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AI分野で次々と“競合と協業”するMicrosoft、その狙いは

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/09/15 07:00
AI分野で次々と“競合と協業”するMicrosoft、その狙いは: 画像:ITmedia © ITmedia エンタープライズ 提供 画像:ITmedia

 先日、スマートスピーカー(と実質的にはAI)についてのAmazonとMicrosoftの提携について書いたばかりですが、新たにMicrosoftとFacebookがONNX(Open Neural Network Exchange)で提携というニュースが飛び込んできました。

 この2つのニュースの共通点は何かというと、どちらもAIに関するライバル企業との提携ということです。IT業界で競合する他社と提携するのはよくあることですが、今回はちょっと珍しいのではないかと思います。ひょっとするとMicrosoftは戦略的なレベルでギアを入れ替えたのかもしれません。

 というのも、これは、特定の技術分野において、競合するプレイヤーが極端に少ない中での提携だからです。

 提携というと、双方の技術を補完する形で行うのが一般的です。Microsoftは、クラウドへの参入に後れを取った2013年、仇敵Oracleとの提携を発表して世間を驚かせたことがあります。

 しかし、この記事をよく読んでみると、AzureのHyper-V上でOracleを動かすということに過ぎません。技術的に何ら新規性はなく、マーケット向けのアドバルーン的な提携です。

 しかし、AIについては状況が違います。現在米国でAIをけん引しているのは、Google、IBM、Microsoft、Facebook、Appleといったところでしょう(もちろん、その他大多数の企業も取り組んではいるでしょうが)。この5社は最先端の技術革新にしのぎを削っています。

 Microsoftはそのうちの2社と立て続けに提携したわけです。ここまで完全に同じ分野で競合しているライバルと、技術面で提携するというのは珍しいと思います。先のMicrosoftとOracleの例でいえば、「SQL Server」と「Oracle Database」の相互連携とか、新機能の共同開発といったレベルの話です。

 ちなみにこの5社は既にAIで提携を発表していますが、これは業界団体的なもので、技術提携とは少し違うと思います。

●先行するGoogleに追い付く戦略か

 私が思うに、今回の動きはAIで先行するGoogleに追い付くために、Microsoftが第2グループをまとめにかかっている――ということではないでしょうか。

 AI開発は競争が激しいと同時にコストも時間もかかる分野であり、単独よりは協業の方が効果を上げやすいでしょう。共通の敵を設定できれば、そこに追い付くまでは協力する方がメリットが大きいと考えられるからです。

 かつて、Microsoftは逆の立場に置かれていました。オープンソースの「Linux」が出てきたとき、Microsoftは最初、ハナも引っ掛けませんでした。しかし、Microsoft以外の企業はLinuxの採用を進め、その後サーバOSとしてLinuxは一大勢力にのし上がってMicrosoftを苦しめました。これは、独占状態であったMicrosoftが、オープンソースを中心にした他社連合に追い落とされたと見ることもできます。

 それを逆手にとったのが、今回のMicrosoftということができるのではないでしょうか。オープンな技術とそれを中心にした協業は、独占状態や1社が突出した状況を崩す力を秘めています。

 Microsoftは、2014年にナデラCEOが就任し、それまでの方針を大転換しました。OSへのこだわりを捨て、クラウドに舵を切り、オープンソースとの和解も成し遂げました。その結果は良い方向に働いているように見えます。今回の一連の提携は、それに続く“第2幕の幕開け”となるのかもしれません。

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