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miwa、女優としての才能は? 『君と100回目の恋』主演に見る、歌手ならではの表現力

Real Sound のロゴ Real Sound 2017/02/07 株式会社サイゾー
© Real Sound 提供

 シンガーソングライターのmiwaが初主演を務める映画『君と100回目の恋』。彼女にとっては、松坂桃李と共演した『マエストロ!』以来となる映画出演だ。前作では、天真爛漫な女の子という、自身のパブリックイメージと近い役柄だったが、本作ではバンドのギター兼ボーカルというキャラクター自体はアーティストmiwaと近いものの、ある重大な運命を知りながらも愛する人の幸せを願うウェットな一面を持つ女子大生・日向葵海という難役に挑んだ。 参考:坂口健太郎は「記号」を超える! 『東京タラレバ娘』の“キー”となる演技を考察  歌手活動をメインとしながらも女優業を行うパターンはこれまでも数多くみられる。シンガーソングライターのYUIはシングル「feel my soul」で2005年にメジャーデビューした翌年、映画『タイヨウのうた』で色素性乾皮症を患っている女性ミュージシャン役で女優デビュー。藤原さくらも、2015年にメジャーデビューを果たすと、2016年には、福山雅治主演の月9ドラマ『ラヴソング』でヒロイン佐野さくらに抜擢された。

 また大原櫻子や中島美嘉は、それぞれ映画『カノジョは嘘を愛しすぎてる』、ドラマ『傷だらけのラブソング』で歌手を目指す役柄を演じ、女優デビューと同時に歌手デビューも果たしている。

 彼女たちが演じたキャラクターに共通しているのは、ミュージシャンや“歌”の才能を持つ女性という役柄だ。当然キャスティングする側も、初めて演技をする人間の女優としての力量を見込んでいるのではなく、彼女たちの持つ歌や演奏のリアリティを重視しているのだろう。  本作でmiwaが演じた葵海もバンドのギター兼ボーカルとして曲作りも担当するなど、自身のポテンシャルを十分活かせる役柄であることは間違いなく、シンガーソングライターをキャスティングすることに大きな破たんはない。さらに、物語の前半部分は明るく元気で、天真爛漫な雰囲気を持つヒロインは、miwaのパブリックイメージとの整合性も高い。しかし、ある出来事をきっかけに、作品のトーンは変わり、葵海自身にも光と影が色濃く浮き上がってくる。  正直、この濃淡を繊細に演じているかといえば、そこはNOなのかもしれないが、自身の感情をストレートに“体現”しているという意味では、非常に感情移入しやすい演技だといえる。微妙な心情の変化をしぐさや表情、間によって醸し出し、じわりとキャラクターに感情移入させる演技をする俳優は多いが、miwaの場合、より直線的に喜怒哀楽にたどり着く。シンガーとしての表現方法なのかもしれないが、この作品の葵海という役にはとても合っているように感じられる。  女性ばかりではなく、男性アーティストも俳優業に進出するケースも昨今では目立つ。「flumpool」の山村隆太は今クールの月9『突然ですが、明日結婚します』が俳優デビューであり、映画『君の名は。』の主題歌を担当したRADWIMPSのボーカル・野田洋次郎も映画『トイレのピエタ』でスクリーンデビューを果たしている。星野源や、浜野謙太、ピエール瀧なども、映画やドラマに引っ張りだこだ。ただ、女性と違い男性の場合、アーティストやミュージシャン役で出演するケースが少ないのは面白いところだ。  そして、こうした人たちと共演した俳優たちは「役者とは違う間」に刺激を受けたと語ることが多い。俳優同士ならではの間や呼吸とは違う、いい意味での不協和音が、物語に緊張感を与えることが多々あるという。  miwa演じる葵海も劇中、ある運命に抗えない存在として、他のバンド仲間や友人たちとはやや一線を画した雰囲気が必要とされる役柄。そんなポジションに、miwaの演技ははまっている。さらにライブシーンや弾き語りで魅せる歌唱力や表現力は自身のポテンシャルが存分いかせるシーンとして、キャラクターにさらに輝きを与えている。  miwaは、小栗旬、田中圭、綾野剛、木村文乃ら実力派俳優が顔をそろえる事務所に所属している。現状では、幅広い役柄で……というよりはmiwaのポテンシャルをいかせる設定というキャスティングなのかもしれないが、役柄の感情を体現できる彼女の演技は非常に魅力的だ。4年連続で紅白出場するなど、アーティストとして確固たる地位を確立しているmiwaだが、女優としても今後、どんな展開を見せるか注目していきたい。(磯部正和)

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