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大躍進の枝野立憲民主党「比例で候補者不足がおきる」という噂はデマ?

AERA dot. のロゴ AERA dot. 2017/10/20 西岡千史

 大型で強い勢力の台風22号が、10月22日の総選挙投開票日に向けて日本列島に近づいている。一方、選挙戦では立憲民主の枝野幸男代表が各地で旋風を巻き起こしている。

 とにかく人、人、人だ。19日夜に東京都千代田区のJR秋葉原駅前で開かれた街頭演説会では、肌寒い気温で雨も降るなか、3千人の聴衆が集まった。

 秋葉原といえば、安倍晋三首相が重要な選挙の最終日にいつも演説会を開く場所で「自民党の聖地」とも呼ばれている。今年7月の東京都議選最終日でも安倍氏が演説。「安倍ヤメロ」コールに「こんな人たちに負けるわけにはいかない!」と絶叫したことでも話題となった。ただ、その時に集まった聴衆は2千人(主催者発表)。19日夜の立憲民主の演説会では枝野コールも繰り返され、安倍氏のお株を奪う「枝野フィーバー」だった。

 出張を予定より早く切り上げて参加したという、千葉県市川市在住の男性会社員(40代)は言う。

「ようやく日本に自分たちのための政党が生まれた。立憲民主党は国民に政治参加を呼びかけていますから、選挙の応援ぐらいは行かなければと思った」

 この男性は、枝野氏の演説を生で聴いたのは2回目。今回は、後で聴き直すために演説の内容を携帯電話で録音したという。

 なぜ、枝野氏にここまで期待が集まるのか。そこには、枝野氏が演説で話す3つのキーワードがある。

 一つ目は「下から」。15年9月に成立した安保法制をはじめ、強行採決を繰り返した安倍政権を「上からの民主主義」と批判する。それに対して枝野氏は「下から、草の根の民主主義を取り戻す」と呼びかける。

 二つ目が「前へ」。選挙前には小池百合子東京都知事率いる希望の党が「保守二大政党制」を目指してリベラル派を排除した。これを意識して「今はイデオロギーの時代ではない」と訴える。そこで生まれたフレーズが「右でも左でもなく、前へ」だ。

 そしてスピーチの最後で触れるのが「あなた」だ。この日の演説でも、新党結成を悩んでいる時、多くの人から「枝野立て!」と声をかけられたことを紹介して、こう語った。

「立憲民主党をつくったのは、枝野幸男ではありません。私の背中を押した“あなた”の政党、それが立憲民主党です」

 投票日が近づくにつれ、立憲民主の勢いは増している。各メディアの情勢調査などによると、北海道、北陸信越、東海、四国ブロックでは比例単独候補も含めて全員当選の可能性も出てきた。

 枝野氏にすれば“うれしい誤算”だろう。ところが、これが思わぬ事態を招いた。

 ツイッターなどのSNSでは、立憲民主が当選者数を増やすとの報道を受け、「立憲民主党は比例候補を少ししか出していないので、ほとんどが死に票になってしまいます」といった投稿が広まった。なかには、特定の政党への投票を呼びかけるものもある。

東京・JR秋葉原駅前演説をする枝野幸男・立憲民主党代表(撮影/西岡千史) © dot. 東京・JR秋葉原駅前演説をする枝野幸男・立憲民主党代表(撮影/西岡千史)

 公職選挙法では、比例で候補者不足となった場合、与野党に関係なく次の順位の政党に配分される。2009年の政権交代選挙では、民主党(当時)が小選挙区で大量当選し、近畿ブロックで2名不足した。05年の郵政選挙でも、比例東京ブロックで自民党の候補者が1名不足し、社民党に議席が渡った。ツイッターでの呼びかけはこういった過去の事例をふまえてのことだ。

 だが、各メディアの情勢調査では、立憲民主で候補者不足がおこることが確実な選挙区はない。

 先述した全員当選の可能性がある北陸信越、東海、四国ブロックでも、現在の比例予測議席の最大数を確保し、さらに1~2議席上積みしなければ候補者不足はおこらない。北海道では6つの小選挙区ですべて勝利すれば可能性があるが、与党候補者に劣勢の選挙区も複数あり、全勝は容易ではない。

 小選挙区との重複立候補者が多い北関東、東京、南関東をはじめ、その他のブロックでも候補者不足となる可能性は低い。

 候補者不足については、立憲民主の公式ツイッターも問い合わせが多数あったことを認め、「立憲民主党は出来たばかりの小さな政党です。全員が当選できるかわからない瀬戸際で頑張っています。(中略)大切な一票はぜひ、ご自身が応援する党に入れてください」と呼びかけた。

 急ごしらえの新党でありながら、候補者不足の話が出るほどの大躍進を続ける立憲民主。終盤の情勢調査によると、野党第一党になる可能性も出てきたという。22日は“何か”が起きるかもしれない。(AERA dot.編集部・西岡千史)

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