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FBIが採用基準の緩和を検討 サイバー対策強化の一環で身体能力や大麻歴は不問に?

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/04/10
FBIが採用基準の緩和を検討 サイバー対策強化の一環で身体能力や大麻歴は不問に?: FBIのコミー長官(AP Photo/Cliff Owen) © ITmedia NEWS 提供 FBIのコミー長官(AP Photo/Cliff Owen)

[AP通信] 紙袋に隠した銃で標的を狙撃することはできないが、コンピュータはいとも簡単にハッキングできる——。米連邦捜査局(FBI)は近く、そうした意欲的なハッカーの採用を増やすことになるかもしれない。

 FBIのジェームズ・コミー長官は最近、一連のスピーチにおいて、サイバーセキュリティ分野の優秀な人材を確保すべく、FBI捜査官の採用基準を緩和する可能性を示唆している。高額報酬を餌にITに精通した優れた人材を雇用できる民間企業との競争力を高める狙いがある。

 コミー長官は、元FBI捜査官が退職から2年を経て復職を希望する場合に、バージニア州クアンティコにある厳しい訓練で知られるFBIアカデミーに再入校しなければならないという条件の撤廃を提案。さらに長官は、マリファナが好きなせいで、それ以外の点では応募資格を満たす人物が出願を思いとどまってしまう可能性を冗談まじりで嘆いている。

 「私たちが見つけたいのは、ITに精通している頭脳明晰で誠実な人材だ。腕立て伏せはできなくてもいい。もちろん、できてもかまわない。だが私たちはとにかく、サイバー犯罪に対処できる優秀な人材を見つける必要がある。だがそうした人たちの中には、面接に向かう途中にまでマリファナを吸いたがる者もいる」とコミー長官は語る。

 FBIが採用基準の見直しを検討する背景には、今や国家が後押しするサイバー攻撃など、サイバー犯罪がますます複雑で高度なものになっている状況がある。FBIは目下、サイバー犯罪の脅威に対抗するためのより高度なテクニックの開発に取り組んでいる。

 FBIなどの法執行機関は昨今、犯罪容疑者のスマートフォンのロック解除に苦戦を強いられている。2016年には、カリフォルニア州サンバーナーディーノで起きた銃乱射事件の容疑者が使用していたiPhoneのロックをFBIが解除できず、司法省が裁判所に対し、Appleに協力を求める訴えを提起するという事態が発生。その後、あるサードパーティー企業がiPhoneのロックを解除するツールを提供し、この件はとりあえず一件落着となったが、捜査当局は依然として、暗号化されたオンラインの経路を介し、当局の目の届かないところでテロ組織の勧誘活動が展開されることに懸念を抱いている。

 昨今は、児童ポルノなど、捜査官が何十年も前から取り組んでいる犯罪でさえ、複雑さを増している。容疑者が、居場所や身元を隠すことができるインターネットブラウザを介して画像をやり取りするようになったからだ。司法省は近年、大規模なハッキングを駆使して容疑者の居場所を特定する捜査手法を編み出している。こうした手法をめぐっては、被告が不服を申し立てるケースが相次ぎ、実際、一部の申し立ては認められている。

 「世の中は先へ先へと進んでいる。私が20〜30年前に州警察やFBIでやっていたことは、もはや時代遅れだ。今どきの犯罪はどれもサイバー空間を利用している」。かつて次官補としてFBIのサイバー犯罪捜査を統括していた元FBI幹部のロバート・アンダーソン氏は、そう語る。

 さらにコミー長官は、FBIはサイバー人材を育成するための大学を独自に設立する必要があるかもしれないと示唆。FBIのサイバー対策部隊の全メンバーが銃を携帯する必要性についても、疑問を投げかけている。

 「必要とあらば方針変更もやぶさかではない。人材プールが縮小する中で、私たちは優秀な人材を確保する必要がある。FBIは今後、この問題にさまざまなアプローチで取り組むことになるだろう」とコミー長官は先週、諜報国家安全保障連合(INSA)の会合で語った。

 長官は幾つかの改善案を提案。退職から2年を経て復職を希望する元FBI捜査官がFBIアカデミーに再入校しなければならないという条件の撤廃にも、何度か言及している。

 「退職して民間に転身した元FBI捜査官はいずれ、それが退屈で空虚な生活であることに気付く。そして“私の人生は空っぽだ。仕事には道徳的要素が必要だ”と悟る」。先日テキサス大学オースティン校でスピーチをした際、コミー長官はそう冗談めかし、笑いを誘った。

 長官は次のように続ける。「以前、42歳のサイバー捜査官の復職を認めたことがある。“クアンティコでの訓練はどうだった?”と尋ねると、彼は“悪夢のようだった。本当に悪夢だった”と答えた。私たちは目下、優れた人材を確保する難しさを鑑み、この課題をクリアするための新しい方針を模索中だ」

 コミー長官は2014年、この問題をめぐりニュースの見出しを飾った。ある質問に対し、「(意欲や能力があるのなら)マリファナ吸引歴があっても応募手続きを進めるべき」と返答したことが注目されたのだ。現行の規則では、過去3年間にマリファナ使用歴がある場合はFBIへの応募資格はなく、この方針が変更される兆候も今のところはない。

 コミー長官はこの発言の後、上院司法委員会の公聴会において、当時上院議員だったジェフ・セッションズ氏から、「自身のコメントが、米国指導部がマリファナの問題を軽視していることを示す一例と見なされかねないということを理解しているのか」と厳しく批判された。セッションズ氏は現在司法長官であり、コミー長官の上司の立場にある。

 コミー長官はその際、「ユーモアを交えようとした。マリファナを試す若者がますます増えつつある今の時代に、サイバーセキュリティ分野の優秀な人材を確保する上でFBIが直面している課題について見解を述べただけだ」と釈明。「自分自身はマリファナの使用には断固反対だ」と述べ、「FBIの方針を変更するつもりだと言ったわけではない」と念を押した。

 元FBI幹部のアンダーソン氏は次のように語る。「政府機関の方針を変更するのは、親知らずを抜くようなものだ。何にせよ新しい方針を採用し、FBIの文化がそれに馴染むまでには時間を要する」

 「だが戦略的ビジョンとして、サイバー攻撃対策のメッカとなることを掲げるのであれば、FBIは変わる必要がある」(同氏)

(日本語翻訳 ITmedia NEWS)

(C) AP通信

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