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小池代表「慢心発言」はなぜ飛び出した?野党再編劇の舞台裏

ダイヤモンド・オンライン のロゴ ダイヤモンド・オンライン 2017/10/16 清談社
小池代表「慢心発言」はなぜ飛び出した?野党再編劇の舞台裏: Photo:日刊現代/アフロ © diamond Photo:日刊現代/アフロ

10月22日に行われる衆議院選挙を目前にして、突如決まった民進党の希望の党への合流。発表直後は、安倍政権を打倒するための乾坤一擲の“奇策”として、非常に注目を集めた。だがその後、両党による候補者の調整作業が進められる中、小池百合子東京都知事のリベラル派議員に対する「排除」発言や、「憲法改正」「安保法制への賛成」を踏み絵とする誓約書の存在が明らかになり、希望の党への期待感は急速にしぼんでしまった。その一方、枝野幸男元官房長官が「排除」されたリベラル派議員たちと結成した立憲民主党は、いまや注目を一気に集め、選挙戦の「台風の目」となっている。永田町を震撼させた今回の野党再編劇の舞台裏について、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏に聞いた。(取材・文/清談社)

排除発言でしぼんだ希望の党への期待

 合流構想や公認候補の扱いについては、希望の党の小池百合子代表と、民進党の前原誠司代表の二人だけで話し合いを進めていた。そして合流が明らかになると、小池氏は「(民進党を)まるごと受け入れるなどさらさらない」「排除します」などと上から目線の発言を連発。この発言は、元々、前原氏の提案した合流構想に懐疑的だった民進党の議員たちを怒らせてしまい、希望の党に対する国民の期待感もしぼんでしまった。

「排除」発言は、小池都知事に対する有権者の期待までも損ねてしまった。権力者に対して立ち向かう「チャレンジャー」がウリのはずなのに、「排除いたします」と冷たく言い放つその姿は、権力者としての振る舞いそのものだったからだ。結果的に、マスコミ各社の世論調査でも、希望の党の支持率は伸び悩み、自民党との差を縮められないでいる。

 ではなぜ、マスコミ対策にたけている百戦錬磨のはずの小池氏が、カメラの前で不用意な「排除」発言をしてしまったのだろうか。政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が解説する。

「誰も想像しなかった合流構想が具体化して、政権交代すら可能な状況になり、小池氏の念願だった総理になる道が見えてきた。そのため、ある種の高揚感があったのではないかと解説する小池さんの周辺がいます。政治家は絶好調な時ほど、つい慢心し、言い過ぎてしまう。合流劇で主導権を握るために故意犯的に言ったという見方もありますが、そもそも民進党側から擦り寄ってきた話なので、その時点で主導権は握っている。わざわざあんな発言を表立って必要以上に言うこともないのですから」

小池氏のトーンダウンの裏に細川護煕元首相の影

 確かに故意犯ならば、最後まで発言を変える必要はない。だが小池氏は、その後発言をトーンダウンさせている。

 10月1日には公認作業の進展について、「政治生命に関わることだから慎重に」と発言。10月5日には、前原氏との会談後に「この際、寛容な心で仲間を受け入れて、ともに戦っていきたいということを確認しました」とまで語っている。

「実は、真偽の程は分かりませんが、小池氏の後見人である細川護煕元首相が、『排除』発言に激怒し、小池氏を叱ったのではないかという話が、別の周辺から出ています。細川元総理は、自民党政権を倒すためには幅広い勢力で結集しないと勝てないという現実的な考えの持ち主でした。小池さんが発言を修正したのはメディアからの批判だけでなく、細川元総理の一喝の影響があったのではないかというのです」(鈴木氏)

 リベラル派議員の排除が行われたことにより、希望の党、立憲民主党、無所属と民進党出身の議員たちは三つに分かれ、民進党の支持団体である連合も、政党としての支援はせず個別に民進党出身議員を応援するなどの対応を迫られた。合流を主導した当事者の一方である前原氏にはどのような思惑があったのか。

「実は、前原氏はこの2年ほど、同じく再編論者でオリーブの木構想など野党連携を説いてきた自由党の小沢一郎代表と密接に連絡を取り、野党再編について話し合っていました。2人は今回の総選挙でも、希望の党との連携も含めて相談。ところが、詰めの小池・前原会談の段階になると、前原氏から小沢氏へ連絡がなくなったと言います。小池氏周辺によれば、小沢氏が関わることを小池氏が嫌がったのではないかという。その結果、2人だけで話を進める形になり、過信が起きてしまった。前原さんも自分がまとめるのだという、いわば視野狭窄に陥っていたということでしょう」(同)

 その上で、鈴木氏は「本来なら、それぞれの側近議員を参加させたり、小沢氏を入れたりするなど“俯瞰の眼”が必要だった。協議段階から政策に多少の違いがあっても、大きなかたまりを作ることを前提にする、したたかな視点が必要だったのではないでしょうか。結果的に野党が乱立する形の選挙区が増え、自公の候補者が優位に選挙戦を進めています」と指摘する。

総選挙後に政界再編が起きる可能性も

 希望の党が改憲や安保で保守色を強める一方、自民党との対立軸を明確にした立憲民主党はリベラル層から一定の支持を受け始めた。野党を迎え撃つ自民党サイドは、今回の選挙をどのように見ているのか。

「当初ほど勢いのない希望の党ですが、それでも自民党サイドは一定のブームを起こすのでは、と警戒しています。マスコミの世論調査でも、比例投票先は自民党が1位ですが、内閣支持率は不支持の方が高い。このことは自民党政権には『イエス』でも、安倍首相に対しては『ノー』という有権者が多いことを意味しています。『モリ(森友)・カケ(加計)問題』への不信感はいまだに根強い。何かきっかけがあれば、有権者の不満のマグマが噴き出し、接戦の小選挙区では自民党が議席を減らすこともあるかもしれません」(同)

 総選挙後、各党の獲得議席次第では、政変が起きる可能性もある。

「自民党が議席を減らせば、党内政局になり安倍首相降ろしなどに火がつくことになります。一方、野党が躍進できなければ、民進党の再結集などが起きて野党再々編が起きるでしょう。総選挙後に、流動化する可能性が大きい」(同)

 いずれにしても、民進党と希望の党の合流は政界再編の第一幕に過ぎず、総選挙の結果次第で本格的な再編が起きそうである。

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