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Microsoftが掲げる「デジタル変革に必須の4要素」とそれを実現するもの

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/07/11
Microsoftが掲げる「デジタル変革に必須の4要素」とそれを実現するもの: Microsoftの One Commercial Partner担当コーポレートバイスプレジデント、ロン・ハドルストン氏 © ITmedia エンタープライズ 提供 Microsoftの One Commercial Partner担当コーポレートバイスプレジデント、ロン・ハドルストン氏

 米Microsoftが2017年7月9日から(現地時間)、米国ワシントンD.C.のウォルター・E・ワシントン コンベンションセンターにて、パートナー企業向けのイベント「Microsoft Inspire 2017」を開催している。会期は13日まで。初日に行われた基調講演「Vision Keynote」では、Microsoft CEOのサティア・ナデラ氏が登壇し、同社の今後の方針やパートナー戦略について説明した。6月決算のMicrosoftは、7月から新年度(FY18)をスタートしており、新しい年度において、対外的に同社の方針を説明したのはこのイベントが初めてとなる。

 Microsoft Inspireは、2016年までMicrosoft Worldwide Partner Conference (WPC)と呼んでいたイベントを改称したもの。「Where the world meets to transform business」をテーマに、「Hear」「Learn」「Collaborate」という3つのカテゴリーでイベントを構成し、クラウドビジネスにおける利益の最大化や、ビジネス成長のための新しい機会の創出、ビジネスニーズを満たすための課題などに関する情報を共有。パートナーに向けた各種カンファレンスやセミナー、トレーニングのほか、最新製品の展示などを行っている。

 会場には、全世界140カ国から、約1万7000人が集まった。日本からも約150社のパートナー企業から、約450人が参加。いずれも過去最高を記録した。

 ナデラCEOは冒頭で、Microsoftには現在、全世界に6万4000社のパートナーがいること、それにより、1700万人の雇用を生んでいること、さらに、昨今では、Linux、Hadoop、Javaのエコシステムから移ってきたパートナーがいることを示しながら、「我々はパートナーありきの企業である」と切り出した。

 毎年開催されているパートナーカンファレンスは、Microsoftにとって、新年度がスタートする直後に開催され、1年間における論調を示すものになる。こうしたことを踏まえながらナデラ氏は、「Microsoftは、モバイルファースト、クラウドファーストの企業から、インテリジェントクラウド、インテリジェントエッジの企業に変わりつつある。すべての体験はマルチデバイス、マルチセンスになり、1つのデバイスに縛られるものではなく、音声を使い、インクを使い、さまざまなインプットやアウトプットが可能になる。また、すべての領域においてAIが活用され、インテリジェンスを生み出すことになる。例えば自動運転は、1秒間に4Gバイトものデータを生む。自動運転だけでなく、スマートファクトリー、スマートシティなどにおいても、エッジから多くのデータが生まれ、データ量はますます大きなものになってくる。そして、すべての複雑性を管理するためには、コンテナやマイクロサービス、サーバーレスといった考え方が必要である」と、同社が見据えている未来を披露した。

 また、「ここから生まれる機会は、これまで以上に大きなものになる。プラットフォームシフトによって、すべての製品やサービスがデジタルに関係してくることから、我々の目の前には、4兆5000億ドルもの市場が広がっているといえる。この業界にいることが、これまでにないオポチュニティを得ることにつながっている。これをどう摘み取っていくのかを考えなくてはならない」とナデラ氏。

 デジタルトランスフォーメーションへの取り組みとして同社が掲げている「お客様とつながる」「社員にパワーを」「業務を最適化」「製品を変革」という4つの切り口を挙げながら、「これらに対して、マイクロソフトは、より最高の価値と体験を提供することになる」と胸を張った。

 さらにナデラ氏は、「Modern workplace」「Business applications」「Applications & infrastructure」「Data & AI」の4つのソリューション領域が、デジタルトランスフォーメーションにおける重要な要素になると説明する。

 Modern workplaceとは、工夫や創造性を発揮するために必要なもの。「1つの枠組みの中で、個人を意識するのでなく、チームが一体となり、ダイナミックに連携することができる環境を提供するかを考えなくてはいけない」と話し、新たな製品として、「Microsoft 365」を披露した。

 Microsoft 365は、Office 365とWindows 10、Enterprise Mobility+Securityを統合したソリューションであり、「Creativity」「Teamwork」「Simplicity」「Security」という4つを実現するAIを含んだ包括的ソリューション。インテリジェントであり、セキュアであり、社員の生産性を向上させるためのソリューションと位置づけた。Microsoft 365は、エンタープライズ向けの「Microsoft 365 Enterprise」と、中堅中小企業向けのパッケージ「Microsoft 365 Business」で構成される。

 2つ目のBusiness applicationsとしては、必要な機能を組み合わせられ、各種データが連係していることなどが重要と説明。これを具現化したものとして、セールスオペレーションを自動化し、近代化することができる「Microsoft Relationship Sales」を発表した。Microsoft Relationship Salesは、Dynamics 365 for SalesとLinkedin Sales Navigatorを組み合わせたものであり、これを活用することで、案件を効率的に、プロアクティブに推進、処理できるという。

 さらに、人事部門においても、Dynamics 365とLinkedinを組み合わせて、誰と、いつ面談するのかといった設定が簡単にできることや、採用するために必要な情報を効率的に収集したり、新たに採用した人材が社内に定着しやすい環境を構築したりできることも示した。「ビジネスアプリケーションの新たな枠組みによって、すでに稼働させている人事システムを、タレントエンゲージメントにも進化させることができる」という。

 そして、3つ目と4つ目の要素として挙げたApplications & InfrastructureおよびData & AIについては、「Azureには豊富な機能があるが、なかでも、AIを利用するために有効なプラットフォームであり、我々の研究成果の多くをAPIとして提供していることが特徴である」と発言。顔認識では、単なる認証をするだけでなく、悲しそうな顔をしていたときには、AIがそれを認識して、「大丈夫?」と語りかけてくれるといったデモストレーションのほか、チャットボットの活用、機械学習やIoT、サーバーレステクノロジーの活用などについても紹介。これらがAzureですべて提供されていることを示した。

 最後にナデラCEOは、どんな食品を庫内に入れたかを理解できる冷蔵庫を発売するLiebherrや、HoloLensを利用してトレーニングを行うBoeing、医療分野でHoloLensを利用するCase Western Reserve and Cleveland Clinicなどの最新事例を紹介。またMicrosoftが、Project Premonitionと呼ぶ、テクノロジーを活用して疫病の広がりを抑制する活動を行っていることにも触れながら、「こうした取り組み事例のなかからインスピレーションを感じてほしい。そして、これがパートナーエコシステムにつながることを理解し、ぜひ活用してほしい」などと語った。

 一方、ナデラ氏の前に、これから始まるInspireを紹介する形で登壇したMicrosoftの One Commercial Partner担当コーポレートバイスプレジデント、ロン・ハドルストン氏は、Microsoft Inspire 2017の1万7000人の参加者のうち、数千人が初めての参加者である一方、10回以上参加している人も多いことなどを紹介。「私は2016年に初めて参加して、今年は2回目の参加。Microsoftでは新参者だが、パートナーリングでは20年間の経験がある。Microsoftはパートナーありきの企業であり、それはこれからも変わらない。パートナー戦略としては、北極星と同じ存在である。だがMicrosoftは、これからのパートナーシップのありかたを変えていきたい」と話し、「パートナーと会話をして分かったのは、パートナーは製品やプログラムに、1つの方法で顧客につながりたいということであった。そこでMicrosoftは、1つのコマーシャルパートナー組織を作り、役割を1つに集約した。それはパートナーファーストで取り組むものになる」とした。

 続けて、「1つとなった新たな組織によってパートナーに提供するのは、Build-with、Go to Market、Sell-withの3つの仕組みである。Microsoftは、2億5000万ドルを投資し、パートナーと顧客を結ぶための仕組みをつくる。その1つが、チャネルマネージャーという役職だ。チャネルマネージャーは、パートナーと顧客をつなげる役割を担う。適切なパートナーに、適切なタイミングで、適切な顧客を紹介する。顧客の規模に関係なく、1つのチームで支援することになる。チームとしての協力体制と、市場へのアプローチ、共同営業を行うという3つの動きを通じて、パートナーが成功し、成長できるように支援するものになる」とした。

 また、「新たなパートナー向けプログラムをスタートさせ、Azureをどう売るのかを軸足にした新たなセールスインセンティブに再構築する」とし、「昨年度実績では、Azureにおけるパートナーとの共同受注が60億ドルに達している。Go-to-Marketにおいて、最もいい案件を集めて、これをパートナーに提供する。パートナーがマイクロソフトとつながり、新たな顧客へとビジネスを広げることができる」とした。

●日本でもMicrosoft Inspire Japanを開催予定

 なお、今回のMicrosoft Inspire 2017の開催を受けて、日本でも、「Microsoft Japan Partner Conference 2017 Tokyo〜Inspire Japan!」を東京で開催予定だ。さらに大阪、名古屋、福岡、札幌でも、Microsoft Inspire Japan 2017を開催する。日程は以下の通り。

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