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Salesforce.comの成長を支える“2つの強み”

ITmedia エンタープライズ のロゴ ITmedia エンタープライズ 2016/12/19
Salesforce.comの成長を支える“2つの強み”: 米Salesforce.comのアダム・ブリッツァー エグゼクティブバイスプレジデント&Sales Cloud担当ゼネラルマネージャーとセールスフォース・ドットコムの小出伸一会長兼社長 © ITmedia エンタープライズ 提供 米Salesforce.comのアダム・ブリッツァー エグゼクティブバイスプレジデント&Sales Cloud担当ゼネラルマネージャーとセールスフォース・ドットコムの小出伸一会長兼社長

 「創業以来17年、Salesforce.comがここまで成長できたのも皆さまのおかげ。深くお礼申し上げたい」―― 米Salesforce.comの日本法人であるセールスフォース・ドットコムの小出伸一会長兼社長は12月13日、同社が都内ホテルで開いた顧客およびパートナー企業向けのイベント「Salesforce World Tour Tokyo 2016」の基調講演で、まずこう語った。

 小出氏が言うように、Salesforce.comの成長ぶりは目を見張るものがある。同社が先頃公表した売上高の見通しでは、2017年度(2017年1月期)に83億ドルを超え、2018年度(2018年1月期)には100億ドル超が確実になった。ここ数年は毎年、売上高を10億ドル以上積み上げてきている。

 同社のマーク・ベニオフCEOはこの見通しを公表した際、「このままで行けば、他のどのソフトウェアベンダーよりも早いペースで売上高200億ドルを達成できる」と述べている。この点については、小出氏が基調講演で「われわれは今やソフトウェアベンダーとして世界第4位の売り上げ規模になった」と語っており、ベニオフ氏の発言は上位3社のMicrosoft、Oracle、SAPを追撃する姿勢を打ち出したものといえる。

 では、Salesforce.comが成長し続けている理由の核心はどこにあるのか。筆者なりに基調講演から次の3つの発言を取り上げたい。

 まず1つ目は、小出氏に続いてスピーチしたSalesforce.comのアダム・ブリッツァー エグゼクティブバイスプレジデント&Sales Cloud担当ゼネラルマネージャーの次の発言である。

 「創業以来、テクノロジーはクラウドからソーシャル、モバイル、IoT(Internet of Things)へと広がってきた。そうした中で、当社はCRM(顧客情報管理)を基にこれらのテクノロジーにもいち早く対応し、お客さまに一番近いところでデジタルトランスフォーメーションを支えてきた。そして今、AI(人工知能)の活用とともにカスタマーエクスペリエンス(顧客体験)を一層高めようという動きが注目されている。これこそ、お客さまとともにデジタルトランスフォーメーションを進めてきた当社が最もお役に立てるところだ」

 「Salesforce Customer Success Platform」―― これが今、Salesforce.comが最新のAIプラットフォーム「Einstein」を組み入れて整備したサービス体系の総称である。ブリッツァー氏のコメントは、このサービス体系の説明と言ってもいい。「Customer Success」とストレートに表現するところが同社らしいといえる。

●Salesforceは「顧客とのラストワンマイルを埋めるツール」

 2つ目と3つ目は、いずれもSalesforce.comのサービスの活用事例として紹介されたソニーマーケティングと日立製作所の経営トップの発言である。

 まず、ソニーマーケティングではコンシューマー向け商品のマーケティングやサポートサービスなどにSalesforce.comのサービスを活用している。基調講演では同社の河野弘社長が登壇し、マーケティングの事例を紹介する中で次のように語った。

 「当社が展開しているカスタマーマーケティングでは、お客さまが商品を購入される前から購入された後にわたってトータルの“カスタマージャーニー”をデザインし、その中でお客さまの状況を踏まえてタイミングよくコミュニケーションを取りながら満足度を高めていくことが重要だ。Salesforce.comのサービスを採用したのは、その設計思想が私たちのマーケティングの考え方と合致していたからだ」

 河野氏の話で筆者が注目したのは、Salesforce.comのサービスが顧客満足度向上のプロセスを担っていることである。

 また、日立製作所では自社のIoTソリューションとSalesforce.comのサービスを連携させることで、顧客のビジネスイノベーションにつなげようとしている。基調講演では同社の小島啓二執行役常務が登壇するとともに、東原敏昭社長もビデオでメッセージを寄せた。両氏はSalesforce.comと日立の関係について次のように語った。

 「Salesforce.comと日立が組めば、B to CにおいてもB to Bにおいてもお客さまのニーズに対応したビジネスモデルを実現して行けるのではないかと期待している。データとデータ、人と人、ビジネスとビジネスをつないで新たな価値を創出し、最終的に人々のクオリティオブライフを向上させていきたいというのが日立の目指す方向だ。そうした中で、Salesforce.comは日立にとってお客さまとの“ラストワンマイル”を埋めてくれる非常に強力なパートナーだと考えている」

 東原氏および小島氏の話で筆者が印象深かったのは、Salesforce.comのサービスが顧客とのラストワンマイルを埋めるツールであるということだ。

 すなわち、「顧客満足度向上のプロセスを担っていること」、そして「顧客とのラストワンマイルを埋めるツールであること」が、Salesforce.comが成長し続ける理由の核心ではないか。

 今後、デジタルトランスフォーメーションがさらに進展していく中で、こうした核心はさらに重要性を増してくるだろう。当然ながら、競合他社も注力してくる中で、Salesforce.comは引き続き勢いを維持していけるか。注目しておきたい。

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