古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

Appleオリジナル番組「Planet of the Apps」が面白いのに全然注目されていない?

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/08/29
Appleオリジナル番組「Planet of the Apps」が面白いのに全然注目されていない?: Planet of the Appsの審査員たち © ITmedia PC USER 提供 Planet of the Appsの審査員たち

 Appleは6月から、Apple Musicでオリジナル番組「Planet of the Apps − アプリケーションの世界」(「Planet of the apes」=「猿の惑星」のもじりと思われる)の配信を開始。この8月にシーズン1が無事終了しました。

 番組はアプリ開発者が自身のアプリをプレゼンし、投資家からの資金援助を目指すという、まさにアプリ開発者版「¥マネーの虎」。マネ虎ファンの一人としてわくわくしながら初回を視聴したのですが、正直期待したほどではなく……。さらに配信開始直後は日本語字幕がなく、取り上げるには時期尚早だとスルーしていました。

 しかし久しぶりに見ると日本語字幕が選択可能になっており(6月中旬には対応していたらしい)、しかも回を重ねるにつれめちゃくちゃ面白くなっていました。普段はBGM代わりにAmazonプライムビデオやYouTubeのビデオを垂れ流す私ですが、エピソード7は気づけばMacの前で夢中になって観ていましたから。

 アプリ開発と資金調達という万人受けしないネタではありますが、マネ虎のようなビジネス系ドキュメンタリーが好きな人や、Webマーケティングに興味がある人はきっとハマるはず。アプリ開発者は教材として視聴必至。このために月額980円のApple Musicメンバーシップになっても、十分元は回収できます。

 以下少々ネタバレが入ります。

●3段階のプレゼンで資金獲得を目指す

 番組のルールはマネ虎よりも少し複雑です。まずプレゼンする志願者はすでにアプリをリリースしている人が多く、よりビジネスを拡大させるためにプレゼンに来ています。

 志願者は最初に「エレベーター・ピッチ」に乗り、審査員のもとにおりてくる60秒間で、開発したアプリのコンセプトを自らプレゼン。

 その時点で、興味を持ったことを示す“グリーンサイン”を審査員4人のうち1人でも出せば、今度は審査員の前で詳細をプレゼンします。驚いたのは、かなりの開発者がエレベーター・ピッチの段階で、全員からレッドサインを出され終了となっていたこと。たった1分で「ノーマネーでフィニッシュです」状態になるので、見ているこっちが胃が痛くなる楽しさを味わえます。

 第二審査のプレゼンが終了した段階で、志願者はグリーンサインを出した審査員の中から、6週間後のベンチャーキャピタルへの最終プレゼンへ向けたメンターを選びます。審査員がアドバイザーとなって、一緒に最終プレゼンに挑むルールは、マネ虎とまた違ってパーティーに仲間が加わるわくわく感があります。

 6週間の準備期間を経てベンチャーキャピタリストたちの前でプレゼンし、投資が決まれば出資金を獲得できます。果たしていくつのアプリが「マネー成立」となるのでしょうか?

●色々な意味でAppleらしい番組

 本番組はAppleが初めて独自で製作・配信する肝いりのオリジナル番組です。審査員は実業家のグウィネス・パルトロー、ジェシカ・アルバ、ウィル・アイ・アム、起業家のゲイリー・ヴェイナチャック。ベンチャーキャピタルはSnapchatに最初に投資した企業としても知られるLightspeedと豪華な布陣です。

 キャストだけでなく参加者も、性別、人種、年齢、障害などバッググラウンドはさまざまで、多様性を重んじるAppleらしさが出ていました。ジェンダー格差やセクハラ問題などが取り沙汰されるシリコンバレー界隈ですが、この番組ではすべての人にアイデアを形にするチャンスがあることを示しています。

 最初は「iOSアプリ開発者の増加と文化的醸成を狙うAppleのプロモーション色が濃い番組だな」とうがった見方をしていましたが、勉強になる気付きが多く単純に面白かったです。

 例えば、開発者たちは、アプリを広めたいがためにすぐにインフルエンサーを起用したがります。それに対し起業家のゲイリー・ヴェイナチャックは、「インフルエンサーは有名人みたいなものであって、販売の達人ではない。インフルエンサーマーケティングに販売スキルは不要だ」と忠告。初期のターゲットを再設定するよう促します(エピソード10)。

 インフルエンサーの起用はシリーズ内でたびたび起こりますが、そのWebマーケティング事情を逆手に取ったアプリがエピソード7に登場。インフルエンサーを利用するのではなく、彼らの価値を高め、既存のプラットフォームを生かすアイデアにはうなりました。

 プレゼンから資金調達までテンポよく編集されていますが、エンタメ性は少なく割と淡々と進むので、万人受けはしないかもしれません。ただ専門用語がバンバン飛ぶリアルなビジネスシーンがのぞけるので、アプリ開発や起業の勉強に最適。技術用語にはきちんとテロップで解説も出ます。

 「Planet of the Apps」はApple Music会員であれば全編視聴できます。さらに8月からは、アーティストが車内で歌いながら街をドライブする番組「カープール・カラオケ」の配信も始まりました。動画配信サービス戦国時代において、Appleはどんなオリジナル番組を製作していくのか、今後の展開に注目です。

ITmedia PC USERの関連記事

image beaconimage beaconimage beacon