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NASのバックアップ先は、外部HDD? それともクラウド?

ITmedia PC USER のロゴ ITmedia PC USER 2017/01/31
NASのバックアップ先は、外部HDD? それともクラウド?: Synology(シノロジー)の「DS216+II」。2台のHDDを内蔵できる、2ベイのNASキットだ © ITmedia NEWS 提供 Synology(シノロジー)の「DS216+II」。2台のHDDを内蔵できる、2ベイのNASキットだ

 テラバイト級の容量を持つNASを使ったデータバックアップの方法として、前回はPCのデータをNASにバックアップする方法を紹介した。もっとも、HDDの容量が足りなくなってきたのをきっかけにNASを購入したのであれば、データをPCではなく直接NASに保存することのほうが多いはずで、「PC→NAS」よりも、「NAS→外部」へのバックアップ体制をきちんと整えておくことのほうがはるかに重要といえる。

 NASから外部にデータをバックアップするためには、まずバックアップ先をどこにするか決める必要がある。選択肢として挙がるのは、まず物理的なHDD、もう一つはDropboxやOneDrive、Googleドライブなどのクラウドストレージだ。

 これらはコスト、耐障害性、速度などでそれぞれメリットとデメリットがあり、ユーザの使い方に合わせてどちらか一方を選択するか、もしくは併用するのがベターだ。

 SynologyのNASはどちらのバックアップ方法についても豊富な機能を備えており、また他社製品と使い比べても、設定ウィザードの分かりやすさはトップクラスの出来栄えなので、バックアップについてはまったく初心者という人であっても、SynologyのNASを手に入れれば、バックアップ・マスターの称号を手に入れられる。

 今回は2つの方法の特徴を詳しく紹介したのち、前回と同じSynologyのNASキット「DS216+II」を用い、具体的な設定方法を紹介しよう。

●「ローカルのHDD」「クラウドストレージ」バックアップ先としての両者の特徴は?

 前述のように、NASをバックアップする場合、そのバックアップ先は「ローカルのHDD」と「クラウドストレージ」の2つに大別される。まずは最初に、両者それぞれのメリットおよびデメリットをざっとチェックしておこう。おおむね特徴は把握できているという中級者の人は、この章をスキップして次の具体的な設定手順の章へと進んでもらって構わない。

 まずコスト面。クラウドストレージの多くは月契約または年契約で、定期的な支払いが発生する。かつてに比べると価格はかなり安くなってはいるが、仮にNAS全体をバックアップするとなると、テラバイト単位で容量を契約しなければならず、クラウドストレージによっては月に何千円、何万円という費用がかかってしまう。それゆえ現実的には、データの一部だけをバックアップするという形を取らざるをえない。

 その点、ローカルのHDDは、NASと同じ容量のドライブを最初に購入しさえすれば、以降の月額費用はかからないことに加えて、ドライブをまるごとバックアップできるため漏れもなく、復元時もデータを探しやすい。ただし、HDDにはそれ自体の寿命があり、仮に2年ごとに買い替えが発生するならば、平均して数千円/年のコストがかかる計算になる。ハードウェアの寿命による買い替えコストはなにかと考慮されないことが多いが、注意しておきたいポイントの1つだ。

 耐障害性についてはどうだろうか。ローカルのHDDは、それ自体の寿命に加えて、火災や落雷などの災害によって、NAS本体もろともデータが消失する可能性があるほか、物理的に盗難に遭う危険性もある。その点、クラウドは遠隔地にバックアップすることから、NAS本体と同じタイミングで壊れる可能性は低く、ドライブの寿命をユーザが考慮する必要もない。もちろん盗難の恐れもない。

 一方、データの転送スピードについては、ローカルのHDDのほうが圧倒的に高速だ。データの復元時も、クラウドからフォルダ単位でごっそりダウンロードするとなると、容量によっては一晩や二晩かかってしまうことも珍しくなく、クラウドストレージのプランによっては速度や転送量に制限がかかる恐れもある。ローカルであればこうした制限は一切なく、数十分、遅くとも数時間あればドライブを元通りにできる。

 ただし、NASが壊れた際、全体の復旧は後回しにして、さしあたって必要なファイルだけをバックアップから取り戻したい場合、他のデバイスからも参照できるクラウドのほうが、機動力という点では勝っている。

 その一方、ローカルのHDDへのバックアップであれば、バージョン管理機能を使って任意の日付の状態に書き戻すことができ、かつ容量もあまり食わずに済むという利点がある。

 以上のように、ローカルとクラウド、どちらのバックアップ方法にも、それぞれメリットとデメリットが存在しているため、現実的には使い分けるのがベターということになる。SynologyのNASは他社製品に比べて利用できるクラウドストレージの選択肢が多く、詳細な設定が可能なことからハウツー記事で言及されるケースが多いが、外部HDDへのバックアップについても保存できる世代を指定できるなど、機能は負けず劣らず充実している。次章以降、具体的な設定方法について紹介していこう。

●外部HDDへのバックアップでは任意の日付の状態に書き戻せる

 それでは、それぞれの設定方法を順次紹介しよう。まずは外部HDDへのバックアップ方法について見ていく。

 SynologyのNASキットに限らず、市販のNASの多くは本体背面にUSBポートを備えており、市販のUSBHDDを接続できる。NASのデータを定期的にこのUSB HDDに定期的にコピーするよう設定しておけば、いざNASが壊れても、データをUSB HDDから復元できるというわけだ。

 USB HDD以外に、同じネットワーク上にある別のNASに対してバックアップを行うこともできる。転送速度がUSBほど速くないため、バックアップが完了するまでの所要時間は長くなるほか、設定手順もやや複雑だが、NAS本体の隣に置かなくてはいけないUSB HDDと違って設置場所の制約もなく、また異なるコンセントに接続しておけば、雷などでの被害も軽減できる可能性がある。新しいNASを購入した際、いらなくなった古いNASをバックアップに回すといった具合に、機材をうまくローテーションさせれば、導入コストも抑えられる。

 さて、SynologyのNASはアプリを組み込むことで機能を自由に拡張できるが、これらUSB HDDへのバックアップ、そしてNASへのバックアップは、いずれも「Hyper Backup」というNASアプリを使用する。初回起動時にはバックアップウィザードが表示されるので、USB HDDにバックアップする場合は「ローカル共有フォルダと外部ストレージ」を、Synologyの別のNASにバックアップする場合は「リモートSynology NAS」を選び、あとはウィザードに従って設定すればよい。

 バックアップ先がUSB HDDの場合と、別のNASの場合とで、設定手順は大きくは変わらない。NASの場合は最初に自動検出が行われたのち、ログインのためにユーザー名とパスワードを入力しなくてはいけないのと、保存先となるNASにあらかじめバックアップ用の共有フォルダを作っておく必要があるのが、USBHDDとの大きな違いだ。

 バックアップの設定では、一時間に1回という短いサイクルから、年一回というかなり長いサイクルまで、どのくらいの頻度でバックアップを実行するかを指定できる。保存するバージョン数も指定できるので、例えばバックアップの頻度を「一日一回」、バージョン数を「30」にすれば、最大30日前までの任意の日付の状態にデータを復元できる。「先週末に削除したファイルを取り戻したい」という場合も、バックアップエクスプローラを使って日付を遡れば、そのファイルを探し当てられるというわけだ。

 またローテーションをオンにしておけば、古いデータから順に削除されていくため、容量を圧迫することもない。一般的に、外部HDDへのバックアップでは本体と等しいか、もしくはそれ以上の容量のディスクを用意することが多いが、予算などの関係で小容量のディスクしか用意できなかった場合も、この機能を駆使すればうまくやりくりすることが可能だ。他社のNASではここまで詳細な設定はできないことがほとんどなので、SynologyのNASを使うのであればぜひ活用したい。

●クラウドストレージへのバックアップは選択肢が豊富

 さて、もう1つの方法である、クラウドストレージへのバックアップ方法について紹介しよう。ローカルのUSB HDDやNASにバックアップする場合は前述のように「Hyper Backup」というNASアプリを使用するが、NAS内のデータをDropboxやOneDrive、Googleドライブといったクラウドストレージにバックアップする場合には「Cloud Sync」というNASアプリを使用する。

 バックアップはフォルダ単位で指定するが、バックアップするファイルの種類および拡張子を指定したり、また逆に特定の拡張子を指定してバックアップの対象から外すこともできる。さらにファイルサイズで条件設定をすることも可能なので、大きすぎるファイルをバックアップの対象から外すといったこともできる。

 他社のNASに比べてSynologyが有利なのは、このクラウドバックアップにおいて、選択できるクラウドストレージの種類が豊富なことだ。例えば、Amazonプライム会員であれば容量無制限で写真データを保存できるクラウドストレージ「Amazonプライムフォト」が利用できるのは、現時点でSynologyのNASだけだ。またDropbox for BusinessやOneDrive for Businessなどビジネス向けのサービスにも対応するのも特徴と言える。詳細は、公式サイトの「Cloud Sync」を参照してほしい。

 前述の「Hyper Backup」では、バックアップのスケジュールは最短でも1時間に1回だったが、この「Cloud Sync」によるクラウドへのバックアップはリアルタイムに行われる。つまり実質的にはバックアップというよりも同期であり、NAS上の対象フォルダにデータを保存すれば、直後にもうクラウドにデータがコピーされ、スマホなどからも参照できるようになる。

 注意したいのは、同期方向の設定だ。例えば同期を「双方向」にしていると、両者が常に同じ内容に保たれるため、クラウドストレージ上でファイルを誤って削除すると、NAS上の同じファイルまで削除されてしまう。クラウドストレージをあくまでバックアップ先として使うのであれば、データの同期方向を「ローカルでの変更のみアップロードします」に設定しておいたほうがよいだろう。

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