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Gigabit LTE、新しいVR体験、セキュリティ機能の強化 「Snapdragon 835」で変わること

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/03/23
Gigabit LTE、新しいVR体験、セキュリティ機能の強化 「Snapdragon 835」で変わること: Snapdragon 835がもたらすメリット © ITmedia Mobile 提供 Snapdragon 835がもたらすメリット

 Qualcommが開発したモバイル端末向けの最新プロセッサ「Snapdragon 835」の性能が高いことは分かった。では、実際の利用シーンでどんなメリットがあるのだろうか? 同社が中国・北京で開催した「Snapdragon 835 Benchmarking Workshop Beijing」で体験してきた。

●1Gbpsクラスの高速通信が可能に

 Qualcommは「高速通信」「没入体験」「カメラ」「セキュリティ」「バッテリーライフ」の5つがSnapdragon 835の主なメリットだと説明する。

 高速通信は、2019〜2020年に商用サービス開始を予定している通信規格「5G」への橋渡しとなる役割を担う。Snapdragon 835が内蔵するLTEモデム「Snapdragon X16」では、20MHz幅の周波数を3つ束ねる「キャリアアグリゲーション」、基地局と端末側に4つのアンテナを搭載する「4×4 MIMO」、情報密度を高めて一度に転送できるデータ量を増やす「256QAM」により、理論値で最大1Gbpsクラスの通信が可能になる。また上りは最大150Mbpsをサポートする。

 Snapdragon X16を搭載した端末を使った、Gigabit LTEの実証実験が各国で行われている。例えばオーストラリアの通信キャリアTelsraとの実験では、実効速度で下り911.2Mbps、上り126.2Mbpsを出した。また米SprintがMotorola、Nokiaと共同で行った実験では下り700Mbps超えを実現した。

 米シカゴでは、5種類のLTE Category(4、6、9、12、16)に対応した端末それぞれで、複数の音楽ファイルをダウンロードするテストを実施。Snapdragon X16がサポートするCategory16では、音楽ファイルがスピーディーに100%ダウンロードできる様子を紹介。通信速度はCategory16が下り約93Mbpsで、比較対象となったCategory6では下り約52Mbpsだった。担当者は「アンテナ、変調方式、ネットワークのパフォーマンスが重要になる」と説明する。

 Gigabit LTEのメリットして担当者はクラウドを介したアプリのインストールや写真の保存がスムーズに行えることを話す。

 シンプルなところでは、大容量のデータをよりスピーディーにダウンロードできることもメリットだ。例えばスマートフォンでベンチマークテストを行うには、アプリによっては数100MBのファイルをダウンロードする必要がある。今回のイベントでも、ベンチマークテストの比較用に使ったGalaxy S7 edgeでいくつかファイルをダウンロードしたが、実測10Mbps前後だった中国のLTEでは数10分かかった。Gigabit LTEなら、こうしたストレスは軽減されるだろうし、ハイレゾ音源や4K動画といった大容量コンテンツのダウンロードもスムーズになるだろう。

 QualcommはGigabit LTEの利用シーンの一例として、360度カメラで撮影した4K動画を、Snapdragon X16モデム搭載スマホでストリーミングをするデモも紹介。デモで使った動画は事前に撮影したものだが、例えばスポーツの試合や音楽のライブなどのシーンをスマートフォンにライブ配信する、といったことが想定される。スマホの画面を操作するとアングルも切り替わり、ピンチアウトでズームすることも可能。このデモではキャリアアグリゲーションと4×4 MIMOにより、下り約730Mbpsの速度が出たという。映像のデータ量は1ストリームあたり110〜120Mbpsとのこと。

 このようにGigabit LTEのメリットは多岐にわたる一方で、通信キャリアは3日間や毎月の通信容量に制限を設けているため、大容量のデータを消費すると、一気に容量オーバーとなる恐れがある。各国の通信環境が整備されてGigabit LTEが可能になっても、通信制限のルールをどう整備していくかという課題は残っている。

 Wi-Fi通信の高速化もトピックだ。11ac規格で、送信側(ルーター)と受信側(スマートフォン)に2つずつアンテナを搭載し、複数の端末に複数の信号を同時に送信する「2×2 MU-MIMO」をテスト。アンテナが1つずつ(1×1)の場合と比べ、通信速度は2倍になり、500MBの動画をダウンロードするのに、1×1は5分45秒だったところ、2×2は3分45秒で完了した。2×2 MU-MIMOは理論値では600Mbpsまで向上する。

●ディスプレイ画質、カメラ機能、VR体験もリッチに

 画質やVR体験が向上したことで、よりリッチな没入体験が可能になる。

 画質については、色域の広い「HDR10」をサポートしたことが大きい。デモでは従来のSDR(Standard Dynamic Range)と比較してコントラストが高く、より鮮明に写真を表現できていることを説明した。

 VR体験は、これまではヘッドマウントディスプレイを装着して、コンテンツを視聴するというのが主な楽しみ方だったが、Snapdragon 835ではヘッドマウントディスプレイを装着したユーザーが動くと、それと連動して画面も動くようになる。つまり、あたかもVR上の空間を動いているような感覚を味わえる。これはデュアルカメラ、モーションセンサー、深度センサーなどによって実現しており、6方向からの動きや、リープモーションと組み合わせた手の動きとも連動する。

 QualcommはVR対応のゲームや動画を制作するツール「Snapdragon VRDK」を開発者向けに提供する。ユーザーが自由に動く空間をどう確保するかという問題はあるが(狭い場所や屋外で使うのは危険)、映像コンテンツやゲームの新たな楽しみ方が生まれそうだ。

 カメラ機能も進化し、少ない負荷でスムーズにズームできるほか、広角レンズと望遠レンズを組み合わせた光学ズームも可能になる。動画撮影時の手ブレ補正機能も向上。左右に傾く「ヨー」、上下に傾く「ピッチ」 、左右の「回転」によるブレを抑えるため、歩きながらや自転車に乗りながらでも撮影しやすくなる。オートフォーカスも高速になり、撮影環境に応じてコントラストAF、像面位相差AF、レーザーAFを使い分けられる。

●セキュリティやスタミナも進化

 セキュリティ面では、生体認証を強化。虹彩認証にはインカメラを使い、画面上に自分の顔(の上部)が表示されるので、セルフィーをする感覚で認証できる。デモでは、サングラスをかけても認証できる様子が紹介された。また同じ人物の写真や3Dマスクを使った場合は認証できないので、第三者の悪用からも守れる。認証スピードは1〜2秒といったところで、認証画面を写真に収めるのが難しいほどだった。

 あらかじめ録音したフレーズを話すという、音声認証によるロック解除にも対応。録音した音声と照合するため、他のユーザーが同じ言葉を発してもエラーになる。実際、デモでは1人の説明員が「My voice is my password」としゃべってロック解除したが、他のスタッフが同じ言葉を話してもロックを解除できなかった。

 マルウェアを検知する機能も搭載しており、危険なアプリを検知したら警告が出てアンインストールを促す。従来のSnapdragonではマルウェアのデーターベースを参照して検知していたが、Snapdragon 835では機械学習によって、データーベースに登録されていない新しいマルウェアが現れても、振る舞いを見て検知する。

 騒音のある状況でも、「Hey Snapdragon」と話して画面を点灯させるデモも実施。これは機械学習を応用したもので、機械学習を使った端末の方が、そうでない端末よりも多く認識していた。

 バッテリーライフについては、Snapdragon 801と比べて50%、Snapdragon 820シリーズと比べて25%の低消費電力を実現。また「Quick Charge 4.0」を新たにサポートし、15分の充電で50%までの急速充電が可能になる。バッテリー関連のデモはなかったが、日々スマートフォンを使う上で、スタミナの向上は、一番メリットの大きな部分ともいえる。

 Snapdragon 835の新機能を体験して、スマートフォンを使う“楽しさ”が新しい次元に進むといっても大げさではないと感じた。製品化が決定しているSnapdragon 835搭載スマホが現時点で「Xperia XZ Premium」のみと少ないので、まずは搭載機種の拡大を期待したい。

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