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Core Xの性能は? Core i9-7900XとCore i7-7740Xを比較する

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/07/19
Core Xの性能は? Core i9-7900XとCore i7-7740Xを比較する: 10コア/20スレッドで動作する「Core i9-7900X」(評価機はエンジニアリングサンプル) © ITmedia PC USER 提供 10コア/20スレッドで動作する「Core i9-7900X」(評価機はエンジニアリングサンプル)

 Intelのハイエンドプラットフォーム向けCPU「Core X」シリーズが発売された。既にこれをサポートするIntel X299チップセット搭載マザーボードは登場しており、後はCPUの入荷を待つだけといった状況だった。それではCore Xのパフォーマンスを検証していこう。

●Skylake-Xが上、Kaby Lake-XはほぼKaby Lake-Sと同じ

 LGA 20xx系CPUの最新版となるのがCore Xシリーズだ。従来同様、GPUコアを省いた純粋なCPUであり、4コア以上のプロセッサをラインアップにそろえているため、これまでもCPU性能を求めるニーズに応えてきた。

 特に上位モデルでは、CPU直結のPCI Expressレーンも豊富なことから、マルチGPUを構成した際に、2枚のグラフィックスカードをともに16レーン動作させることができ、ゲーマーにも注目されている。

 さて、Core Xシリーズでは、ソケットがLGA 2066へと変わった。そのため、従来用いられてきたLGA 2011-v3ソケットのマザーボードをそのまま利用することはできない。買い換えを検討される方は、Core XシリーズCPUとLGA 2066をサポートするIntel X299チップセット搭載マザーボードの2つのパーツを導入しなければならない。

 Core Xシリーズのラインアップは、やや複雑だ。そこでまずここを理解しておきたい。Core XシリーズCPUの第一弾では5つの製品が投入される。しかし、5つの製品の中に、コードネーム「Skylake-X」と「Kaby Lake-X」という異なる2つのマイクロアーキテクチャが混在している。

 メインストリーム向けCPUをお使いの方なら分かる通り、SkylakeはLGA 1151ソケットでは一つ前の世代、Kaby Lakeは現行世代だ。通常、ハイエンドプラットフォームでは前世代のアーキテクチャのCPUをベースにコア数を増やした製品が投入されていた。ところが、今回に限ってはハイエンドとメインストリームで同じ世代がさほど間を置かずに投入されることになる。

 そして注意したいのは、6コア以上の製品はSkylake-X、4コアの製品がKaby Lake-Xという点だ。これはおそらく開発期間の問題だろう。Skylake-Xには十分な期間があったとして、Kaby Lake-Xはより短期間でリリースに至ってしまったというところではないだろうか。

 また、Core i9-7900Xのように「i9」グレード、Core i5-7640Xのように「i5」グレードが投入されるのも象徴的だ。i9については、最上位製品ということだろう。これに伴い「エクストリーム・エディション」という従来、最上位製品を示していた名称が消えた。

 Core i5は捉え方が難しいが、4コアでHyper-Threadingに非対応というところはLGA 1151のi5と同様である。なぜ追加されたのかという点は、おそらくLGA 2066のエントリーとしての役割ではないだろうか。高価なハイエンドプラットフォームに対して、ステップアップグレードのパスを提供することになるだろう。

 Core i7-7740XとCore i5-7640Xは、LGA 1151のCore i7/5と比べてクロックが若干高く、メモリもSkylake-Xに合わせてDDR4-2666対応に引き上げられている。ただし、メモリチャンネル数は2チャンネルで、PCI ExpressについてはLGA 1151 Core i7/5と同じ16レーンであり、ハイエンドプラットフォームのCPUとしての魅力はやや乏しい。

 また、Core i7-7820Xと7800Xは慎重に検討したい。それというのも、PCI Expressが28レーンなので16レーン×2本のマルチGPUが利用できないからだ。1世代前のBroadwell-Eでは、Core i7-6900Kや6850Kのように40レーン対応のCPU候補がいくつか用意されていたのだが、今回は最上位のCore i9-7900Xのみになってしまっている。

●X299チップセットとマザーボードをMSI「X299 SLI PLUS」でチェック

 Core Xシリーズ向けに用意されたIntel X299チップセットは、LGA 2066に対応するだけでなく、バススピードを8GT/sへと高速化し、チップセット側に接続されるPCI Expressのリビジョンも3.0へと引き上げられ、レーン数も24へと強化されている。

 今回はMSIのベーシックモデル「X299 SLI PLUS」を借りたので、こちらを用いてマザーボードの特徴を見ていこう。

 メモリスロットは、Intel X99と同様にCPUソケットの左右に4本づつ設けられている。DIMM A1/A2〜D1/D2までチャンネルが分かれているのも同様だ。ただし、Core i7-7740Xおよびi5-7640XのようにデュアルチャンネルまでのサポートとなるCPUを搭載する場合は、CPUソケットの右側、CとDのチャンネルに搭載することになる。ここが多少複雑なところだ。

 続いてPCI Express拡張スロット。こちらもCPU直結のPCI Expressレーン数が3タイプに分かれるので、複雑なコンフィグレーションになっている。

 グラフィックスカードのみで考えると、2本のx16レーンスロットが利用できるのは44レーンを備えるCore i9-7900Xのみだ。28レーンのCore i7-7820Xおよび7800Xの場合は、x16レーン+x8レーンの組み合わせになる。16レーンのみのCore i7-7740Xおよびi5-7640Xは、x8レーン×2本。なお、CPUソケット側から数えて1番目、4番目、6番目のスロットがCPU直結レーンで、そのほかはチップセットに接続されたレーンを用いている。

 ストレージも、M.2スロットが搭載されて以降、同様に複雑な排他の関係があるので注意したい。U.2ポートは、PCI Express #3と排他の関係にある。次にM.2 #1をSATAモードで利用する場合はSerial ATA #1と排他の関係になる。M.2 #2はSATAモード時はSerial ATA #5と、PCI Express x4接続時はSerial ATA #5〜8が排他だ。ただし、Intel X270チップセットよりはレーン数に余裕があるぶん、X299のほうが分かりやすいように思う。また、どうやらSerial ATA #5〜8は、チップセット側のPCI Express x4にぶら下がっているようだ。Serial ATA #2〜4はどの状態でも利用できるという点も分かりやすい。

 X299 SLI PLUSについては、Gamingシリーズのような派手さがなく、ブラック基調で落ち着いた印象がある。Mystic Lightは搭載しているが、それも控え目だ。その上で、4〜5万円台が中心帯のIntel X299マザーボードの中で、X299 SLI PLUSは3万円台半ばと、アップグレードコストを抑えられるところが魅力だ。

●CPU性能が効くシーンでは間違いなく最強ではあるが……

 それでは、Core Xのパフォーマンスを見ていこう。用意したのはCore i9-7900XおよびCore i7-7740Xのほか、Core i7-7700K、Ryzen 7 1800Xの4つのシステムだ。メモリについては、Core X環境がDDR4-2666 8GB×4(32GB)を、そのほかはDDR4-2400 8GB×4(32GB)とした。なお、CPUクーラーはIntel環境が240mmサイズの簡易水冷、AMD環境は空冷のものを用いたため、CPU温度の計測はIntel環境のみとした。

 まずは演算性能を見るCINEBENCH R15。マルチスレッドテストのCPUの結果は、Core i9-7900Xが大きくリードし、それに次ぐのがRyzen 7 1800Xだ。コア/スレッド数からすれば順位としては妥当、IPCを考えるとCore i9-7900Xのリードは大きい。Core i7-7740Xと7700Kは、多少の誤差はあるもののほぼ同等といったところだ。シングルスレッドテストのCPU(シングルコア)はIntelはほぼ横並びで、Ryzen 7 1800Xはやはり多少劣る。

 続いてx265 HD Benchmark。トランスコードテストとなるが、これもおよそCINEBENCH R15の結果と同様の傾向を示している。

 システムベンチマークでは、新しく登場したPCMark 10を試した。PCMark 8はコア/スレッド数が4C/8Tを超えてもあまり差が出なかったが、PCMark 10では多少は出るようになった。全体結果であるPCMarksでは、Intelの3モデルはほぼ横並びという結果だ。

 各テストを詳しく見ていくと、Essentialsでは、Core i9-7900Xよりも7740XのほうがOverallでより高く、それよりも7700Kが高い結果となった。App Start-upでCore i7-7700Kが突出するのは、システムの最適化が進んでいるためだろうか。おそらくこのあたりがOverallに影響している。

 続いてDigital Contents Creation。こちらは、Core i9-7900Xが特にRendering and Visualizationでスコアを伸ばし、Overallでも良好な結果を出している。また、Photo Editingでも多少効果があるようだ。

 Productivityでは、Core i9-7900Xがむしろ沈んだ。ここはコア数よりもクロックが影響するところといった印象。ならば、より高クロックであるCore i7-7740Xや7700Kが優位になる。その上でCore i7-7700Kがより高スコアなのは最適化や、先のApp Start-upあたりが影響していそうだ。

 PCMark 10の最後となるGaming。PhysicsのスコアによってOverallではCore i9-7900Xが1番だが、Graphicsを見れば分かる通り、3D性能自体にはあまり影響がない。PhysicsにCPUを利用する場合は、GPU負荷をオフロードできるなどの効果があるだろう。しかし、そうした設計ではないゲームでは、あまり影響がなさそうだ。

 続いて3DMarkを見てみよう。Overallを除けば、PCMark 10のGaming同様、基本的にPhysics関連のテスト以外に差はほとんど見られない。Ryzen 7 1800Xで、Fire Strike時のCombinedスコアが悪いように思えるが、Fire Strike Ultraでは見られない結果なので、テスト時のシステム側に問題があると見るのが妥当だろう。

 実際のゲームタイトルとして、Tom Clancy's Ghost Recon WildlandsとRise of the Tomb Raiderを計測した。Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands側はフレームレートとCPU使用率をグラフ化している。

 まず、フレームレートはグラフの見かけ上、1920×1080ピクセル時で5fps程度の差が生じているものの、さほど影響がないと見てよいだろう。基本的にはGPUパフォーマンスなりのフレームレートが出る。

 一方、CPU使用率はコア数が多いほどCPU使用率が低くなる。おそらく、全コアのCPU使用率を算出したうえで平均化しているためだろう。Core i7-7740Xが7700Kよりも高い値である点で、気になって調査してみたが、CPU負荷としてここまで高くなる理由は分からなかった。

 ただし、1つ気になる点があるとすれば、HWiNFOを見る限り、Core i7-7740Xはクロック倍率が最大に張り付いたままで変動する素振りがなかった。プロセスを確認したり、再起動を試しても変わらなかったので、もしかしたらES品であることが原因かもしれない。

 Rise of the Tomb Raiderはこちらも3840×2160ピクセルの結果を見る限り、基本的にはGPUパフォーマンスなりだ。今のところ、そこまでのコア/スレッド数を必要とするゲームはほとんどないと言える。今後については、Ryzen、Core X、そしてRyzen Threadripperといったように多コア化が進むことが見えてきたため、ゲーム開発側でもこれを利用する動きが出る可能性はある。ただし、現状ではまだ可能性であり、ゲーマーにとって多コア環境を整えることは急務ではない。

●Core i9-7900Xはシステム次第で1000Wクラスの電源も視野に

 消費電力は、先のCore i7-7740Xの不調から、高負荷時のみとした。GPU高負荷時とCPU高負荷時で分けたが、GPU高負荷時で用いた3DMarkのTime Spyも、DirectX 12でありCPUテストもあることから、ある程度CPU負荷がかかる。結果、Core i9-7900XのみほかのCPUより40W超ほど高い。

 GeForce GTX 1080 Ti(リファレンスクロック)を用いた最小構成で400Wを超えたため、電源出力としては800Wクラスが必須、システム次第では1000Wクラスが欲しいところだ。

 一方、CINBENCH R15はCPUに100%近い負荷をかけられるので、CPUごとの消費電力がより顕著に現れた。TDPで見るとさほどインパクトがあるわけではないが、今回の環境における実測値では、Core i9-7900XがCore i7-7740Xの倍以上の数字を出して目を疑った。Ryzen 7のTDP値との乖離(かいり)も、FXの時より改善したとは言え、まだ高いと感じていたが、これを見ればTDPなりのように見える。

●Core i9は互換性重視のワークステーション用途が最適か

 Core i9-7900Xの消費電力の高さにひるむ方も多いだろう。もちろんそれはCPUの発熱度合いにも直結する問題だ。アドバイスとしては、今回の検証のように、簡易水冷や空冷の場合は大型で高性能なものを選ぶのがよい。

 もう少し詳しく言及すれば、まずゲームやPCMark 10のSpreadsheetのようにCPU負荷がそこまで高くないものについては、CPUクーラー側の性能がよい前提であれば、どの3つのIntel CPUも同じようなCPU温度で推移した。CPUクーラーの性能とマザーボードのファン制御の優秀さに助けられているとも言える。

 もっとも、CPU温度がクーラーによってどうにかなるにせよ、ほとんどのビジネスソフトやゲームがここまでのコア/スレッド数を求めていないため、パフォーマンスを持て余すことになる。次に記すように、CPU処理性能を求めるソフトの使用割り合いを考慮したうえで検討するのがよい。

 続いて、CPUをフルに活用するCINEBENCH R15などの場合、Core i9-7900Xはガツンと80度台半ばまで上昇し、ほかの2つのIntel CPUに大きな差をつけた。この点でも、Core i9-7900Xを利用するならば、高性能なCPUクーラーを強くオススメする。90度、100度を超えるようでは不安が残る。

 そして、好意的にとれば、Core i9-7900Xは処理性能が高いため、CINEBENCH R15時の高温状態も、ほかの2つのCPUと比べれば短時間で済む。3DCGのレンダリングや映像のトランスコードなど、「処理の量が決まっているもの」に対しては、処理時間が短くて済むぶん、CPUが高温となる時間、消費電力が増大する時間が短い。十分な予算があり、できるだけすみやかにデータを処理しなければならない用途では、現時点での最有力候補となるだろう。そして、それが周辺機器やソフトウェアなどを含めた互換性重視のPCであるならばなおさらだ。まさにワークステーション用途だ。

 Core i9-7900Xはの価格は11万5000円前後(999ドル)と、Core i7-6950Xよりは引き下げられている。ただ、10万円を軽く超える製品であるため、気軽に手を出せるものではない。加えて、グラフィックスカードが必須、マザーボードもCore i7-7700K向けのものよりも高価で、電源も大出力のものが必要になる。コストパフォーマンスを考える場合、同じ999ドルが予定されているRyzen Threadripperのシステムコストが出てから検討しても遅くはない。

 それでは、Core i7-7740Xについてはどうだろう。ベンチマークで見てきた通り、性能や消費電力などの傾向はスペック的に近いCore i7-7700Kとほぼ同じだ。メモリのチャンネル数も同一。ただし、GPUを搭載しない点が異なるのと、ZやH系チップセットとのマザーボードの価格差もある。

 初回のCPU価格はCore i7-7700Kよりも若干高そうだが、そこまで高価ではないようなので、グラフィックスカードを用いる前提で、将来的により多コアのCPUを使ってみたいというのであれば、候補に入れてもよさそうだ。

 マザーボードについても、Core i7-7740Xで利用する間は制限があるものの、ストレージが豊富であり、より多コアのCPUに乗り換えたときには、Core i7-7700Kで利用できるマザーボードよりも多くのPCI Expressが利用できる。具体的なアップグレードプランを描いてから検討したい。

ブルースクリーンの原因は無線LANドライバ?

 今回、Core i7-7740X→i9-7900Xの順でテストを実施した。Core i7-7740Xでは問題なく動作していたにもかかわらず、i9-7900Xに交換した直後からブート中やOS起動後、あるいはベンチマーク完了時など、タイミングを問わずブルースクリーンが多発して頭を悩ませた。

 エラーを調べたところ、どうやら無線LAN機能に起因しており、ドライバを無効化することで収まった。マザーボードメーカーの話によると、これはWindows 10 Creators Updateと、Intel製無線LAN、そして特定のバージョンのドライバの組み合わせで、かつ論理コア数が16を超えるCPUで発生する現象であるようだ。

 マザーボード付属の無線LANドライバがどのバージョンになるのかにもよるが、Core i9-7900Xを購入して同様のトラブルが生じた場合は、一時的に無線LANを無効化し、有線LANを用いて無線LANドライバを最新のものに入れ換える方法を試してみてほしい。

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