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AMDの第3世代省電力APU“Mullins”と“Beema”の特徴を解説

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/04/30 ITMedia
第3世代の省電力APU、MullinsとBeemaの特徴 第3世代の省電力APU、MullinsとBeemaの特徴

 AMDは、同社としては第3世代となる省電力APU“Mullins”(マリンズ:開発コードネーム)と“Beema”(ビーマ:同)を発表した。この両APUは、現行APUの「Temash」および「Kabini」とCPUコアやAPUコアそのものの基本設計は共用だが、大幅な省電力化と性能向上を果たしている。

 MullinsとBeemaのCPUコアには、新たに“Puma+”(プーマ・プラス)の名称が与えられているが、アーキテクチャ的には従来のJaguarコアと変わりがない。しかし、半導体製造プロセスの最適化やよりインテリジェントなパワーマネジメント技術の採用によって、省電力性を大幅に高めている。

 グラフィックスコアも、GCNアーキテクチャに変更はない。ただし、半導体製造プロセスの成熟により、同じ消費電力でも動作クロックを高めることができるようになっている。その一方で、MullinsとBeemaは、ARM Cortex A5をセキュリティエンジンとして統合するなど、半導体設計は従来のTemash/Kabiniから変更を加えている。

 Mullinsは、Temash後継となるタブレット向けSoCだ。MullinsベースのクアッドコアSoC「AMD A10 Micro-6700T」のTDP(Thermal Design Power)は4.5ワットと、Temashの8ワットから約半分に低減されている。

 そのパフォーマンスについても、PCMark 8では若干の性能向上を果たし、消費電力あたりの性能は約2倍に向上しており、グラフィックス(3DMark 11)については2倍以上の性能向上(消費電力あたり)をうたう。同社はこのMullinsベースのタブレット向けSoCとして、下記の3製品を投入する。なお、デュアルコア構成のエントリーモデルとなる「AMD E1 Micoro-6200T」は、現行のTemashとTDPハ変わらず、2.8ワットとなる。

 一方、Beemaは低価格ノートPCや超小型デスクトップ向けSoCとなり、KabiniのTDP 25ワットと比べ、約40%削減となるTDP 15ワットを実現しつつ、消費電力あたりのグラフィックス性能を10%以上向上させている。同社は、このBeemaベースのSoCとして、下記の4製品をラインアップする。

●ハードウェアセキュリティ機能を統合

 MullinsとBeemaでは、ARMベースのハードウェアセキュリティ機能を統合したことも大きな特徴だ。両SoCは、AMR Cortex A5をPlatform Security Processor(PSP:プラットフォーム・セキュリティ・プロセッサ)として統合し、ARM TrustZoneをサポート。TrustZoneは、物理メモリのTrusted OSと呼ぶ専用OSを動作させることで、WindowsやLinuxといった汎用OSの動作を監視してマルウェアなどの攻撃や、セキュリティ解除の動きを検知・防止することを可能にする。

 また、このPSPではICカードのセキュリティに関する標準化団体であるGlobal Platformや、Trusted Computing GroupがモバイルOS向けのオープンスタンダードとして採用する「Trusted Execution Environment」(TEE)もサポートしており、業界標準技術を採用することで、幅広いプラットフォームやアプリケーションで、すぐれたセキュリティ機能を実装できるとしている。

●大幅に強化された省電力機能

 AMDは、MullinsとBeemaにおいて、大幅な省電力機能のアップデートを行なっている。同社がターゲットとしたのは、制約の多い熱設計でも、SoCの半導体性能を引き出すことだ。

 現在、熱設計の制約が厳しいタブレットでは、SoCの表面温度を“しきい値”として、電力制御を行なっている場合がほとんだ。しかし、MullinsはBeemaと同じ半導体を使っていることからも分かるとおり、SoCそのものの性能や熱設計には余裕がある。

 そこで、Mullinsでは新たにタブレット本体の温度を新しい“しきい値”とすることで、これまで以上に高い表面温度でも一定時間動作するようにすることで、より高い動作クロックでの動作を可能にし、パフォーマンスアップを図っている。

 その一方で、MullinsとBeemaでは、Webブラウジングなど、ブースト動作によって動作周波数を引き上げてもあまり効果がないアプリケーションを認識し、これらのアプリケーションでは動作周波数を固定にすることで、電力消費を抑えるインテリジェント・ブースト・コントロールもサポートする。

 また、バッテリー駆動時間を引き延ばすため、ブースト動作と同時にSoCの利用しない機能をすばやくオフにすることで、消費電力の低減を図っている。さらに、MullinsとBeemaでは、半導体製造技術の成熟と半導体設計の最適化により、リーク電流はTemash/Kabiniに比べて、CPU部で19%、より専有面積の大きいGPU部ではその倍の38%を削減することに成功している。

 この省電力性能とパフォーマンス向上の両立には、新たに改良された省電力DDRメモリインタフェースも寄与している。Beemaでは、DDR3-1866に対応することで3D性能を向上させているほか、DDR3L-1333の新しい低電力モードをサポートすることで、メモリの消費電力を500ミリワット低減。また、ディスプレイインタフェースについても、電源回路の改良により200ミリワットの省電力化を果たした。

 同社はさらに、省電力技術ロードマップも公開し、2014年末にはAPUの電源回路をシリコン統合する「Integrated Voltatge Regulation」や、SoCの各機能ごとに、よりきめ細やかな電力制御を行なう「Per Part Adaptive Voltage」などを実現する意向を示した。

[本間文,ITmedia]

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