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iPhone Xで「スーパーフォン」市場開拓?

ITmedia NEWS のロゴ ITmedia NEWS 2017/09/18 10:05
iPhone Xで「スーパーフォン」市場開拓?: ジョナサン・アイブ最高デザイン責任者といっしょにiPhone Xを手にするティム・クックCEO © ITmedia NEWS 提供 ジョナサン・アイブ最高デザイン責任者といっしょにiPhone Xを手にするティム・クックCEO

[AP通信] 米Appleが発表した高級路線の新型iPhone「iPhone X」には、自社の技術力への自信がにじむ驚きの高価格が付けられている。こうした攻めの価格戦略は、これから起こるであろうことの前触れともとれそうだ。

 9月12日に発表された待望の新型iPhone「iPhone X」の価格は999ドルから。10年前の初代iPhoneと比べて約2倍、現在販売されている他のどの競合製品よりも高い価格設定となっている。自らを長年、“あこがれの高級ガジェットの専門業者”と位置付けるAppleとしては、当然の値付けかもしれない。

 一方でこれは、Appleが今後も製品の高価格化を続け、攻めの価格戦略を強化する方針であることを示す明確な兆候でもある。Appleが新製品で提供する機能強化は多くの場合、漸増的か派生的なものであるにもかかわらずだ。そして何より、Appleの方針はITガジェットの価格が徐々に低下しているここ数十年間の傾向に逆行するものだ。他社のガジェットは、新機能の追加や高性能化を図りながらも、価格は低く抑えられる場合が少なくない。

 例えばAppleが12日に発表したメディアストリーム端末「Apple TV」は179ドルと、同様の競合製品と比べてはるかに高価格だ。新たにLTE通信をサポートするスマートウォッチ「Apple Watch」も約400ドルと強気の価格。Appleが12月に発売するスマートスピーカー「HomePod」も349ドルと、市場シェアトップのAmazonのスマートスピーカー「Echo」と比べて2倍近い価格だ。

 Appleは従来のiPhoneの後継機種である「iPhone 8」と「iPhone 8 Plus」についても価格を引き上げ、iPhone 8は「iPhone 7」よりも50ドル高く、iPhone 8 Plusは「iPhone 7 Plus」よりも30ドル高い価格に設定している。

●製品なら高くても売れる?

 こうした強気の価格戦略は、「良い製品であれば、価格が高くても消費者は買わずにはいられない」というAppleの長年の信念を反映したものだ。

 Appleのティム・クックCEOは実際、iPhone Xの発表の場で同製品に対する揺るぎない自信を披露している。iPhone X(Xは“テン”と発音)という名称は、Appleの共同創業者であるスティーブ・ジョブス氏が初代iPhoneを499ドルで発売してから10年となることを記念したものだ。

 クック氏はPhone Xを初代iPhoneと同様の画期的な製品と位置付けるべく、「初代iPhone以来の最大の飛躍だ」と胸を張った。

 だが初代iPhoneといえば、インターネット接続が可能な携帯型コンピュータとアプリを何百万人というユーザーに広め、社会に大変革をもたらした画期的製品だ。一方、iPhone Xに期待できるのはせいぜい、既に他のスマートフォンで実現していることをより良くやってくれるくらいのことだ。

 確かにiPhone Xの機能や性能はすばらしい。ほぼフロント全面を覆う高精細な画面、AI(人工知能)処理に特化したプロセッサ、顔認識用の新しいセンサーの他、ユーザーの表情を反映するアニメーション絵文字「Animoji」や背景をぼかして人物を撮影できる自撮り機能、拡張現実(AR)ゲームプラットフォーム、ワイヤレス充電など、こだわりの機能も多数備える。またAppleによれば、iPhone XのバッテリーはiPhone 7よりも2時間長く持つという。

 だが競合のスマートフォン——その多くは韓国Samsung Electronicsの製品——は既に、雑な仕上がりゆえにまだあまり多くのユーザーの支持を獲得できていないとはいえ、iPhone Xと同様のディスプレイや顔認識、AR、ワイヤレス充電などの機能を搭載している。

●ARをメインストリームに

 とはいえ、Appleに新分野を開拓するつもりがないわけではない。とりわけiPhone XはAppleにとって、ARをメインストリームへと押し上げるチャンスとなるはずだ。ARは基本的には、コンピュータが生成する画像を現実世界に融合させる技術。画面上に現れるポケモンを捕獲して楽しむ「Pokemon GO」が代表的だ。

 ARの分野にどのようなキラーアプリが登場するか——。それを確信を持って語れる人はまだいない。どのようなアプリにせよ、そうしたキラーアプリを世の中に送り出すのは、既存企業の可能性もあれば、まだ知られていないスタートアップ企業の可能性もある。ただしAppleがこの分野に注力しているのは確実だ。

 Appleは12日、iPhone Xの高性能カメラを活用してAnimojiを楽しむ簡単な方法を披露した。Animojiは、ユーザーの声や顔の表情の変化に合わせて絵文字キャラクターの表情を動かせる機能。友人に送ることも可能だ。

 誰にでも使いやすい分かりやすい楽しみ方を通じて新技術をアピールするのは「Appleが得意とするところだ」とGartnerのアナリスト、ブライアン・ブラウ氏は指摘する。ARはiPhone X以外のiPhoneでも利用可能だ。Appleが9月19日に無償提供を開始する最新OS「iOS 11」をインストールすれば、iPhone Xの他に何億台ものiPhoneでARを利用可能になるという。

 ある意味、Appleは競合各社に感謝すべきかもしれない。SamsungやGoogle、Huaweiといったライバル各社との熾烈な競争があればこそ、「新型iPhoneを大成功させなければならない」というAppleへのプレッシャーが強まった、とITアナリストのパトリック・ムーアヘッド氏は指摘する。

 「これで“スーパーフォン”とでも呼ぶべき新たな市場セグメントが生まれるかもしれない。Appleがこの分野に心血を注いだのは確かだ」と同氏。

 その他のApple製品も性能強化が図られている。新しいApple Watchはいよいよ単体での音声通話に対応。近くにiPhoneがなくても、携帯電話網経由で音声通話や音楽ストリーミングサービスを利用できるようになった。新しいApple TVは4K解像度の超高画質をサポートする。

(日本語翻訳 ITmedia NEWS)

(C) AP通信

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