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iesysを作るくらいのC#スキルはあった 「取り調べ可視化されていればもっと早く解決したのではないか」

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2014/05/20 18:45 ITMedia
iesysを作るくらいのC#スキルはあった 「取り調べ可視化されていればもっと早く解決したのではないか」: 12年11月に送信されたメールの画像。11月13日付け神奈川新聞が分かるように写っていた © ITMedia 提供 12年11月に送信されたメールの画像。11月13日付け神奈川新聞が分かるように写っていた

 4人の誤認逮捕につながった遠隔操作ウイルス事件で、起訴されていた片山祐輔被告(32)が自分が犯人であることを認めた。片山被告が告白した佐藤博史弁護士が5月20日記者会見し、連絡が取れなくなっていた片山被告の行動や、きっかけになった真犯人からのメール、これまで謎だった点の真相などについて、本人から聞いた話について語った。(その2からの続き)

●メールは秘密のPCで1カ月ほどかけて作成

 (16日に送信された)真犯人メールはかなり詳しい物だが、作るのに1カ月と言っていたような気がする。保釈される前から考えていて、秘密のPCで作り続けていたということですね。スマホなどを購入した時期は知らない。SIMカードは4月に発売されたといったのでそれ以降だろう。文章はPCで作り、SDカードでスマホにセットし、それを送信している。

 それで、たぶんスマホを回収すれば真犯人からのメールがある。そこに片山さんの指紋やDNAがあれば送ったのは間違いない。それが「onigoroshijuzo2」にアクセスしたなら真犯人に間違いないということになる。

 PCは自宅ではないところに隠してあると。パスワードを忘れてしまったのでPCを開けないと言っていた。PCを開けなくてもSDカード経由だから、証拠は十分あるだろう。

 落合洋司弁護士に送られたHDDについては「全く自分ではない、無関係だ」とのことです。

●雲取山の写真は自分で撮った

江ノ島でセロハンテープでSDカードを貼り付けた首輪を猫につけている片山被告が防犯カメラに写っており、セロハンテープを当日に購入していたことが逮捕の決め手の1つだったが、片山被告は「バイクのタンク上部に、手書き地図や簡易メモを貼りつけることはよくあります」と説明していた。

 あれも全くのうそだと。セロハンテープは江ノ島に向かう直前に購入している。それをナビが不正確なので経路図を貼るために買ったと説明していたが、実際には江ノ島でトイレに入り、セロハンテープでSDカードを付けたという。首輪つける場面は写っていなかったが、その時に付けたと。手に握りしめていたんだそうです。(なぜ江ノ島で猫だったのか)それは分からない。

 (13年1月1日メールの謎を解くとたどりつく)雲取山の写真は12月1日に撮った本物の写真だそうです。ビニール袋が二重になっているのも当たっていると。外のビニール袋はziplockなのでピンクに見えるのだと説明していた。

 雲取山やクイズは自分で考えた。ハングルなどネットで翻訳みればすぐわ分かる。詰め将棋も本を見れば分かると、全部自分で作ったという。

 神奈川新聞は(12年に送信された)自殺予告メールに使われたが、分倍河原で買った、1月4日の神奈川新聞も川崎駅で購入したと。GPSかなにかで川崎方面にいったというのが証拠として出ていて、川崎なら買えるというのが検察の見立てだったが、当たっていた。

 雲取山でUSBメモリが発見されれば片山さんが逮捕されることはなかったんですよ。まさか江ノ島に防犯ビデオあるとは思わなかったと、漫画みたいな弁解ですが、予想しろよと思いますよね。だが首輪をつけるところがはっきり写っていた。

 遠隔操作ウイルス「iesys」を作ったのはオフィスのコンピュータだった。自宅のPCも一部使ったが、痕跡は残っていないという。C#だが「こっそり勉強していたといわれても仕方がないが、iesysを作るくらいの能力はあった」という。C#はWindowsで動くものなので、それで選んだという言い方をしていた。

報道陣:──裁判に対し危機感あったのか

 そういう心配は最近彼はしたことない。全部の証拠が開示された際、面会した時に、予想外に証拠が多いと若干のショックを受けていたようだが、無実なら突破口ある、1つ1つつぶしていくことをやろうとしていた。検察も決定的証拠はないと認め、裁判が進められていた。

 この真犯人メールがなかった時にどうなったのかは分からない。片山さんは善戦していると思っていたと思う。

 取り調べはそんなきついわけではない、話したことはきちんと(調書に)書いてもらっていると言っていた。ある人の取り調べがきつかったということは言っていたが、それ以外のことは全く言っていない。

●天は見ていたということでしょう

報道陣:──最後がうかつだった。行動を確認されていた自覚は。

 漫画みたいな話だが、この次はサドンデスだと言っていたのだが、彼は私たち以上に警戒していると思ってた。河川敷に下見に行った時に警戒しているが、誰もいない安全な場所だと思ったと。(それを見つけたのは)そこは捜査員の素晴らしい感というか、そういうものだと思う。子どもっぽいというべきだろうが、母親のためにメール送って裁判をジ・エンドにしようと思ったにしては、どこかが抜けてますよね。

 お母さんが最後まで彼を疑ってたのは事実だが、悪いことをしていたことを早く明らかにしたほうがいいと。つまり天は見ていたということでしょう。

 保釈金(1000万円)は母の生活のための資金だったので気にしていました。没収されないようにするけれど、おそらく証拠隠滅は破格の行為なので、それで保釈金の召し上げがないというのは考えられないと、自首したのでもないからと。彼はそれはすごく悔いていました。

●取り調べ可視化されていれば

逮捕・起訴された片山被告をめぐっては長期間の拘留に批判が高まり、取り調べの可視化を求める声も高まっていた。

 片山さんとも話したが、取り調べ可視化が実現し、証拠に基づいて本人に質問していくということがあった場合、それで負けました、ゲームオーバーと、そういうことになったかもしれない。彼にこうした形でインタビューを続けて行けば、かなり早い段階で音を上げさせることはできたかもしれない。

 彼が本当にやっているのであれば、どこかで自分の間違いに気付かせるのが弁護士の仕事だと思っているので、その意味では警察とそんなに違いはないはずだが、そこが不可視では難しい。有効なカードがあるなら効果的に使って容疑を認めさせてくださいという思いはあったが、逆に不可視なことで片山さんは楽になってしまった。

 私が「片山さんはこう言っている」と言うと、カウンターのように捜査当局からのリークによる報道が出てくる。

 片山さんに聞いてみるとうまくすり抜けられると。起訴されても、決定的な証拠がないまま裁判が始まってしまった。捜査当局は自分の持っている手の内を誇大に見せてしまった。捜査官はフェアプレーの精神で臨むべきなのに、旧態依然の姿勢だったので、私たちもそこを突くと、あたかも弁護側が勝っているかのように見えた。

 スマホから映像を復元したというが、片山さんは絶対ないという。この事件にもし意味があるとすれば、なんでこうなったのか、メディアのみなさんの報道の検証も含めてすることがあっていいかもしれない。

=おわり

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