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Lenovoエンタープライズ事業トップが語る「競合追撃の決め手」

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/09/11 12:00
Lenovoエンタープライズ事業トップが語る「競合追撃の決め手」: Lenovoエグゼクティブバイスプレジデント&データセンター事業部門プレジデントのカーク・スコーゲン氏 © ITmedia エンタープライズ 提供 Lenovoエグゼクティブバイスプレジデント&データセンター事業部門プレジデントのカーク・スコーゲン氏

 「Lenovoは2014年10月にIBMのx86サーバ事業を買収してエンタープライズ事業に本格的に乗り出したが、しばらく足踏みしていた状態だった。しかし、2017年4月から事業推進体制を大きく変え、新たな事業戦略を打ち出して臨んでいる」――。こう語るのは、Lenovoのエグゼクティブバイスプレジデントでデータセンター事業部門のプレジデントを務めるカーク・スコーゲン氏である。

 9月8日に来日し、東京・秋葉原のレノボ・エンタープライズ・ソリューションズ本社で筆者の単独取材に応じた。

 冒頭のコメントは、「LenovoはPCをはじめとしてコンシューマー事業を展開している印象が強いが、エンタープライズ事業は本気でやる覚悟があるのか」と、インタビューの最初に行ったぶしつけな質問に答えたものだ。この後、続けて「まさしく本気、本腰を入れてやっている」と、にこやかながら強い口調で語った。

 スコーゲン氏が言うように、Lenovoはエンタープライズ事業において2017年4月から事業推進体制を大きく変え、新たな事業戦略を打ち出した。具体的には、体制変更ではエンタープライズ事業を推進するデータセンター事業部門の独立性を高め、実質的なカンパニー制によって事業責任を明確にする形になった。また、新戦略では今後伸長する市場に向けた製品・サービスの拡充を図った。

 そうした動きをけん引したスコーゲン氏は、2016年11月にIntelから移籍してきた人物である。Intelには24年間在籍し、直近ではデータセンターとクライアントコンピューティングを合わせた事業部門のトップを務めていた。その同氏がLenovoに入社後、まず、辣腕(らつわん)を振るったのが、新しい体制と戦略づくりだ。とりわけ、体制については「営業の変更が肝。これまでの営業はPCもサーバも手掛けていたが、これを明確に分けてサーバ専任の営業部隊をデータセンター事業部門として持つ形にした」という。

 一方、新たな事業戦略については、今回のインタビューでもスコーゲン氏が注力事業として挙げた「ハイパースケール」「ハイパフォーマンスコンピュータ(HPC)」「ソフトウェアデファインドインフラストラクチャ(SDI)」「トラディショナルIT」の4分野にフォーカスしていくことを打ち出している。

●競合追撃の決め手は「顧客からの高い信頼と満足度」

 この新戦略を打ち出した背景には、2020年には「ニューIT」と「ハイパースケール」といった分野が市場の多くを占めるようになるとの予測がある。フォーカスした4分野は、これら成長市場に向けたものだ。

 ちなみに、ハイパースケールはパブリッククラウドサービス向け、HPCは高速計算処理向けのサーバを指す。また、SDIは「ハイパーコンバージドシステム(HCS)」や「ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)」、そしてトラディショナルITではx86サーバ単体でなく、例えば「SAP HANA」と組み合わせたプラットフォームとして提供するといった形だ。

 こうした注力事業を挙げたスコーゲン氏に、「それらの分野は、Lenovoのエンタープライズ事業にとって先行する競合のDell EMCやHPEも注力しているが、どう差別化を図って追撃しようと考えているのか」と、単刀直入に聞いてみた。すると同氏は「3つのイノベーションがカギになる」として、次のように説明した。

 「1つ目は製品のイノベーション。x86サーバを中心に今後もこれまで以上に品質の向上に注力する。この部分は小さなことの積み重ねが大きな差別化要因になると確信している。2つ目はパートナーシップによるイノベーション。Lenovoは強力なx86サーバを提供しているが、注力する4つの分野に向けてさまざまなソリューションを提供していくために、それぞれの分野に得意なパートナーと協業を進めている。そして3つ目はアジャイルイノベーション。正しい方向にどこよりも俊敏にアクションを起こしていくという意味だ」

 ちなみに、2つ目のそれぞれの分野でのパートナーシップを示したのが図2である。スコーゲン氏はパートナーシップについて、「どの協業も顧客ニーズに基づいたものだ。競合にはないユニークな協業も進めている。これだけ柔軟にパートナーシップを広げているのはLenovoだけだ」と強調した。

 そのうえで、スコーゲン氏は競合を追撃する決め手として「顧客からの高い信頼と満足度」を挙げた。とくに顧客満足度については、x86サーバにおいてトップとの最新の外部調査もあり、同氏は「データセンター事業部門の報酬評価も顧客満足度への貢献度に基づいて行うようにした」とのように、最も重視している姿勢を示した。

 インタビューの最後に、スコーゲン氏自身がIntelからLenovoへ移った決め手になった点を聞いてみた。すると同氏はエピソードを交えてこう答えた。

 「Lenovoのエンタープライズ事業の中核であるx86サーバは、私がIntel時代に設計に携わったワークステーションが原形だ。その後、幾度ものイノベーションを目の当たりにしてきて、今度はLenovoというPCで数々のイノベーションを起こしてきた企業で、x86サーバを中核としたソリューションでイノベーションを提供する役目を担うことになった。そのイノベーションを手掛けたいと思ったのが決め手だ。非常に楽しみにしているのは、これからIoT(Internet of Things)や人工知能(AI)、第5世代通信方式(5G)といった新しい市場が広がっていくことだ。それらを支えるLenovoの仕事も間違いなく広がっていく。ぜひ期待していただきたい」

 インタビューで印象深かったのは、どんな質問にも笑みを浮かべながら落ち着いて答えていた姿だ。ただ、先行する競合についての質問に対し、即座に「何をもって“先行する”と言っているのか」と切り返してきた。このピリッとした感覚に、筆者はスコーゲン氏の“本気”を見た。

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