった「ブロックチェーン(Blockchain)」が、2017年で早々にピークを過ぎつつあるのは、なるほどと思いました。2017年は金融業界でブロックチェーンの導入が加速し、ビットコインも最高値を更新し続けています。社会へのインパクトが大きいという評価はまだ変わっていないと思いますが、反面、合意形成などの実装が難しく、本格的な実用化にはもう少し時間がかかりそうだという議論も出てきているので、この評価は妥当なのかもしれません。

 しかし、ピークを過ぎて幻滅期に、と思わせておいてそのまま啓蒙活動期にワープするということもありえますから注意が必要です。

 「仮想現実(AR)」は、幻滅期の最低部、「仮想現実(VR)」は啓蒙活動期で、2016年と変わっていません。それにもかかわらず、GartnerがメガトレンドとしてAR/VRなどによる「透過的な没入体験」を選んでいるのは、これらの技術がこの先、安定期に入り、本格的な実用化が始まるとみているためでしょう。

 「IoTプラットフォーム」は、いまだピークへ向けて期待値を上げています。その他、黎明期には、AI関連のキーワードが多くリストアップされています。新たに「サーバレスPaaS(Serverless PaaS)」も出てきました。ハイプ・サイクルで知らないワードを見つけたら、この機会に調べてみてはいかがですか?

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