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GoogleはAWSやMicrosoftを追撃できるのか

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/06/19
GoogleはAWSやMicrosoftを追撃できるのか: 基調講演を行う米Googleのダイアン・グリーンGoogle Cloud統括バイスプレジデント © ITmedia エンタープライズ 提供 基調講演を行う米Googleのダイアン・グリーンGoogle Cloud統括バイスプレジデント

 「Googleのクラウドが大手企業の基幹系システムの基盤として使われるようになってきた」――。米Googleの企業向けクラウド事業責任者であるダイアン・グリーンGoogle Cloud統括バイスプレジデントは、同社日本法人のグーグルが6月14〜15日に東京都内のホテルで開催されたプライベートイベント「Google Cloud Next'17 in Tokyo」の初日の基調講演でこう強調した。

 IT業界で企業向け事業に25年以上携わってきたグリーン氏は、米VMwareの共同創業者として10年間CEOを務めた経歴を持ち、Googleが企業向け事業を強化するために2015年11月に招き入れた人物である。同イベント全体の内容についてはグーグルの公式ブログをご覧いただくとして、本稿ではグリーン氏の発言に注目したい。

 グリーン氏はまず今回の東京でのイベントについて、登録者数が1万3000人と前回(1年前)の2000人から6.5倍に拡大したことを挙げ、その盛況ぶりに感謝の意を示した。筆者は2016年にも同じように取材したが、会場の熱気は格段に違った。イベントの規模は別にして、5月下旬に都内で開催されたAmazon Web Services(AWS)のイベントと同様の雰囲気があった。

 ちなみに、グリーン氏が統括する「Google Cloud」は、Googleが展開する企業向けクラウド事業においてインフラからアプリケーションまで全ての関連サービスを統合したブランド名である。その中で、AWSやMicrosoftのインフラサービス(IaaS)と競合しているのが「Google Cloud Platform(GCP)」である。

 グリーン氏はそのGCPについて、グローバルで10億人以上のエンドユーザーが利用していることや、2016年11月に東京リージョンを開設して有料の顧客企業数が前年比70%増加したことなどを挙げ、その好調ぶりをアピールした。

 また、企業向けクラウド事業において重要なポイントとなるパートナーエコシステムについても拡充に注力しているとし、今回のイベントでは新たにNTTコミュニケーションズとのパートナーシップも発表した。企業向け事業に精通している有力システムインテグレーターもパートナーに名を連ねており、GCPの事業体制は相当整ってきているようだ。

●Googleにとってこの1〜2年が正念場に

 では、そんなGCPのIaaS市場での競争力はどうなのか。最新状況を調べようとしていたところ、タイミングよく米Gartnerが6月15日に「IaaS市場を対象にしたマジック・クアドラント2017年版」を発表した。

 ちなみに、「2016年版」およびマジック・クアドラントの見方については、2016年8月15日掲載の本コラム「クラウドサービス市場の覇者は? 最新勢力図を検証する」で解説しているので参照していただきたい。

 GCPの競争力はどうかというと、AWSとMicrosoftが「リーダー」として先行しており、Googleはまだリーダーの域に入れず、「ビジョナリー」として3位にとどまっている。興味深いのはこの状況が2015年から3年間、大きく変わっていないことだ。

 加えてもう1つ、ガートナージャパンがこの5月に公表した「日本におけるクラウドIaaSのマジック・クアドラント2017年版」を紹介しておこう。これは、2017年5月8日掲載の本コラム「“クラウド後進国、日本”は、変われるか ガートナーの見方は」で初公開されたものだが、この中にGoogleの名前はない。おそらく評価する材料が乏しかったからだと推察されるが、これまで日本においてはGCPの印象がいまひとつだったこともあるだろう。

 では、Googleはクラウド(IaaS)でAWSやMicrosoftを追撃できるのか。実は、この質問については、2016年のイベント中に開かれた記者会見で尋ね、グリーン氏から「後れを取っているとは思っていない。企業にクラウドが本格的に普及するのはこれからだ」との回答を得た。その際の同氏の詳細な見解については、2016年6月20日掲載の本コラム「なぜ今、“AIファースト”なのか Google、AIクラウドに本腰」を参照いただきたい。

 そこで、今回のイベント中に開かれた記者会見では、「追撃できるのか」との意図を踏まえつつ、「Googleはエンタープライズ事業をもっと強化する必要があるのではないか」と、あえてシンプルに聞いてみた。「AWSやMicrosoftに比べて、企業向け事業への力の入れようがまだまだ足りないのではないか」――という意図を込めた質問である。これに対し、グリーン氏は次のように答えた。

 「今の質問は、Googleはエンタープライズ事業の経験が乏しいとのご指摘と受け止めたうえでお答えすると、まずその通りという面では、今、企業向け事業の全てにおいて強化を図っている。一方で、Googleがこれまで培ってきた技術やサービス、そしてそれらの品質の高さや信頼性、セキュリティなどは競合他社にないエンタープライズグレードなものだと自負している。クラウドにおける勝負はまだまだこれから。Googleの優れたリソースがエンタープライズに傾注するようになれば、多くのユーザー企業に大きな貢献ができると確信している」

 伝わってきたのは、Googleのポテンシャルに対するみなぎる自信である。今回のイベントを通じて、Googleが企業向けクラウド事業に本当に本腰を入れてきた感がある。今後、パブリッククラウドのIaaS市場が“2強”になるのか“三つどもえ”になるのか、Googleにとってはこの1〜2年が正念場になりそうだ。

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