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Microsoftが描く「デジタルトランスフォーメーションの世界観」

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/09/04
Microsoftが描く「デジタルトランスフォーメーションの世界観」: 図3 広がる市場規模(日本) © ITmedia エンタープライズ 提供 図3 広がる市場規模(日本)

 「2017年度はデジタルトランスフォーメーション元年だった」――。日本マイクロソフトの平野拓也社長は、同社が9月1日に都内ホテルで開催したパートナー企業向けイベント「Japan Partner Conference 2017 Tokyo」の基調講演でこう切り出した。

 今回の本コラムのキーワードは、「デジタルトランスフォーメーション」である。まさに旬の言葉だが、同講演で平野氏がMicrosoftにおけるその市場の見方や基本戦略を「世界観」と表現して説明したので、それを踏まえて考察してみたい。

 なお、イベント自体はパートナー企業向けだったので、基調講演では日本マイクロソフトの具体的な事業戦略や協業支援策、ケーススタディー、さらに注目度の高い人工知能(AI)技術の実演に多くの時間が割かれていた。とりわけAI技術の実演については、動画も含めたレポート記事をご覧いただくとして、ここでは世界観の話に絞りたい。

 平野氏の冒頭の発言にある「2017年度」は、Microsoftでは2017年6月期となる。「デジタルトランスフォーメーション元年」と表現したのは、働き方改革の推進や最新技術の活用によるビジネス変革とともに、デジタルトランスフォーメーションが大きく進んだからだという。

 そのうえで、平野氏は今後のデジタルトランスフォーメーションに向けたMicrosoftの世界観について、まず図1を示しながら次のように説明した。

 「Microsoftは、これまでクラウドファーストおよびモビリティファーストを訴求してきたが、ここにきてそれがインテリジェントクラウド、インテリジェントエッジに変わってきている。その中核となる技術がAIであり、マルチデバイス、マルチセンサー、分散協調型コンピューティングだ。この概念で最も重要なのは、全てがシームレスにつながっていることである」

 この概念は、Microsoftのこれからのビジネススキームともいえる。インテリジェントクラウドおよびインテリジェントエッジというと、少々難しく聞こえるが、端的に言えば、AIを駆使したクラウドおよびデバイスである。そのベースとなるのが、クラウドでは「Microsoft Azure」、デバイスではOSの「Windows 10」である。

●全業種にチャンスがあるデジタルトランスフォーメーション

 このインテリジェントクラウドとインテリジェントエッジによって進むデジタルトランスフォーメーションは、ビジネスの観点からすると何をもたらすのか。

 平野氏は図2を示しながら、Microsoftとしては「社員にパワーを与える」「顧客とつながる」「業務を最適化する」「製品やサービスを変革する」といった4つの領域と捉え、それらを実現するてだてとして、自らが得意とする4つのソリューションを提供していくと説明。それが「モダンワークプレース」「ビジネスアプリケーション」「アプリケーション&インフラストラクチャー」「データ&AI」である。

 実は、これまでの話は、平野氏が1カ月前の8月1日に開いた日本マイクロソフトの経営方針会見でも説明した内容を、今回のイベントに向けてデジタルトランスフォーメーションを前面に出す形で整理し直したものだ。経営方針会見の詳細な内容については関連記事をご覧いただくとして、これまでの話を踏まえて、筆者がぜひ取り上げたかったMicrosoftの世界観を最後に紹介したい。

 それは、デジタルトランスフォーメーション市場の見方である。図3に示すように、同社はまず1995年当時の「PC+Windows」市場が1400億円規模としたうえで、2005年当時の「クライアント+サーバ」市場は1兆4400億円(PC+Windowsの10倍)、「モバイル+クラウド」市場は14兆4000億円(同100倍)、そしてデジタルトランスフォーメーション市場は26兆円(同190倍)になると予測している。なお、図の中には明記されていないが、モバイル+クラウドは2015年の実績、デジタルトランスフォーメーションは2020年の予測である。

 実は、この話も平野氏は先の経営方針会見で触れており、図4のようにグローバル市場と合わせて説明していたが、日本市場だけを図3と見比べると、表記上の大きな違いが1つあるのに気付く。インテリジェントクラウド&インテリジェントエッジがデジタルトランスフォーメーションに入れ替わっているのだ。つまり、Microsoftにとってインテリジェントクラウド&インテリジェントエッジは、デジタルトランスフォーメーションへの取り組みそのものなのである。

 この言葉の入れ替えで筆者が感じたのは、ベンダー視点からユーザー視点への転換。細かいところに見えるが、非常に重要なポイントである。この点については率直に評価したい。それもあって、デジタルトランスフォーメーションが改めて有望な潜在市場であることが分かった。平野氏は26兆円についてこう語っている。

 「この数字が見込めるのは、従来のIT予算だけでなく、例えばAIが広範囲に使われるようになって、さまざまな設備投資や事業部予算も対象にビジネスチャンスが広がる可能性があるからだ。従って、当社はこの市場に向けて全力で取り組んでいく」

 大きなビジネスチャンスは何もITベンダーだけでなく、全業種にありそうだ。デジタルトランスフォーメーションの醍醐味はまさにそこにある。

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