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Googleも米大統領選で誤報を拡散 アルゴリズムが原因

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2016/11/16
Googleも米大統領選で誤報を拡散 アルゴリズムが原因: (AP Photo/Virginia Mayo) © ITmedia ニュース 提供 (AP Photo/Virginia Mayo)

[AP通信] 11月8日の米大統領選で次期大統領に選出されたドナルド・トランプ氏が「得票数でも勝利した」とする虚偽の情報が一時、米Googleの検索エンジンで検索結果の上位に表示されるというミスが起きた。ソーシャルメディアはインターネット上の情報発信源として重要な役割を担うが、最近はこうして誤報を拡散する事例が相次いでいる。

 誤った開票結果を伝える記事がGoogleの検索結果に表示されたのは11月14日のこと。14日にGoogleで選挙の最終結果を検索すると、トランプ氏寄りのニュースサイト「70News」に掲載された2日前の誤報記事へのリンクが、関連ニュースのトップや上位など目立つ位置に表示された。

 Googleはこのミスを認めている。ただし14日の午後半ばの時点ではまだ、70Newsサイトへのリンクが検索結果の上位に表示された。

●SNSで誤報が拡散

 インターネットに偽情報が出回るのは少しも珍しいことではない。インターネットでは、根拠のない主張や都市伝説が検証され、嘘や偽りが暴露されるということが20年以上前から続いている。

 だが今回、大接戦となった大統領選の事後分析が進む中で、この問題は今まで以上に注目を集めている。大統領選では結局、かつてテレビのリアリティー番組の司会者として人気を博した大富豪の共和党候補トランプ氏が、世論調査で常に優勢が伝えられていた前国務長官の民主党候補ヒラリー・クリントン氏を破った。

 トランプ氏は複数の重要な州で勝利し、全選挙人の過半数を獲得。ただし、一般投票の得票数ではクリントン氏に及ばなかった(一部の投票は未集計)。クリントン氏が得票数でトランプ氏を上回ったという事実は、全米各地で続くトランプ氏に対する抗議デモを引き起こした要因の1つにもなっている。

 大統領選に関する虚偽報道で矢面に立たされたのはGoogleだけではない。Facebookでも選挙戦中や選挙後に虚偽情報が無責任に拡散され、ソーシャルメディアが果たす役割をめぐり論争が巻き起こった。ソーシャルメディアは今や多くの人たちにとって主要なニュースソースだ。批判的な向きからは、「誤解を与える情報を拡散しないようソーシャルメディア企業がもっと注意を払うべき」との声が上がっている。

●SNSがニュースの主要な入手手段に

 リアルタイムアクセス解析サービスのChartbeatによれば、今やメディアサイトへのアクセスはGoogleの検索エンジンからのトラフィックが主流だという。シンクタンクPew Research Centerの調査では、米国民の約60%が少なくともニュースの一部をFacebookなどのSNSサイトから入手しているとの結果も出ている。Facebookは現在、米国とカナダで1億7800万人のユーザー数を誇る。

 今回の大統領選後、Facebookは虚偽のニュースを拡散して選挙結果に強い影響を与えたとして批判を浴びた。Facebookは2016年夏、「トレンディングトピックス」の編集者らを解雇し、アルゴリズムに置き換えたが、トレンド欄にはその後すぐに虚偽のニュースが表示されるようになった。

 Facebookのマーク・ザッカーバーグCEOは先週、公の場に姿を現した際に、この批判を「クレイジー」だと一蹴。12日には、Facebookにコメントを投稿し、「Facebookに表示される情報の99%以上は信頼できるものだ」と主張した。同氏は、虚偽情報の拡散を阻止するためにはまだ取り組むべきことがあると認める一方で、情報が明らかに間違っているかの見極めは必ずしも簡単ではないと述べている。

 「真実を見極めるのは困難な作業だ。一部のねつ造は完全に暴けたとしても、主要メディアの情報も含め、膨大なコンテンツの中には、基本的な考えは正しいが詳細が一部誤っていたり省略されていたりするものも少なくない」(ザッカーバーグ氏)

 Facebookのフィードに表示される記事は主に自動化されたアルゴリズムによって選択されている。Googleの検索結果も同じくアルゴリズムを元に決定されており、Googleは定期的にアルゴリズムを見直すことで、不正な方法で上位表示を狙うサイトの排除を図っている。

●アルゴリズムの改善が急務

 トランプ氏が得票数で勝利したという70Newsの偽記事を検索結果の上位に表示した件について、Googleは自社の検索エンジンのミスであることを認めている。「今回の件は明らかに私たちのミスだ。今後も引き続きアルゴリズムの改善に取り組む」とGoogleは声明で述べている。

 オンラインの見出しや記事の冒頭に虚偽情報が含まれる場合、その影響は特に甚大なものになりかねない。Chartbeatの調査によれば、「アクセスしたWebページに滞在する時間は15秒以下」というユーザーは全体の約53%を占めている。

 昨今は自動化されたプログラムが選んだニュースをスマートフォンやPCなどのデジタルデバイスを使って読む人たちが増え、間違った情報がインターネットに拡散されやすくなっている。ニュースサイトNewsonomicsのメディアアナリストであるケン・ドクター氏はそう指摘する。

 「一連の問題の原因はアルゴリズムの失敗にある。こうしたアルゴリズムは、人間にはできない多くのことを私たちの生活にもたらす。だがアルゴリズムが失敗することもある。アルゴリズムは中立な技術ではないということだ。人間が作るものである限り、アルゴリズムも人間の弱点をすべて内包している」と同氏は語る。

 各社のアルゴリズムが失敗した原因を探るのは難しい。Coca-Colaのレシピが長年、門外不出の企業秘密となっているのと同様に、GoogleやFacebookなどの企業は自社のアルゴリズムについて徹底した秘密主義を貫いているからだ。

 だがドクター氏によれば、情報の入手手段としてGoogleやFacebookの影響力が増大する中、今後は両社にもっと説明責任を負わせるべきとの政治的圧力が高まる可能性もあるという。

 とはいえ、大半の人たちはいまだにオンラインで読むコンテンツには懐疑的だ。Pew Research Centerによれば、SNSサイトで読むコンテンツを「大いに信頼している」という米国民はわずか4%にとどまるという。Pew Research Centerが2016年初頭に実施した調査では、回答者の22%が「地元の報道機関の情報を信頼する」と答え、SNSサイトよりも高い信頼度を獲得している。

(日本語翻訳 ITmedia ニュース)

(C) AP通信

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