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EXILE AKIRAが語る、スコセッシ監督との出会いと目指す役者像「現場で新しい自分を引き出していきたい」

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/01/10 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 EXILE、EXILE THE SECONDのパフォーマーとして活躍しながら、役者としても着実にキャリアを積み重ねてきたEXILE AKIRA。EXILE TRIBEのメンバーが出演するドラマ&映画『HiGH&LOW』シリーズでは、伝説のチーム「ムゲン」の総長・琥珀を演じ、その圧倒的な存在感で熱狂的なファンを獲得したことも記憶に新しい。そんなAKIRAが今回、巨匠・マーティン・スコセッシ監督の最新作『沈黙-サイレンス-』(1月21日公開)にも出演していることを受け、編集部ではインタビュー取材を行った。2017年、LDHがいよいよ世界展開する中、AKIRAはメンバーとして、ひとりの役者として、どんなビジョンを抱いているのかーー。 ■「スコセッシ監督は1シーンに何十回というテイクを重ねる」 ――マーティン・スコセッシ監督の最新作『沈黙-サイレンス-』(以下『沈黙』)に出演したのは、役者として大きな経験になったのでは。 AKIRA:そうですね。スコセッシ監督は皆さんご存じのとおり世界的な巨匠で、僕自身も数々の作品に感動してきたので、少しではございましたが、出演させていただくこと自体がとても光栄でした。現場でスコセッシ監督を見たときなんか、感動しすぎて実感が湧かないというか(笑)。衣装を着て、リハーサルをして、スコセッシ監督の「Action!」で芝居を始めても、なにか夢を見ているような気分でしたね。

 ハリウッドなどの大作では普通のことなのかもしれませんが、1シーンに何十回というテイクを重ねるのも非常に印象的で。スコセッシ監督は撮り終えるたびに笑顔で「Great!」「Beautiful!」と仰るのですが、その直後に「Reset!」と言って再び撮り始める。その「Reset」が、同じ画を求めているのか、それとも別のアプローチを求めているのか、察して考えることも勉強になりました。普通なら何度もリテイクを重ねるのは辛いところですが、「もう一度、スコセッシ監督のもとで演技ができる」という嬉しさの方がずっと勝っていましたね。今回は小さな役柄ですが、これをきっかけにさらに大役に挑戦したいと、夢が広がる経験でした。

――『沈黙』には他にも名だたる俳優陣が出演しています。 AKIRA:僕が出演させていただいたシーンには、主演のアンドリュー・ガーフィルドさんはじめ、加瀬亮さん、小松菜奈さんなど、メインキャストの方々もいて、やはり刺激を受けました。一番驚いたのは、アンドリューさんの気持ちが整うまで、スコセッシ監督が絶対に撮影を始めようとしなかったところ。ワンシーンのためにここまで全霊を込めるんだなと、とても感動しました。アンドリューさんとスコセッシ監督の「どうだ、そろそろ行けるか?」という真摯なやり取りに、僕自身も身が引き締まる思いでした。 ――原作の『沈黙』(遠藤周作)は、私たち日本人にとっても解釈の難しい作品だと思います。その辺りはどう感じましたか? AKIRA:当時のキリシタンをどう捉えるかは、本当に難しいところです。たとえば、歴史の授業で過去に踏み絵が行われたとは習いますが、いまとは考え方も異なる時代ですから、それがどれほど重みがある出来事なのか、簡単には想像できません。ただ、自分が信じるものを捨てること、その苦しみは人間ならではのもので、普遍的な痛みなんだと思います。 ■「おそらく僕は、現場でつかんでいくタイプ」 ――今回、スコセッシ監督の作品に出演して、より俳優としてのスタンスが明確になった部分もありそうです。 AKIRA:僕自身はどんな作品に出演するときも、同じ姿勢で挑みたいと考えています。舞台の小箱と大箱、日本映画と海外映画、どの現場にもそれぞれのやり方があるので、ちゃんとその方法論に寄り添いつつも、自分らしくいたいなと。アンドリュー・ラウ監督の香港と中国の合作映画『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』(10年)で、いまをときめくドニー・イェンさんと共演した時も、日本人としての誇りを持ちながら、作品の世界に染まることを意識しました。海外の作品に出演したことで、日本人の繊細さや器用さ、あるいは独特の狂気などは、そのまま活かしていけるんだと感じましたし、そうあるべきだなと。その上で、役柄の幅を広げたり、深みを増していきたいです。 ――実際これまで、AKIRAさんは幅広い役柄に挑戦しています。 AKIRA:役者を始めてまだ10年程度なんですけれども、コメディーから時代劇まで、いろいろと経験させていただきました。園子温監督の『ちゃんと伝える』(09年)では素朴な青年を演じましたし、テレビドラマの『GTO』(12年/関西テレビ)では破天荒な教師役を演じました。ひとつひとつの経験を積み重ねることで、AKIRAという役者像を作り上げていきたいですね。

 おそらく僕は、現場でつかんでいくタイプなんです。台本も読み込むし、役を演じるための準備もするけれど、現場に入ったら一度白紙に戻してぶつかるというか。そこで、自分でも気付かなかった一面を出すことができたときが一番「良い仕事ができた」って感じます。逆に、あまりに予定通りだと「無難にやってしまったな」って凹んだり(笑)。もちろん、作風や役柄からズレてはいけないのですが、現場でチャレンジして、新しい自分を引き出せるようには心がけています。そしてそれは、現場にいるすべての人たちと作品に向かう気持ちを共有してこそ生まれるものだと思うので、受け手としての部分も大事だなと。そういう意味で、これまでの経験はすべて役に立っています。

――最近だと『HiGH&LOW』の琥珀役は、ファンの間でも大きな話題となりました。 AKIRA:『HiGH&LOW』は自分たちの作品なので思い入れは大きいですし、特に琥珀はセルフプロデュースのキャラクターなので、やっぱり好きですね。衣装はもちろん、左右の目の色が違うところ、あの髪型も含め、僕が考える「伝説の総長」をビジュアル化していただきました。あの世界観の中で最強の男という設定なので、その分、影の部分も大事にしました。何か突出した人間というのは、どこかに暗いものを抱えていると思うんです。その振り幅を前面に出したキャラクターで、実のところ僕は松田優作さんの『ブラック・レイン』をちょっと意識していました。本当はバイクに乗りながら刀も持ちたかったんですけれど、それはさすがにちょっとやりすぎかなって(笑)。 ――たしかに琥珀は、強さと同時に「脆さ」も持った人物ですね。 AKIRA:そうなんですよ。トップに立つ人って、どこかチャーミングなところもあったりします。琥珀の場合は、それが脆さや切なさとして表れていた。とても演じがいのあるキャラクターです。 ――琥珀とAKIRAさん自身は、性格などに共通するところはありましたか? AKIRA:もちろん、あると思います。たとえば琥珀は壮絶な人生を送ってきたからこそ、ファミリーをとても大切にしています。僕自身は彼ほどの人生は送っていないにせよ、仲間を想う気持ちには共感しますね。ただ彼の場合、その気持ちが純粋すぎて、正義感の押し付けになってしまうところがあり、それが破綻の原因にもなっている。僕も彼ほどではないにせよ、ちょっとしたボタンの掛け違いで仲間とすれ違ってしまうことはあります。自分にとっての正義がときに誤解を生んでしまうのは、多くの人が経験するところではないでしょうか。 ――琥珀は『HiGH&LOW』の世界観を象徴するキャラクターでもあると感じました。 AKIRA:作品の中で一番、心の内面を曝け出すキャラクターですよね。スーパーヒーローみたいな強さを持っているけれど、実は一番人間臭い存在でもある。ほかのキャラクターはチームのカラーを象徴していたり、アクションに秀でていたりというところで自分を表現していたので、僕は琥珀を通して影の部分を演じることで、作品に深みを与えていければと考えていました。琥珀が持っている心の闇って、実は『HiGH&LOW』のキャラクターみんなが抱えているものでもあるんですよ。 ■「役者としても仕事ができているのはEXILE TRIBEのおかげ」 ――EXILE TRIBEにおけるAKIRAさんのポジションとも通じる部分はあるんですか? AKIRA:もし通じていたら、僕は相当面倒くさい先輩ですよね(笑)。まぁ、年齢的にもみんなを引っ張っていく立場になりつつあるとは思います。

 リーダーシップという意味では、やっぱりHIROさんがお手本になる部分も多くて、最近になって、「あのとき、HIROさんは何も言わなかったけれど、こういう気持ちだったのかな?」って、上に立つ人の気持ちが想像できるようにもなってきました。その気持ちを、琥珀に投影することはありましたね。

――AKIRAさん自身、これからはEXILE TRIBEを引っ張っていく立場ですね。 AKIRA:リーダーというのは、自分が決めるわけじゃなくて、周りが決めるものだと思うんです。先輩はもちろん、後輩やスタッフに支えられて、今の立場や役割があるんですよね。だからこそ、これからしっかり盛り上げていかなければと思います。

 僕がいま、役者としても仕事ができているのはEXILE TRIBEのおかげなので、先輩たちが勇退された後、僕らの代がしっかりと足場を固めて、次の世代に繋いでいかなければという気持ちは強いですね。HIROさんには、AKIRAが行きたい道を行けばいいとは言われていたのですが、やっぱり僕にとってはEXILE TRIBEが基盤なんですよ。それに、EXILE THE SECONDの活動で培ったものは、必ず役者としての活動にも活きると思っていて。

 ただ演技を追求するのであれば、上手い役者さんたちはたくさんいますし、そこを目指す必要はないのかなと。演技が上手いという以上に、AKIRAという人間の存在感で、スクリーンに映っていけるような存在になりたいですね。それはすごく大変な道のりかもしれないけれど、結果として、ほかの俳優さんたちとは異なる魅力を打ち出していけたら嬉しいです。

――仰るように、LDHにはほかのエンターテイメント業界とは異なる独自のカルチャーが感じられます。それはどんなところだと考えていますか? AKIRA:特殊ですよね(笑)。たぶん、メンバー全員がチームを強くするために、各々の活動に精を出しているというところが、大きな違いになっているのでは。もちろんみんな、個人としてもビッグになりたいという欲求は持っていると思うのですが、それと同じくらいEXILEに恩義を感じているというか。みんな、抱いている正義感や責任感は少しずつ違うものの、目指す方向性は同じで、それが一体になったときに生み出されるパワーを知っている。だからこそ、個々の活動にも力が入るんです。

 HIROさんの『Bボーイサラリーマン』(2005年 幻冬舎)という本があるんですが、EXILE TRIBEのメンバーはみんなBボーイサラリーマンなんですよ。パフォーマンスもするけれど、裏方としてサポートにも回る。僕自身、ダンススクール・EXPGのサポートもしています。スタッフとアーティストの境目もなくて、自分たちの力ですべてを作り上げていく。そのDIY精神で作り上げてきたのがLDHなんです。

――2017年、LDHは世界展開に向けて新体制となります。いろいろなことが重なり大変な時期でもあると思いますが、AKIRAさん自身はどんな抱負を持っていますか? AKIRA:役者として10年の節目で、スコセッシ監督の作品に僅かではありますが関わることができたのは大きな励みになりましたし、モントリオール世界映画祭で高い評価をいただいた『たたら侍』もいよいよ公開されます。LDHの世界展開が始まる中で、こうしたスタートを切れたのは本当にありがたいことですし、海外展開もより現実味を増してきたと思います。これからの10年、20年を見据えた上でも、2017年はとても大事な一年になるでしょう。僕自身も初心に返り、ひとつひとつの仕事に真摯に向き合って、オリジナルの役者を目指していきたいです。大変な時期だからこそ、自分が結果を出すことでチームを勇気付けていきたいですね。(編集部)

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