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7FFプロセスは今年後半、7FF+は2019年に量産 TSMC 半導体ロードマップ

ザテレビジョン のロゴ ザテレビジョン 2017/07/10
7FFプロセスは今年後半、7FF+は2019年に量産 TSMC 半導体ロードマップ © KADOKAWA CORPORATION 提供 7FFプロセスは今年後半、7FF+は2019年に量産 TSMC 半導体ロードマップ

 前回まで各社の製品ロードマップのアップデートをお届けしたが、ついでに先端プロセスに関してもいろいろ話題が出てきたので、これをファウンダリー別にまとめておこう。今回は台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー (TSMC)の話題だ。 世界最大の半導体製造ファウンダリーであるTSMC 世界最大の半導体製造ファウンダリーであるTSMC  そのTSMC、報道関係者向けにはほとんど情報を開示しないのだが、今年5月に米国でテクノロジー・シンポジウムを開催した。このシンポジウムにCadence社が協賛している関係で、同社のブログにその概要が掲載されている(その1)(その2)。この情報を基に概略を紹介していく。 10FFプロセスの大口顧客はAppleiPhone 8に搭載されるA11チップを全力で製造中  まずロードマップ概観である。下の画像は昨年10月のものだが、ハイパフォーマンス向けを見ると28HP/28HPMを経て、ごく一部の製品を除くと20SoCをスキップして16FF+に移行。そして10FFを経て2017年中には7FFのRisk Production(リスクありの先行生産)にこぎつける、というものだった。 ARM Technical Conference 2016におけるTSMCのセッションより。それぞれの左端がRisk Production開始の時期(右端には意味はなし)だそうである ARM Technical Conference 2016におけるTSMCのセッションより。それぞれの左端がRisk Production開始の時期(右端には意味はなし)だそうである  このうち昨年の段階ですでに28HP/28HPM~16FF+は量産に入っており、10FFのRisk Productionも始まっていたのは事実である。あとは今年中に7FFのRisk Productionに入れるかどうか、というあたりが見所と思われていた。  そこから半年たった今年5月におけるロードマップは、以下のようになる。 2017年のTSMCロードマップ ハイパフォーマンス 10FF→7FF→7FF+ メインストリーム 16FFC→12FFC→7FFC ローパワー/IoT 55ULP/28HPC+→28ULP→22ULP→12FFC/ULP  ここでハイパフォーマンス向けとはハイエンドスマートフォン、HPC、Automotive、Gameと定義されており、CPUやGPU向けプロセスということになる。メインストリームは数が一番出るメインストリームスマートフォンや自動車関連向け、ローパワー/IoTはそのものズバリで、組み込み機器向けということになる。  CPUやGPU向けは「公式には」現在の16FF+の次に10FFが来ることになっており、TSMCによればProduction Qualification(量産向けの品質確認)が完了。すでに量産そのものも開始されており、同社のGigaFab 12とGigaFab 15で今年後半に本格量産が開始される予定だ。 Fab 12a Fab 15 Fab 12a Fab 15  TSMCの計画では、今年中に10FFで製造するウェハーを40万枚出荷予定としている。その最大の顧客がAppleなのも間違いないと思われ、同社のiPhone 8に搭載されるという噂のA11チップの製造が全力で開始されているはずだ。  ただAppleのA11を除くと、多くの顧客がこの10FFをスキップし、次の7nmに向かおうとしている。比較的早くからこれを表明したのがXilinxとAppliedMicro(現MACOM)であるが、GPUメーカーも同様の判断をしているらしい。  TSMCの公式発表では、10FFは16FF+と比較して消費電力が40%削減され、性能が20%向上、エリアサイズを50%削減できるとしているが、GPUベンダーにとってはこの数字では十分ではない、としている。  もっともこのあたりはターゲットの市場次第であって、例えばARMなどは同社のCPU IPとGPU IPのPOPを10FF向けに提供する予定なようだ。逆に言えばモバイル向けには10FFは悪くない(それ以外は悪い)というのがもっぱらの評判で、ちょうど同社の20SoCと同じような運命を辿りそうである。  それもあってか、TSMC自身が10nmについては“Long-lived node”とは表現していない。要するに長期間使われるプロセスと考えてはいないということだ。同社は後述する12FFCが“Long-lived node”になるだろう、としている。  したがって、16FF+を使ってモバイル向け以外の製品を作るユーザーは、次期製品のプロセスをどうするかについて悩むことになった。インテルが14+や14++、あるいはGlobalFoundriesが14LPP+をリリースする理由がそこである。  インテルは10nmがやや後ろに押していることもあり、そこまでのつなぎとして14nm世代を改良した14+と、さらに14++もリリースすることを明らかにしている。GlobalFoundriesも同じで、同社は10nmはスキップするので、次は7nmになる。そこまで待てない顧客(主にAMD)向けに、14LPP+を提供する。  ちなみにサムスンは10nmを無事に立ち上げて2016年中から量産を開始しており、すでに10nmで製造されたSoCが搭載されたスマートフォンが市場に出ている状態である。同社は10nmをやはりLong-lived nodeと位置づけており、14LPPの改良版などを手がける予定はない。  ではTSMCは? というと、本来は16FF+の次に10FFが来るわけだが、立ち上がりが予想よりやや遅れた(とはいってもAppleのA11の製造には間に合ったようだが)うえ、多くの顧客が10FFを拒否している。その最右翼がNVIDIAであった。  かくしてNVIDIAは、連載413回で説明した通り、16FF++とでも言うべき独自プロセス(NVIDIAの表現では12FFN)を自社製品に使うことをTSMCに認めさせるに至った。  これはNVIDIAのような大口顧客だからこそ可能な技でもある。NVIDIAは昨今のAIブームのおかげで売上も好調であり、GPGPU向けに数量はともかくウェハー数としてはかなりの量をTSMCから購入している。  とくにVoltaのGV100コアは、800mmものダイであり、歩留まりを考えると、今年必要とするウェハーだけで1万枚を超えるかもしれない。もしもGV100に続きGV104やそのローエンドのGV106などまで使うと、NVIDIA一社だけで10万枚くらいのウェハーを購入することになるだろう。  これだけの枚数を購入してくれるのならば、それはカスタムプロセスを作っても採算が合うだろう。逆に言えば現時点でもまだTSMCは12FFNを自社のロードマップに載せておらず、これはあくまでNVIDIA向けの特注ということになる。 7FFプロセスは今年後半に本格量産開始  これに続くのが7nm世代である。最初のプロセスである7FFはすでに今年4月からRisk Productionが始まっていることが明らかにされており、順調であれば今年後半、それもやや遅い時期に量産がスタートすると思われる。  年内にはさらに20以上のテープアウトが予定されているそうで、Volume Productionに入るのは2018年前半だろうか。これに続くのが7FF+で、こちらは2018年後半にAvailableになる、とされている。いろいろ突っ込みどころの多い話ではあるが、順に説明していきたい。  まず7FFと7FF+の違いについて。最大の違いは露光である。7FFは、ArF+(フッ化アルゴン)液浸という従来の露光プロセスをそのまま利用して露光するが、7FF+はEUV(Extreme Ultraviolet Lithography:極端紫外線リソグラフィー)を使っての露光である。  この結果、配置配線というか物理設計に関して、現実問題として2つのプロセスの間に互換性がない。ArFを使う場合、7nm世代ではQuad Patterningが必要である。要するに全体のパターンを4回に分けて露光の手順を取るというものだ。  このために必要な工夫が“Color”である。これは、隣り合う配線に別々の“色”を割り当て、色が重ならないように工夫する必要がある。こう書いてもわかりにくいと思うので例を挙げよう。  下の写真の左はTriple Patterningの例で、この場合はカラーが3色となるのだが、手前の拡大部で、ピンクとオレンジと緑が、隣り合わないようになっているのがわかる。 ARM Technical Conference 2016におけるSynopsisとサムスンのセッションより。これはサムスンの10nmプロセスをSynopsysのツールでサポートするという実例だ ARM Technical Conference 2016におけるSynopsisとサムスンのセッションより。これはサムスンの10nmプロセスをSynopsysのツールでサポートするという実例だ  これが隣り合うとどうなるかというと、パターンが崩れてくっついてしまったりする可能性が高いためである。このカラーリングは以前からあり、16nmまではDouble Patterningということで2色で済んでいたのが、10nmではTriple、7nmではQuadとどんどん色数が増えていっている。  話を戻すと、7FF用のマスクはこのQuad Colorに対応したものになる。ところが7FF+ではEUVを使うことで、Double Patterningで済む。つまりDouble Colorに対応したマスクで済むわけで、マスクそのものがまったく異なることになる。  当然最適化をかけると、物理的な配置配線が変化することになるので、新規にやり直しになる。実際TSMC自身もEUVレイヤーに関しては再設計が必要、と明確に説明している。  ただ現実問題として再設計した結果として物理的な位置が変わると、当然配線層も影響を受けるわけで、現実問題として全部再設計に近いと思われる。 大本命の7FF+は7FFより性能が10%向上  7FFと7FF+の性能だが、TSMCによれば7FFは以下のようになるという。 16FF+に比べて消費電力が60%削減され、性能が30%向上、エリアサイズを70%削減できる 10FFと比べると消費電力が40%弱削減され、エリアサイズを37%以上削減できる  一方、7FF+の性能は、以下のようになる(10FFとの性能比較は不明)。 7FFに比べて性能を10%向上させられ、エリアサイズを15~20%削減できる(消費電力は不明)  どうみても本命は7FF+ということになる。実際、先にテープアウトが年内に20以上と書いたが、7nmを待ってるデザインは20どころか100では効かないほどあるにもかかわらず、たった20しかないというあたりが7FFの問題である。  ちょうどTSMCの16FFと同じように、16FF+を待ちきれないものだけがやむなく16FFを使ったのと同じように、7FF+を待ちきれない製品だけが7FFで製造しようとしている、という感じだ。つまり7nm世代で製造と言っているほとんどの製品は7FF+と予測されることになる。  問題は、その7FF+がいつ出てくるかである。TSMCは7FF+について先に書いたとおり2018年にAvailableとしているが、これはおそらくRisk Productionのこと。量産開始は早くて2019年初頭、本格量産は2019年後半と予測される。  ここで鍵を握るのはEUVの露光装置である。EUVに関してはオランダのASMLが現在のところ唯一の装置メーカーになってしまっており、そのASLMの7/5nm世代向け露光装置のNXE:3400Bが、今年中に出荷を開始することが明らかにされている。  NXE:3400Bは、設計では1時間あたり125枚のウェハーを処理できるとされているが、光源出力は実際には150W近辺らしい。EUVの話は連載252回で紹介したが、ここでGlobalFoundriesの示した「1時間あたり120枚」という最低ラインはなんとか超えられたスペックである。  2014年の時と試算の条件が異なるのは、「ArFのQuad PatterningをEUVのDouble Patternigで置き換える」というシチュエーションになっていることで、このシチュエーションであればEUVでもArFと同等のスループットになる、とみなしているようだ。  ただ、これが本当にうまくいくのか、それとも単に机上の空論で終わるのかは現時点でははっきりしていない。ASMLはNXE:3400Bを現在21台受注しているそうで、これを順次顧客(インテル、TSMC、サムスン、GlobalFoundries、etc...)に納入するわけで、納入が終わり初期調整からパイロット運転を経て、量産まで持っていくにはまだ1年以上かかると思われる。  この段階で問題がなければ、2019年後半には本格量産に入れることになるのだが、ここでなにかあった場合には本格量産が2020年までずれることになる。その場合、7FF+待ちだった顧客はどうするのか? というのが次なる問題である。もっともこれはTSMCに限った話ではなく、他のファウンダリーもほぼ同じ状況である。

7FFプロセスは今年後半、7FF+は2019年に量産 TSMC 半導体ロードマップ

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