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iPhone発売の“祭り”を支えるケータイショップ店員の数日間

ITmedia Mobile のロゴ ITmedia Mobile 2017/09/25
iPhone発売の“祭り”を支えるケータイショップ店員の数日間: 新型iPhoneの店頭展示コーナー © ITmedia Mobile 提供 新型iPhoneの店頭展示コーナー

 今年も新型iPhone(8/8 Plus/X)が発表されました。

 ニュースサイトの新着記事の多くはiPhoneに関連したものになり、ケータイショップや家電量販店の携帯電話コーナーも、新型iPhoneの予約・販売に関するポスターや掲示物であふれかえります。TwitterなどのSNSも新型iPhoneへの期待や、「予約できた!」といった声が目立つなど、その注目度、そしてお祭り騒ぎは今年も変わりありません。

 元ケータイショップ店員である筆者はこの祭りを目にする度に、どうしても店頭に立っていた頃の、iPhoneに関わるさまざまなことを思い出してしまいます。

 今回は「新型iPhone祭りの裏側」をお話ししていきます。

●刻一刻と変わる情報、終わらない準備

 Appleが新型iPhoneを発表した翌朝まで、店頭には一切情報が降りてきません。そのため、ケータイショップの店員はお客さまと同じタイミングで新型iPhoneに関する情報を知ります。

 言い換えればそれまでは何も知りません。発表の時期が近づいてくると、お客さまから新型iPhoneの情報について聞かれることもあります。経験則で「多分こうでしょう」とお答えできることはできても、それ以上のことはお客さまには案内できませんし、「本当は知っているんでしょ?」と聞かれても、本当に何も知りません。

 そのくらい、新型iPhoneに関わる情報はケータイショップ店頭には落ちてこないので、いざ発表されると

・新型iPhoneのスペックなど、商品知識

・続々と決まっていく料金やキャンペーンの情報

 この2つを追いかけ続けながら、新型iPhoneに関するお問い合わせに対応していかなければなりません。

 新型iPhoneは数あるスマートフォンのラインアップの中でも特に売れる機種になるため、携帯大手キャリアはとにかく他社の動向を注視します。すでにアナウンスした内容から一転、他社同等か、もしくは他社以上の内容に料金やキャンペーンをあらためることもしばしば。

 これに応じて、準備した店頭案内用の用紙やポスターの差替えはもちろん、そもそも予約・販売を受け付ける店員の知識もどんどん更新していかなければなりません。

 どれだけ張り切って準備を行っていても、こうした事情があるため「せっかく準備をしたのに」と落胆する間も与えられず、終わらない準備に追われながら予約と発売を向かえます。

●発売当日は午前6時集合 間に合わないので前泊するときも

 バタバタとした予約前の準備、そして予約開始から発売までの約1週間を終えるとついに発売日がやってきます。

 店頭の目立つ場所に並ぶ新型iPhone実機や展示台。

 これらは発売日前日に店舗に到着することがほとんどで、その開封・設置は発売日前日の営業終了後、または発売当日の朝に行うよう携帯電話キャリアから指示されています。

 この時点で「遅くまで残って作業をするか」「朝早く来て作業をするか」どちらかを選ばなくてはなりません。

 また、新型iPhoneの発売日は慣例として「午前8時からの販売スタート」になっており、Apple Storeに限らず、一部の携帯電話会社のショップ、家電量販店もこの時間から販売を行うため、スタッフは朝8時よりも前、例えば「早朝6時に店舗に集合!」といった指示が出されることも珍しくありません。

 筆者の場合、埼玉の住まいから都内の担当店舗までは「始発が午前6時」であり、午前6時に店舗に到着することはまずできませんでした。そのため、担当店舗の近くに前日から泊まるよう指示が出されることも。

 その場合「帰れなくても大丈夫」ですから、発売日前日の晩の準備は誰よりも遅い時間まで残り作業するようにもなります。

 この時点でだいぶくたくたになっているのですが、祭りは発売するその日からが本番です。

●12時間、休む暇なし

 午前8時。

 最初のお客さまを迎え入れた瞬間から、新型iPhone発売の祭がスタートします。

 事前の予約状況、そして発売日当日の入荷状況にもよりますが、担当した店舗が「旗艦店」と呼ばれる、お客さまも在庫も集まりやすい店舗だった場合、この日から数日間は悲惨な状況が続きます。

 いつもならお店に立ち寄ったお客さまに声をかけ、やっとのことで獲得する1台の契約ですが、新型iPhone発売のときは「買うのが決まっているお客さま」が大挙して押し寄せてきます。

 最近では「予約番号に応じて受付時間をあらかじめ決めておく」といった混雑緩和を事前から告知・案内するようになっていますが、それでも発売日からの数日間は一切休憩に入る間も与えぬほどのお客さま対応に追われます。

 過去を振り返ると、午前6時に店舗に出勤し、午前8時の開店まで普段と違うオペレーションについての周知・確認を行い、開店してお客さまを迎え入れてから一息つけたのが午後6時、ということもありました。

 一息つけたとしてもそれは「お茶を口にする」程度の時間であり、そこからその日の営業終了時刻まではまた休みなく、ずっとお客さまの対応に追われます。

●1日が終わって営業終了(帰れるとは言っていない)

 この怒濤(どとう)の1日を終え、店舗の営業終了時間を迎えても、これで終わりではありません。

 通常通りの閉店作業はもちろん、発売日の翌日に受取りを希望されているお客さまも多数いらっしゃるため、その準備が待っています。

 なんだかんだでこうした翌日の準備までも終えると、帰宅は終電です。

 そしてその翌日も、いつもよりも早い時間からお店が開くことが決まっていたりすると帰って少し寝て、そして朝早くから出勤、そして休憩する間も与えられずに、閉店までずっとお客さまが待ちわびた新型iPhoneをご用意する1日が待っているのです。

●それでも「祭り」は楽しい

 こうして新型iPhoneの発表から発売までの苦労を思い出してみると「つらかった」という思いも確かにあります。

 しかし、新型iPhoneをお持ち帰りしていったお客さまの笑顔と、祭りが終わった後の結果(販売台数など)を思い出すと、つらかったという思いよりも充足感ばかりが心を満たします。

 この「祭り」に販売で携われたのは、ケータイショップ店員をやっていて良かったと今でも思える出来事でした。

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