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Facebook幹部、中国でなにを語った?

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/05/13 ITMedia
Facebook幹部、中国でなにを語った?: 中国は北京に乗り込んだFacebook上級副社長のボーン・スミス氏。トップの訪中は近いのだろうか? © ITMedia 提供 中国は北京に乗り込んだFacebook上級副社長のボーン・スミス氏。トップの訪中は近いのだろうか?

 Facebookはユーザー12億人を誇る世界最大のネットワークだが、中国では政府によるインターネットの検閲により利用できない。だが5月6日、首都北京で開催されたモバイルイベント「Global Mobile Internet Conference Beijing 2014」にFacebook 上級副社長のボーン・スミス(Vaughan Smith)氏が登壇した。

 スミス氏は、「中国でのビジネスは拡大している」と余裕の態度で臨んでいた。Facebokのデスクトップからモバイルへのシフトについても「成功している」と述べ、モバイルでの取り組みの成果についても自信をみせている。

 スミス氏はこの日、イベントを主催するGWCの社長でGlobal Mobile Internet Conference(GMIC)の共同プロデューサーを務めるバレット・パークマン(Barret Parkman)氏と対談形式で、Facebookのモバイル戦略、WhatsAppとOculus VRの買収、Ericssonらと進めているInternet.orgなどについて語っている。

 モバイル戦略については、2002年の株式新規公開に自らが課題と認めたものだ。Facebookにスマートフォンからアクセスするモバイルユーザーが増えているが、収益の流れはまだできていない、というのがその内容だ。あれから約2年、Facebookのモバイル戦略は成果を挙げているようだ。

 2014年第1四半期、Facebookの広告事業の売上高は22億7000万ドル、このうち、モバイルプラットフォームからは半分以上の59%を占めた。2012年第4四半期にモバイルの比率が2割強だったことを考えると、モバイル事業を順調に拡大させているといえる。

 「数字を見る限り、デスクトップからモバイルへのビジネスの転換はとてもうまくいっている。驚きに値する変化だ」とパークマン氏が賞賛すると、スミス氏もこれに同意する。「2年前、モバイルで広告らしい広告事業はなかった。その後、Facebookは、会社として“モバイルファースト”ビジョンを立ち上げ、新しい製品開発ではモバイルに対して最初にフォーカスしてきた」と取り組みを語る。

 Facebookが4月に本社で開催した開発者向けカンファレンス「f8」でも、モバイル広告ネットワーク「Facebook Audience Network」の発表をはじめ、モバイル関連のプロジェクトが話題のほとんどを占めていた。スミス氏はまた、「東南アジアやアフリカなどの(発展途上)国にいるモバイルユーザーにも、シリコンバレーと同等のユーザー体験を提供することに心がけてもいる」とFacebookがモバイルプラットフォームで成功した要因を分析した。

●Internet.orgの意義を中国で訴える

 そのFacebookが、モバイル分野で製品開発と同時に進めているのが、「Internet.org」だ。2013年夏に同社がモバイルインフラのEricsson、端末ベンダーのNokiaやサムスン電子、半導体のQualcommやMediaTekなど7社で開始した取り組みで、インターネットにアクセスできないユーザーに利用できる環境を整備して広げていくというミッションを掲げる。モバイルインターネットユーザーの拡大は、GMICが掲げる2014年の主要テーマでもある。

 Internet.orgの取り組みを「野心的」とするパークマン氏のコメントに対し、スミス氏は次のように現状を語った。「モバイルネットワークの人口カバー率は90%に達している。だが、インターネットにアクセスしているのは3分の1にすぎない」。

 さらに、自分たちがそのような取り組みを率先して進めている理由について、スミス氏は「中国以外の話」と前置きしながら、「インターネットを利用する最大の理由の1つが、家族や友人とつながること。Facebookは人々をオンラインにする動機として、最もいいポジションにいる」と説明した。

 Internet.orgでは、インターネットの価値を伝えること、そして、利用するために必要になるコストを下げることの2つを主要な課題として取り組みを進めていくという。中でも前者では「(モバイルインターネットは)目に見えるもの、触ることができるものではない。使ってみようという気になってもらうには、まずはトライしてもらうことが大切」とスミス氏は訴える。そして、Facebookやそのほかのサービスを試してもらうことで意インターネットにアクセスできることの価値を実感してもらうという。

●Facebookにとって、WhatsAppとOculus VRの価値とは?

 2014年2月に発表した190億ドルでのWhatsApp買収も、世界の人々をコネクトするというFacebookのミッションとWhatsAppの事業が重なるためだという。モバイルメッセージは途上国でも人気で、「FacebookとWhatsAppにより、まだ利用できない次の50億人をインターネットの接続する、という目標実現をさらに加速できる」とスミス氏は語った。

 これに対し、3月のOculus VRの買収については、「将来を見据えての動き」と述べる。Oculusは仮想現実(VR)を楽しめるヘッドセット「Oculus Rift」を提供するベンチャー企業だ。Facebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は、買収発表時に自身の言葉で「仮想現実はモバイルの次にくるソーシャルプラットフォームになる」と買収した狙いを説明している。

 モバイルインターネットが浸透した今後5〜10年の見通しについて、スミス氏は「インターネットはユビキタスになっているだろう。これにより、石油やガスなどの物理的な自然資源よりも、人が生み出すアイディアや思考、知識が大きな価値を生み出す持つ時代に移行する」と予言した。

 中国市場については、「Facebookは13億人にリーチできるプラットフォームだ。世界市場で販売しようとする中国の輸出企業を助けている」とスミス氏は述べた。その例として、中国のソーシャルゲーム企業「Fun Plus」を紹介した。「シンプルなゲームで人気を集めている。高いリテンションを持つ」と評価した上で、スミス氏は「Facebookは中国のコンテンツ作成を支援できることを光栄に思っている」と余裕をうかがわせた。

 さらに、「中国のあるジュエリーメーカーからは”Facebookは単一のネットワークとしては最も包括的なプラットフォームだ”という喜んでもらっている」と述べることで、政府によるアクセス規制にも関わらず中国での(実質的な)事業が好調であることをほのめかした。

 なお、GMICでは2月に正式参入したビジネス専用のソーシャルネットワーク「LinkedIn」の中国担当社長、デレック・シェン(Derek Shen)氏もスピーチを行った。シェン氏はここで、LinkedInは中国市場なしには世界のビジネスプロを結びつけるという同社のミッションを実現できない、と語った。

 中国では独立した企業としてベンチャーキャピタルの支援を受けて展開し、言語対応だけではなく、”中国のFacebook”こと「Weibo」やメッセンジャー「WeChat」との統合など、中国市場に向けたサービスを展開していくとのことだ。

 中国でFacebookにアクセスするには、VPNを利用するのが一般的だ。中国ではWechatやWeiboなど地元もサービスが強いが、中国でのFacebookについて、現地の米国人ジャーナリストは「実際には実に多くの中国人幹部が利用している」と述べる。今回のGMICではFacebookから2人がスピーカーとして登壇しているが、Facebookの広報担当は「GMICはグローバルイベント。中国だから出席したのではないし、中国進出とも関係ない」とコメントしている。

[末岡洋子,ITmedia]

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