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原監督が3度目の就任初戦で見せた巨人再建への“2つの道”とは?

Number Web のロゴ Number Web 2018/11/09 17:00 鷲田康
「GIANTS」の文字が刻まれたユニフォームに再び袖を通した原監督。2度目の復帰でどんな采配を見せてくれるか。 © photograph by Getty Images 「GIANTS」の文字が刻まれたユニフォームに再び袖を通した原監督。2度目の復帰でどんな采配を見せてくれるか。

 巨人の原辰徳監督には2つの道がある。

 1つは勝つための道。

 そのために10月23日の監督就任以来、激しく動いてチームの補強を進めているのは、すでにスポーツ紙等でも大きく報道されている。

 フリーエージェントで広島・丸佳浩外野手と西武・炭谷銀仁朗捕手の獲得に動き、オリックスを自由契約となった中島宏之内野手の入団もほぼ確実だろう。さらにケーシー・マギー内野手に替わる助っ人打者とクローザーを任せられる外国人投手の獲得調査も進められている。

「巨人軍の監督のファーストミッションは勝つこと。それが宿命」

 前回の監督時代にも常日頃から勝利への道をひたすら歩み続けてきた。

 3度目の就任を果たした今回も、もちろんそれが原辰徳の王道であることに変わりはないのだ。

若手の力を発揮させる初采配。

 ただ、その一方でもう1本の道もしっかりある。

 それはチーム作りという道である。

 そのことを示したのが11月8日に行われたMLB選抜とのエキシビションマッチだった。

 3年ぶりの東京ドーム。初心に返るという意味で選んだ背番号は2002年から2年間の第1次政権時代につけていた「83番」。試合前のセレモニーでその背番号をつけたユニフォーム姿をお披露目すると、スタンドからは「タツノリコール」が湧き上がってファンも歓迎した。

「選手たちが持っている能力というものを、自信を持ってプレーする。チームの中で一番実行しているのが松原です」

 試合後の会見で原監督がこう語ったように、復帰初采配は若手に存分の力を発揮させる戦いだった。その中で最もアピールしたのが松原聖弥外野手だった。

松原のランニング本塁打。

「宮崎(秋季キャンプ)で観て、監督がどうしても使ってみたいと言っていた選手。期待に応えた働きをしてくれたよ」

 吉村禎章打撃総合コーチが明かしたように、育成から今年の7月に支配下契約にこぎつけた2年目の若手が躍動した。

 4回1死二、三塁。第1打席で3球三振に倒れた和田恋外野手に代わって代打で起用されると、その初球だ。

 クリーブランド・インディアンスの右腕、ダン・オテロ投手の143キロのストレートをはじき返した打球が左中間を抜ける。すると松原が一気にダイヤモンドを駆け抜けてホームまで生還してランニングホームランにしてしまったのだ。

 そして6回に回ってきた2度目の打席では一塁内野安打で出塁すると、次打者の2球目にすかさず二盗。これが捕手の悪送球を誘って三塁まで進んだ。

元木コーチが称えた積極性。

「ホームランよりそのあとの盗塁に価値があったと思うよ。いきなりいけたということは、しっかり準備ができていたということ。ベンチにいるときから投手のピッチングや牽制の間合いをしっかり測って、そういう準備ができていたから走れた。そこが大事だと思う」

 元木大介打撃兼内野守備コーチがこう絶賛すると、松原もその積極性を自分の持ち味とアピールする。

「入団したときからプロ初打席は楽しもうと決めていた。それが良い結果になって良かった。僕の立場は積極的に行かないと。失うものはないので、初球がストライクなら打つ、初球から走れるなら走る。それだけです」

 ファームでは134安打でイースタン最多安打記録を塗り替えた「天才」が、新しい原巨人の方向を示した試合でもあったのだ。

昨年のドラ1・鍬原が好投。

 秋のエキシビションマッチという試合の性格もあったが、この試合では松原だけではなく8回に代打起用された石川慎吾外野手が中前タイムリーを放った。

 投手では先発の高田萌生投手が3回で7失点、2番手の左腕・大江竜聖投手も2回で2安打1本塁打を浴びるなどしたが、9回にマウンドに上がった昨年のドラフト1位・鍬原拓也投手は、キレのあるストレートを披露してMLB打線を3人でピシャリと抑えるなど、来季への階段を確実に登ってみせている。

育てるためには補強が必要。

 就任以来、大型補強ばかりが話題になるが、「勝つことがファーストミッション」と語る原監督には、持論がある。

 それは「育てるためには補強が必要だ」ということだ。

 勝つという前提の中で、例えば打線ならば投手を除いた8つのスポットの7つをしっかり固めれば、最後の1枠には我慢して若い選手を使い続けられる。ただ7つのスポットがなかなか固まらない状況だと、8つ目の打順でもそのときどきの調子のいい選手を使わざるを得なくなる。

「育てるためにこそ補強は必要なんだ」

 第2次政権の時に坂本勇人内野手が急激に成長してきた裏側には、アレックス・ラミレス外野手や小笠原道大内野手ら補強で獲得した主力選手たちの“保護”があった。

 彼らが打線の中軸を支え、ガンガン打ちまくったことで、若い坂本は調子が落ちたときにも先発で起用されて、そこから現在がある。

 しっかりしたチーム、打線を作ることこそ、若い選手が育つ環境を整えることになる。そこからしかチーム再建の道はないということなのだ。

坂本の後継者育成もテーマ。

 巨人は4年連続で優勝から遠ざかっている。そのチームをどう勝利に導きながら、再建を果たすのか。

 特に打線は阿部慎之助捕手や長野久義外野手、亀井善行外野手ら主力選手が高齢化し、坂本の後継者育成も大きなテーマになっている。巨人はいま、明らかに世代交代の波の中にいるのである。

 その波を受けながらどうチームを作り直すのか。大型補強と若手戦力の堀り起こしという原巨人が歩みだした2つの道が融合した先に、再建の答えがある。

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