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Androidに刷新しておサイフケータイにも対応 「NuAns NEO [Reloaded]」投入の狙いを読み解く

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/02/25
Androidに刷新しておサイフケータイにも対応 「NuAns NEO [Reloaded]」投入の狙いを読み解く: Androidベースのスマートフォンに生まれ変わった「NuAns NEO [Reloaded]」 © ITmedia Mobile 提供 Androidベースのスマートフォンに生まれ変わった「NuAns NEO [Reloaded]」

 Windows 10 Mobileを搭載し、日本初の「Continuum」対応機種として華々しいデビューを飾った、トリニティの「NuAns NEO」が発売されてから約1年。待望の後継機が、ついに発表された。映画「マトリックス」に登場するヒロインが社名の由来であるトリニティらしく、新機種の名称は同作の2作目から取り「NuAns NEO [Reloaded]」となった。

 OSも一新し、スマートフォン市場で一般的なAndroidを搭載。さらに、SIMロックフリースマートフォンではまだ珍しいおサイフケータイにも対応する。トリニティが、このNuAns NEO [Reloaded]を投入する狙いはどこにあるのか。SIMロックフリースマートフォン市場に与える影響なども、考察していく。

●「プロダクトアウト」と「マーケットイン」を融合させた商品作り

 先代のNuAns NEOは、「プロダクトアウト」の発想で開発された。トリニティの星川哲視社長は、「NEOはプロダクトアウト型の製品で、この方がいいということでリサーチも一切せずに作った」と開発当時を振り返る。ユーザーの声を反映させた製品は、ともすると意見を集約しただけの凡庸なものになってしまいかねない。トリニティがデザインユニットのTENTとタッグを組んで立ち上げた周辺機器のNuAnsシリーズは、これとは真逆のモノ作りをしている。NuAns NEOも同じで、「こういうスマートフォンがあってもいいのではないか」という、トリニティからの提案だった。

 実際の製品を見ると、そのモノ作りの仕方がよく分かる。例えば、「薄型構想からの脱却」(星川氏)はその1つといえるだろう。各社のスマートフォンは競うように薄型化しているが、トレードオフとして持ちやすさが損なわれ、バッテリー容量も犠牲になっていた。これに対し、NuAns NEOは本体にあえて厚みを持たせ、持ち心地をよくしたうえに、3350mAhのバッテリーを搭載することができた。「(薄型化すると)デザイン面でもいろいろな制約が出てくるが、端子をそろえるなど丁寧に作ったことで造形も美しくなる」(同)というメリットも生まれた。

 本体であるコアとカバーが分かれ、背面のデザインを自由に組み合わせられるのも、プロダクトアウト的な考え方で生まれた仕掛けといえるだろう。「スマホと装飾を分けるというのがコンセプト」(星川氏)だというが、これは長年、iPhoneやXperiaのアクセサリーを手掛けてきたトリニティだからこその発想だ。そのカバーにもこだわり、クラレの「クラリーノ」や、東レの「ウルトラスエード」、天然木材を使った「テナージュ」などを採用。見た目が優れているだけでなく、手触りまで楽しめる。

 NuAns NEOのこうしたコンセプトは高く評価された一方で、「市場に出すとさまざまなフィードバックが返ってきた」(星川氏)。その代表的な意見が、「OSをAndroidにしてほしい」というものだ。トリニティによると、NuAns NEOの購入希望者の実に95%がAndroidを希望していたという。Windows 10 Mobileは、Windows 10とアプリを共通化し、Continuumのような機能に対応するなど目新しさはあったが、個人のユーザーが使うには決定的にアプリが足りず、OSそのものの機能も進化の途上にある。バージョンアップを重ね、成熟しつつあるiOSやAndroidとは、大きな差があるのも事実だ。

 NuAns NEO [Reloaded]の開発にあたっては、この声を取り入れた。星川氏は「Windows 10 Mobileでやりたいことは実現した。もともと、Windowsを作りたいというより、人々に使ってもらえるものを作りたかった。今回はAndroidで行こうというのが、われわれの出した答え」と語る。先に挙げたプロダクトアウトとは逆に、「マーケットイン」型の開発をしたというわけだ。OSには、Android 7.1を採用。ユーザーインタフェースには手を入れず、Android Oneシリーズなどと同じ“素のAndroid”が搭載される。

●好評だったデザインやコンセプトはキープし、中身を一新

 新機種ではあるが、NuAns NEO [Reloaded]は、コンセプトやデザインだけでなく、サイズ感までもが先代のNuAns NEOとほぼ同じだ。その証拠に、NuAns NEO用に開発されたケースは、NuAns NEO [Reloaded]でもそのまま使える。「スマートフォンは年々薄くなっているが、モデルチェンジごとに変える必要があるのか。いいサイズで、評価も高いなら、ちょこちょこ変えるのではなく、変えないことも新しいのではないか」(星川氏)というのが、その理由だ。インテリアなどのライフスタイル製品を志向するNuAnsらしい考え方ともいえるだろう。

 一方で、中身は“まったくの別物”といえるほど、大きく変わっており、「細かなところまで、一から再設計した」(星川氏)という。本体のサイズはほぼそのままだが、ディスプレイサイズは5型から5.2型へと拡大した。ディスプレイが大型化したにもかかわらず、サイズを変えずに済んでいるのは、「シャープの狭額縁モデル(の液晶)を使っている」(同)ところにカラクリがある。実際に先代のNuAns NEOとNuAns NEO [Reloaded]を並べてみると、後者の方が、よりディスプレイの占める比率が高くなっており、シャープな印象を与えることが分かるはずだ。

 また、チップセットはQualcommの「Snapdragon 617」から「Snapdragon 625」にアップグレードされ、メモリ(RAM)は2GBから3GBに、ストレージも16GBから32GBにそれぞれ増量されている。「初代では対応できなかった」(星川氏)という指紋認証にも対応。カメラも「こだわりが足りなかったところ」(同)だったが、ソニーの製の1300万画素センサーを搭載し、位相差オートフォーカスにも対応した。

 さらに星川氏は「ASUS、Huawei、FREETELは市場調査で70%のシェアがあるが、この3メーカーの端末には、毎日使うのに採用されていない機能がある」と続ける。それが、日本市場で重視される防水だ。NuAns NEO [Reloaded]は、SIMカードスロットなどにキャップを施すことで、IP54の防塵(じん)・防滴に対応。「キッチンなど、さまざまシーンで使えるようになった」(同)と利用できる場所の幅も広げた格好だ。

 LTEの対応バンドも広げ、ドコモ、au、ソフトバンクの3大キャリアとそのMVNOで利用できるようになった。auに関しては、「IOT(相互接続試験)を実施するかどうかは未定」だというが、au VoLTEにも対応していく方針。「日本で、ほぼ全てのサービスをそのまま受けられるようになった」(星川氏)。

 見た目を維持しつつ、中身を最新のスペックにするというのは、文字にすると簡単なように見えるが、実際はゼロから端末を設計する以上に制約が生まれる。あらかじめ決まったサイズの中に、最新のチップセットやカメラセンサーなどを配置していかなければならないからだ。NuAns NEO [Reloaded]も、「基板の設計からやり直した」(星川氏)そうで、苦労のほどがうかがえる。

●おサイフケータイに対応し、他のSIMロックフリー端末との差別化も図る

 もう1つ、NuAns NEO [Reloaded]を語るうえで忘れてはいけないのが、おサイフケータイだ。冒頭で述べたように、おサイフケータイはSIMロックフリースマートフォンの中にも採用例がある一方で、3大SIMロックフリーメーカーのASUS、Huawei、FREETELは、まだ(SIMロックフリーでは)搭載端末を出せていない。

 ことSIMロックフリー端末のおサイフケータイに関しては、大手キャリアでの採用実績が多い、富士通やシャープが先行している状況だ。富士通の「arrows M02」「arrows M03」のように、売れ行きがいい端末もあるが、全体として見ると、まだまだ対応端末は少数派といえるだろう。

 対応するサービスは未定だが、星川氏は「個別のサービスについては、現在、コンテンツプロバイダーと調整している」としながらも、「基本的にはいわゆるおサイフケータイで使えるサービスは、全部使えるようにしていきたい」と語った。これを素直に受け取るなら、モバイルSuicaやiD、楽天Edyなどに完全対応するという意味になる。星川氏は明言を避けていたが、モバイルSuicaに対応するために、JR東日本の試験も行うと見ていいだろう。

 おサイフケータイへの対応にあたっては、FeliCaネットワークスの協力を仰いだ。FeliCaネットワークス側でも、おサイフケータイを広げるため、SIMロックフリー端末への対応を進めていた。ソニーモバイルの「Xperia J1 Compact」を皮切りに、富士通やシャープの端末が続々とおサイフケータイに対応したのは、そのためだ。同社のプラットフォーム推進部 相澤浩氏は「現在伸びているSIMフリー市場でも、FeliCa端末を拡充していきたい」と意気込みを語っている。

 目標は2020年で8000万台にFeliCaを搭載すること。ユーザー数も、同年までに2000万へと拡大させる計画を立てている。2017年は端末数とユーザー数がそれぞれ5000万台、1000万人。3年間で3000万台の端末を増やし、ユーザー数を倍増させるには、市場の拡大が急速なSIMフリースマートフォン市場への対応が欠かせないと判断しているようだ。その相澤氏も、「通信キャリアには納入していないメーカーとしては初のおサイフケータイ対応で、それだけでも驚くべきことだが、これまでに例がないほど開発スピードが速い」とトリニティのフットワークの軽さを称賛する。

 星川氏が、「Suica、PASMOを使っていた人が、明日から切符を小銭で買ってくださいと言われるのはハードルが高いが、おサイフケータイからそうでないものに行くのも同じ」と語っていたように、おサイフケータイは、一度使い始めると、元の生活には戻りづらい、生活に密着した機能だ。現在、同機能を利用している1000万人をターゲットにできることは、販売面でのインパクトも大きいだろう。

 とはいえ、SIMロックフリー市場はまだまだ拡大途上で、2016年からようやくハイエンドモデルも数が出始めるようになってきたところだ。キャリア経由の販売が大半を占める日本市場で、数十万台規模の大ヒットを飛ばせる可能性は残念ながら低いだろう。星川氏も2017年のSIMロックフリースマートフォン市場を300万台から350万台と推定したうえで、「そのうちの5%がハイエンド端末だが、アクティブな端末は4、5台。そのうちの1台に入れば、それなりの数を想像できる」と目標を語っていたが、これを最大で見積もっても3〜4万台といった数になる。

 逆の見方をすれば、わずか数万の規模でも、ここまでの端末を作ることができるということだ。見方もできる。しかも、トリニティのように小規模な日本メーカーが、だ。もちろん、これは日本市場に限った話。同社は2月27日から開催されるMobile World Congressにも、NuAns NEO [Reloaded]を出展する予定で、ここで商談がまとまれば、海外市場への進出も実現できるかもしれない。Androidに対応し、対応バンドも増えたことで、以前よりもその可能性はずっと高くなっているはずだ。

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