古いバージョンのブラウザーを使用しています。MSN を最適にご利用いただくために、サポートされているバージョンをご使用ください。

Windows 10の次期アップデート、Fall Creators Updateでの重大な進化点とは?

ザテレビジョン のロゴ ザテレビジョン 2017/07/02
Windows 10の次期アップデート、Fall Creators Updateでの重大な進化点とは? © KADOKAWA CORPORATION 提供 Windows 10の次期アップデート、Fall Creators Updateでの重大な進化点とは?

Fall Creators Updateの目玉機能と言えるWindows Timelineは、現在のタスクビューに統合され、過去に起動したアプリやウェブサイトなどが履歴として表示される Fall Creators Updateの目玉機能と言えるWindows Timelineは、現在のタスクビューに統合され、過去に起動したアプリやウェブサイトなどが履歴として表示される 2017年では2度目となるWindows 10の大型アップデート  「Fall Creators Update」は、年内に提供が予定されるWindows 10の次期アップデートだ。コードネームがRed Stone 3(RS3)となっていることからもわかるように、2016年提供のWindows 10 Ver.1607から始まる一連のアップデートの第3弾となる。  Windows 10以前のマイクロソフトは、3年程度の期間でメジャーアップデートを提供するというサイクルでWindowsを更新してきたが、Windows 10からは、「年2回程度のアップデート」で段階的に更新していく方針に変更した。  このことから考えると、Red Stoneシリーズは、Windows 10の次となる、いわば「Windows 11」を提供するための一連のアップデートと見ることもできる。また、これまでメジャーバージョンアップを提供するのにかかっていた3年という期間を考えれば、RSシリーズは、2016年に始まり、2018年あたりには収束すると考えられる。すでにRS4というキーワードも聞こえてくるが、来年にはRSシリーズは一区切り付けることになると考えている。  RS1はペン対応など大きな動きがあったが、RS2では、Hololens以外に具体的な一般向け製品がないMRへの対応や、それに関連する3D機能が中心で、さほど大きな変更ではない印象だった。もっとも、内部的な改良は確認することが難しい。たとえば、カーネル内の機能の実行効率が向上したとか、新しいカーネルAPIが追加されたなどという部分は、ユーザーにも開発者にも見えにくい(Windowsは、カーネル機能をAPIとして公開しているわけではない)。  マーケティングの視点からは、アップデートには何かユーザーが体験できる「機能」が必要となるが、多くの場合、それは付属アプリケーションやユーザーインターフェースなどであり、OSという観点からは本質的な改良点ではないことが少なくない。Creator Updateについても、やはりOSという観点では大きな変更点はなかったと言える。  一方で、RS3の改良点に関しては、5月のBuild 2017というイベントで発表があり、そこでは ・Fluent Design System・Windows Timeline・Pick Up Where You left off(中断したところから開始)・OneDrive On Demand・Cloud Powered Clipboard・Windows Story Remix・著名デスクトップアプリがWindowsストアから入手可に(iTunesなど) が挙げられている。しかし、この中での重要な改良点は、実は「Windows Timeline」と「Fluent Design」だけだ。また「Pick Up Where You left off」「OneDrive On Demand」「Cloud Powered Clipboard」は、Windows Timelineに関連して導入される機能追加で、いわば一体の改良として見ることができる。 RS3の重要な機能強化と言えるTimelineとは作業の履歴をクラウドに保存し、他のマシンで再開可に  では、そのWindows Timelineとは何なのだろうか? これは過去に行なった処理(アプリケーションと対象データファイルやURLなど)を記録し、現在のウィンドウ(起動中のアプリケーション)を管理するタスクビュー内に表示する機能と言える。  イメージ的には、タスクビューに表示されているアプリは、終了したあとも履歴として残っていくような感じになる。もちろん、履歴から作業を再開させることも可能だという。  たとえば、昨日見ていて途中で中断したウェブサイトやストリーミングビデオの続きを見るといったことが可能になる。さらに、ユーザーが利用しているAndroidやiOSデバイスにCortanaがインストールしてあれば、作業の続きをスマートフォン側でできるようになるようだ。外出前に見ていたビデオの続きを、外出中にスマートフォンで見たり、会社のPCで作業していた文書の編集作業を、帰宅して自宅のPCで続けることも可能になる。  単に過去に起動したアプリの履歴だけを記憶するなら、当たり前ともいえる機能だが、このTimelineは、履歴をクラウド側で管理しているのが特徴だ。 他のPCを起動すると、Cortanaが前のPCでの作業の続きをするかどうかを聞いてくる 他のPCを起動すると、Cortanaが前のPCでの作業の続きをするかどうかを聞いてくる  このようなあるPCでの作業を他のPCで引き継ぐことをマイクロソフトは、「Pick Up Where You left off」と呼んでいる。 Androidでも同様に、他のPCでの作業を続けるかどうかをCortanaが聞いてくる Androidでも同様に、他のPCでの作業を続けるかどうかをCortanaが聞いてくる  ただし、他の機器で作業を再開する場合、ウェブブラウザーであれば、対象はインターネット側にあるページなので、同時に開くことは可能だが、通常のWindowsアプリケーションの場合は、ファイルが対象となることがほとんどだ。そのためには、元のPCで開いていたファイルにアクセス可能でなければならない。  たとえば、ファイルがOneDrive上に存在していて、他の機器からもアクセス可能になっている必要がある。Officeアプリケーションでは、ローカルファイルであっても、保存時にOneDrive側にも保存する機能がある。このため、WordやExcelなどでは、なにも考えることなく、他のPCで作業を再開できる。また、Officeのアプリケーションは、複数のマシンからOneDrive上の同一ファイルを開き、それぞれから編集が行える機能がある。  しかし、一般的なアプリでは複数のマシンから同一のファイルを編集使用とした場合、保存をしない限り、ファイルは更新されない。このため、対象ファイルはOneDriveなどのクラウドファイル共有サービスを使う必要がある。マイクロソフトがGoogle Driveなどの他社のサービスに対応するかどうかは不明だが、少なくともOneDrive上のファイルに関しては、Timelineは対応するだろう。  つまり、作業を再開する他のデバイスでは、OneDrive上の任意のファイルが見えている必要がある。そのために導入されるのが「OneDrive On Demand」だ。つまり、この機能もTimelineに必要な機能なのである。  Timelineの機能は異なるPC間の移動だけでなく、同時に複数の機器を使って作業をすることも可能にする。そこで用意されているのが「Cloud Powered Clipboard」だ。これを使うことで、異なる機器間でのコピー&ペーストが可能になる。  Windows Timelineのベースになる機能がMicrosoft Graphと呼ばれるクラウドAPIだ。これは、Outlook.comやOneDriveなど、マイクロソフトのクラウドにあるさまざまな情報に対して、それらの関係(これをグラフという)を記憶して処理するデータベースである。Windows Timelineは、ここにユーザーが利用しているデバイス(Windows 10マシンや、CortanaをインストールしたAndroid、iOSデバイス)や、さらにOfficeやEdgeなどのWindows Timelineに対応可能なソフトウェアからの情報(たとえば編集中のファイルなど)を記録して、作業を復元するものと思われる。 Fluent Design Systemでデザインシステムを一新Android/iOSとのアプリ共通化を目指していく  Windows 10は、Windows 8.1 Update時点のモダンスタイルをベースにUWPのデザインスタイルを定義した。つまり、Windows 10は固有のデザインスタイルを持っていなかったわけだ。  これまでのWindowsのメジャーアップデートでは、新しいデザインシステムの導入が行なわれることが多かった。たとえば、Windows Vistaでは、Aeroと呼ばれる新しいスタイルが導入され、さらに改良されてWindows 7に引き継がれた。Windows 8ではMetroが導入され、8.1や8.1 Updateでも改良が進み、Windows 10に引き継がれた。  そして、「Windows 11」に向けて、このタイミングでデザインスタイルが更新される。それがFluent Design Systemと呼ばれるものだ。3年周期で行われていたWindowsのアップデートでは、いきなりデザインシステムが変わったが、Windows 10では段階的にアップデートされていくため、まずは、システム側の対応をRS3から開始する。  現在提供中のWindows Insider Preview Build 16226では、スタートメニューとアクションセンターがFluent Designになっているという(アクションセンターのほうが違いがわかりやすい)。ただし、リリース時の情報によれば、透過性の表示に問題があり、アクションセンターが透過表示されない不具合があるらしい。 現在配布されているWindows Insider Preview Build 16226では、アクションセンターのデザインがFluent Design Systemを使うものに変更になっているという 現在配布されているWindows Insider Preview Build 16226では、アクションセンターのデザインがFluent Design Systemを使うものに変更になっているという  RSシリーズがWindows 10の次となるメジャーアップデートを目指すという点から、デザインシステムの変更は自然なものではあるが、このデザインシステムの変更には、もう1つの目標がある。  デザインシステムは、アプリケーションの見た目を作るために、GUI部品とそれをレイアウトするシステムやウィンドウを提供する。また、Windows 8のストアアプリが、横スクロールするアプリのスタイルが標準になったように、デザインシステムは、ユーザーインターフェースの構造も定義する。  つまりFluent Design Systemの導入は、UWPの標準的なスタイルを変更するものなのである。もちろん互換性があるために、Fluent Design導入以前に作られたアプリも、そのままのスタイルで実行できるが、今後はFluent Designに準拠したアプリを作ることが求められるわけだ。  ここで、マイクロソフトが開発者にユーザーインターフェース変更を要請するには、マイクロソフトが進めているUWPアプリのマルチプラットフォーム化に関係がある。RS3を発表した今年5月のイベントでは、同時に「XAML Standard」が発表された。これは、マルチプラットフォームで利用可能なXAMLを定義するものだ。XAMLとは、Windowsでユーザーインターフェース部分を記述する「言語」だ。たとえば、ボタンを押したときにへこんだり光ったりする効果はXAMLで記述する。  これまで、UWPアプリは、マイクロソフトが買収したXAMARINフレームワークを使い、コアロジックの部分は、UWP(もちんろWindows10 Mobileを含む)、Android、iOSで共通化できたが、ユーザーインターフェース部分に関しては、それぞれのプラットフォームのやり方で開発する必要があった。  しかし、XAMLスタンダードでユーザーインターフェースを記述すれば、それをWindowsでも、AndroidでもiOSでも動かすことが可能になる。 XAML Standardを使うと、Windows UWP(画面左)、Android、iOS、Windows 10 Mobileのユーザーインターフェースをまとめて記述することが可能になるという XAML Standardを使うと、Windows UWP(画面左)、Android、iOS、Windows 10 Mobileのユーザーインターフェースをまとめて記述することが可能になるという  すでにマイクロソフトは、マルチプラットフォームの.NET実行環境である.NET Coreや、マルチプラットフォーム共通ライブラリとなる.NET Standardを発表している。このXAML Standardの登場により、ほぼ同一のソースコードをマルチプラットフォームで動作させることが可能になるわけだ。Fluent Designにアプリを対応させることは、XAML Standardを使うことにほかならず、これにより、開発者がアプリをマルチプラットフォーム化しやすくなる。  モバイル向けのアプリは、現在では2つ以上のプラットフォームに対応させることが普通になってきた。というのは、1つのプラットフォームだけでは、収益が足りず、開発投資を回収しにくくなってきたからだ。  マイクロソフトは、こうしたモバイルアプリ開発者をターゲットにWindowsをメインの開発環境にすることを狙う。実際、Androidアプリケーションの多くはWindowsで開発されている。また、iOSアプリの純正の開発環境はMac上にあるが、マイクロソフトは、Windowsでの開発を可能にした。iOSアプリの開発者にとっても、マルチプラットフォーム対応を行うのであれば、Windowsの利用は不可欠であり、もし、iOSもAndroidも開発が可能なのであれば、開発環境をWindowsに移行する開発者も出てくるだろう。  このとき、Windows用アプリもほとんど手間なく開発できるのだとすれば、Windowsストアでの販売を考える開発者もいるだろう。  マイクロソフトは、こうした開発者取り込みのための活動を「Windows is Your Home for Development」(Windowsは開発者の家)と呼び、Windows 10が目指すゴールの1つに設定している。 Windows Subsystem for Linuxをさらに強化し、Linuxを用いる開発者の取り込みも進める  マイクロソフトが呼び寄せようとしている開発者は、AndroidやiOSといったモバイルデバイス向けアプリの開発者だけでなく、Linuxを利用する開発者も狙う。Linuxでもモバイルデバイスや各種Linuxサーバーなどの開発ができるからだ。そのためのツールが「Windows Subsystem for Linux」(WSL)だ。つまり、Windowsの中でLinuxそのものを動作させ、開発者を呼び込もうというわけだ。  もっとも現在のWSLには、不十分な点もある。そこでRS3では、Ubuntu以外のLinuxディストリビューションにも対応し、WSLにインストールできるLinuxディストリビューションをWindowsストアから入手可能にした(従来もダウンロード先はWindowsストアだったが、lxrunという専用アプリ経由でしかインストールできなかった)。  対応したのはFedoraとSUSEという2つのディストリビューションだ。WSLは、LinuxディストリビューションのうちINITと呼ばれるプログラムを差し替え、一部の構成を変更するだけで動作できる。RSシリーズが完成する頃には対応ディストリビューションもさらに増えると予想される。  また、現在のWSLは、Linuxカーネルの一部の機能しか実現していないため、利用できないLinuxアプリケーションがあった。RS3ではLinuxカーネル機能が強化され、さらに多くのアプリケーションが動作することになると思われる。おそらく、最終的に目標とするのは、Linux用のDockerコンテナーファイルをそのままWindowsで実行可能にすることだろう。RS3では、OpenCLへの対応が予定されており、Googleのディープラーニング開発フレームワークであるTensorFlowをWSLで動作させたときにGPUによる演算を行わせることが可能になるという。 RS3で予定されているWindows Subsystem for Linuxの改良点。OpenCLやUSBメモリへの直接アクセスがサポートされる RS3で予定されているWindows Subsystem for Linuxの改良点。OpenCLやUSBメモリへの直接アクセスがサポートされる  RS3に入る機能などは、実はWindows Vistaで2000年台前半に実現される予定の技術だった。しかし、当時はインターネットはあったものの、クラウドという概念もなく、スマートフォンも普及していなかった。次回はこのあたりについてさらに掘り下げていきたい。

Windows 10の次期アップデート、Fall Creators Updateでの重大な進化点とは?

Windows 10の次期アップデート、Fall Creators Updateでの重大な進化点とは?
© KADOKAWA CORPORATION 提供

ザテレビジョンの関連リンク

ザテレビジョン
ザテレビジョン
image beaconimage beaconimage beacon