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HoloLensで日本企業はどう変わる? 自民党のIT戦略特命委員長が体験

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/03/10
HoloLensで日本企業はどう変わる? 自民党のIT戦略特命委員長が体験: 自民党IT戦略特命委員会が日本マイクロソフトを訪問 © ITmedia エンタープライズ 提供 自民党IT戦略特命委員会が日本マイクロソフトを訪問

 3月8日、自由民主党IT戦略特命委員会の議員3人が日本マイクロソフト本社を訪れ、Windows Mixed Reality対応のヘッドマウントディスプレイ「HoloLens」を体験した。ARともVRとも異なる、MR(Mixed Reality)を実体験し、教育分野や中小企業をはじめとした活用の可能性を探った。

●教育分野での活用などに期待

 日本マイクロソフト本社を訪れたのは、自由民主党に所属する衆議院議員でIT戦略特命委員長を務める平井卓也議員、IT戦略特命委員会事務局長を務める福田峰之議員、事務局次長を務める牧島かれん議員の3人。これまでも、Windowsの最新バージョンやサイバーセキュリティに関する技術説明などで、IT戦略特命委員会と協力関係にあった日本マイクロソフトは今回、HoloLensを最適な環境で体験してもらうため、本社で説明を行った。

 日本マイクロソフトの平野拓也社長と樋口泰行会長、パブリックセクター担当の織田浩義執行役員常務、Windowsデバイス本部長の三上智子業務執行役員らに出迎られた3議員は、HoloLensの狙いや日本での販売状況の説明を受けた後、実際にHoloLensを体験した。

 平野社長は、「今やマイクロソフトは、WindowsやOfficeの会社というだけでなく、クラウドやAI、IoTに関する要素技術を開発し、それを仕事や生活の中でいかに使ってもらうかに力を注いでいる」と説明。中でもHoloLensは、バーチャルとリアルを融合したMRを実現するデバイスであり、プロトタイプが登場したときから高い関心を集めていると紹介した。

 ニーズについては、「教育現場や製造現場、保守現場、工事現場などでの活用に向け期待が高まっている」とし、AIなどとの組み合わせによって進化する要素技術の1つでもあり、「今後の日本の経済に貢献できる」(平野社長)と自信を見せた。

 説明を受けた平井議員は、「教育分野でHoloLensを活用できないかと考えていた。党内でも遠隔教育の導入には慎重な意見があるが、新たな技術を活用することで教育分野の改革につなげたいと考えている」と話す。また、少子高齢化が進む日本では、ITでさまざまな課題解決に取り組めるとし、「ITを使ってデータを有効活用する社会にしていかないといけない」と意気込んだ。

 「情報社会の根幹を支えるセキュリティの重要性を考えてサイバーセキュリティ基本法を作り、AIやIoTの分野で注目されるデータの効果的な活用を促進するため、官民データ活用推進基本法(官デ法)を作ってきた。これはいずれも議員立法であり、今後もIT戦略特命委員会では、時代に先駆けてこうした法律の制定を行い、これからの社会を支援していきたいと考えている。今、日本の1人あたりのGDPは世界で26位、成長率は160位だが、やり方によってはまだまだ順位を高めることができる。働き方改革もその1つであり、ITの活用で社会が元気を取り戻すことになる」(平井議員)

●中小企業への活用の可能性は?

 HoloLens体験にあたり、まずは日本マイクロソフトがHoloLensの概要を説明した。

 HoloLensは、2015年1月に発表され、2016年3月に米国、カナダで販売を開始。2016年12月2日から日本でも予約受付が開始され、2017年1月18日に出荷が開始された。PCなどを接続することなく利用可能な独立型のデバイスで、実空間上にコンピュータが描くバーチャルの映像を重ねて表示できる。デバイスは高度なセンサーや透明なレンズ、空間音響システム、HPU(Holographic Processing Unit)と呼ぶカスタムチップなどで構成されている。

 説明を受けた平井議員が特に関心を寄せたのは、中小企業の導入に適しているかどうかという点だった。

 政府では中小企業を対象に、ITを使った生産性向上を推進する目的で、ソフトウェアを中心とするIT導入費用を補助する「サービス等生産性向上IT導入支援事業(IT導入補助金)」を2016年度第2次補正予算で成立させた。2017年2月末で申し込みは終了したが、2017年度の概算要求の中にも盛り込まれ、6月まで利用できることになったため、この制度をHoloLensに適用できるかどうかが平井議員の関心事の1つだったのだ。

 日本マイクロソフトでは、HoloLensは建設業や製造業、医療・ヘルスケア分野などで活用できることを示しながら、パートナー企業を通じて対応ソフトウェアを開発できる環境が日本でも整い始めていることを説明したが、平井議員は中小企業が導入するのは現実的に難しいと判断。その理由は、現在、開発者向けに提供されているHoloLensの価格が33万円からとなっていること、汎用的に利用できるアプリケーションはまだ用意されていないことなどだ。

 日本マイクロソフトの三上業務執行役員は「将来は、より低価格で購入できるようにし、さらなる軽量化を図ることも目指している。中小企業にも購入しやすいデバイスへと進化する」と説明した。

 そしていよいよ一行は部屋を移動し、3議員がそれぞれ15分ずつ実際にHoloLensを体験。実際には何もない棚の上にバーチャルでさまざまな物体が表示される様子を見たり、歩み寄って壁を突き破ると機内の様子が見える飛行機の模型を操作したり、仮想空間上の「Skype」で音声チャットを試したりした。

 中でも面白いのが人体模型だ。リアルの空間上に浮かび上がる人体模型をのぞき込むように見ると心臓の中身を見ることができ、静脈や動脈の動きなどもつぶさに観察できる。議員たちは何度も、「おおっ!」という声をあげ、そのリアルさに驚いていた。

 体験を終えた平井議員は、「VRとは異なるMRの可能性を実感できた。リアル世界を見ながら利用できるためか、“酔う”こともなく、疲れることもない。ただ、例えばもう少し軽くなるといいといったように、まだ進化の必要があるとも感じた」と感想を述べた。

 HoloLensを体験できる場所はまだ限られているため、現状、MRのメリットを実感するのは難しい面もある。日本マイクロソフトは今後、本社体験エリアの拡充などによって、より多くの人が体験できる場を作っていく計画だ。

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