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NTT Comがクラウド戦略を転換 その真意は?

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2017/04/17
NTT Comがクラウド戦略を転換 その真意は?: 会見に臨むNTTコミュニケーションズの庄司哲也社長 © ITmedia エンタープライズ 提供 会見に臨むNTTコミュニケーションズの庄司哲也社長

 「企業システムのクラウド化ニーズは高まってきているが、一方で、いったんクラウドに上げてみたものの、オンプレミスに戻すケースも見受けられるようになってきた。どうやらオールクラウド化だけが唯一無二の正解ではなく、オンプレミスとクラウドのハイブリッド利用がこれからの中心になるのではないか」

 NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の庄司哲也社長は、同社が4月11日に開いたサービス事業戦略の記者説明会で、開口一番こう語った。

 なぜ、クラウドからオンプレミスに戻す動きが起きているのか。庄司氏は、「パフォーマンスやコスト面で期待した効果が見込めない」「データベースがクラウド化できない」「まずはオンプレミス環境を効率化する必要がある」といった声を聞いていると説明した。

 さらに、「ハイブリッド利用とともに、マルチクラウド利用のニーズも高まってきている。とりわけ、業務ごとにそれぞれ気に入ったSaaSのサービスを使いたいという要望に応えることが必要になってきている」とも話し、NTT Comは今後、クラウド事業において「ハイブリッド利用」や「マルチクラウド利用」およびそのマネジメントやセキュリティに注力していくことを強調した。

 実は、同社はこうした方向性を以前から明確に打ち出していたわけではない。これまでも要素としては挙げていたが、それよりもグローバルなメガクラウドベンダーとして、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoftといった競合と真っ向から渡り合っていく戦略を一番に挙げていた印象が強い。

 その戦略については、2016年4月18日掲載の本コラム「NTT Comはクラウド市場で“ITジャイアント”に勝てるのか」を、また同社の主力サービスである「Enterprise Cloud」については、2016年3月7日掲載の本コラム「パブリックとプライベートを“いいとこ取り”したクラウド戦略の行方」をご覧いただきたい。

 では、同社はハイブリッド利用やマルチクラウド利用のニーズの高まりにどう対応していくのか。庄司氏は、「高信頼・高品質なインフラストラクチャの追求」と「SDx+Mの強化」の2点を挙げた。

●「メガクラウドベンダー」の旗は降ろした?

 まず、NTT Comにおけるインフラとは、ネットワークとデータセンターの両サービスを指す。庄司氏によると、グローバルで容量8.9Tbpsの通信ケーブルを運用し、196の国と地域でネットワークサービス、18の国と地域でデータセンターサービスを展開。「ネットワークとデータセンターを一元的に設計・提供することにより、信頼性や性能を徹底的に追求している」という。

 また、SDx+Mは同社が3月28日に発表したSoftware Defind関連技術と効率的な運用管理を組み合わせたソリューションで、ハイブリッド利用やマルチクラウド利用の中核を成す技術である。同社は早くからSDN(Software Defind Network)に注力してきたが、この技術はそれを進化させたものといえる。

 庄司氏はそのうえで図を示し、「当社では現在、ハイブリッド利用やマルチクラウド利用に対応したクラウドサービスとして、AWS、MicrosoftのAzureおよびOffice 365、box、Saleforce.comの5つと接続できるようにしている。間もなくOracleのサービスとも接続可能となる。今後もこうした形で利用できるサービスを増やし、お客さまのニーズに応えていきたい」という。

 この図が、NTT Comのクラウド事業戦略の転換を象徴的に表しているのではないだろうか。つまり、競合と真っ向からぶつかるのではなく、通信会社らしく「つなぐ」ことを前面に押し出した形だ。

 それを確かめるべく、会見の質疑応答で、「グローバルなメガクラウドベンダーとして、さらに存在感を増していくためには、何が最大のポイントになると考えるか」と聞いてみた。すると、庄司氏はこう答えた。

 「当社がメガクラウドベンダーかどうかは横に置いて、これまで説明してきたように、お客さまはこれからハイブリッド利用およびマルチクラウド利用が中心になるという前提で戦略を推進している。ハイブリッド利用およびマルチクラウド利用においては、ネットワークインフラからその上に乗る全てのソリューションを柔軟かつ最適に組み合わせて提供できるという当社の強みを大いに生かすことができると確信している」(庄司氏)

 まずは「グローバルなメガクラウドベンダー」という言葉への反応に注目したが、横に置かれてしまった。この認識については、読者の皆さんの推測に委ねる。その後に続いた回答は予想通りといったところか。

 同社にとっては、ユーザーの声を聞いたうえでの戦略転換である。注目されるのは、とりわけEnterprise Cloudがオンプレミスからクラウドへ移行する際の受け皿として、多くの企業に利用されるかどうかだ。そのためにはシステムインテグレーターなどとの密接な協業も必要になってくるだろう。一方で、通信会社らしい「つながるサービス」も時代の要請のような気がする。さて、今後の同社の存在感は一層増す形になるか。注目しておきたい。

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