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田中、ダル、前田が挑む世界一!日本人のポストシーズン快投史。

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インディアンスは昨年のア・リーグ覇者であり、今季も9月に22連勝を記録。その勢いを止めた田中の功績は大きい。 © photograph by AFLO インディアンスは昨年のア・リーグ覇者であり、今季も9月に22連勝を記録。その勢いを止めた田中の功績は大きい。

 田中将大が10月8日のア・リーグ地区シリーズ第3戦でインディアンス打線を7回3安打無失点に抑えたパフォーマンスは、ポストシーズンに登板した日本人投手の中で過去最高に匹敵するぐらい圧倒的だった。翌9日にはダルビッシュ有(ドジャース)もナ・リーグ地区シリーズ第3戦のダイヤモンドバックス戦で5回2安打1失点と好投して初勝利を挙げている。

 田中の好投によってインディアンス打線の勢いは止まり、ヤンキースはそこから3連勝して逆転でア・リーグ優勝決定シリーズ進出を決めた。一方のドジャースはダルビッシュの好投により、3連勝でナ・リーグ優勝決定シリーズ進出を決めている。

 日本人投手がこんなに活躍するポストシーズンは久しぶりのことだ。

野茂、伊良部、吉井らはポストシーズンで苦闘。

 日本人投手で初めてポストシーズンに登板したのは、野茂英雄(当時ドジャース)だった。

 野茂は新人ながらオールスターゲームの先発投手を務めるなど活躍し、新人王となった1995年にポストシーズンに出場。レッズとの地区シリーズ第3戦に先発して5回7安打5失点で負け投手になった。翌1996年もブレーブスとの地区シリーズに先発し、今度は3回2/3を投げて5安打5失点でやはり敗戦投手になっている。

 1999年には2人の日本人投手がポストシーズンで登板。ヤンキースの伊良部秀輝(故人)はレッドソックスとのア・リーグ優勝決定シリーズ第3戦に救援で登板し、勝敗こそつかなかったものの4回2/3を投げて13安打8失点(自責点7)と打ち込まれた。

 メッツの吉井理人(現・北海道日本ハム投手コーチ)は、ナ・リーグの地区シリーズと優勝決定シリーズの初戦にそれぞれ先発するなど計3試合に登板し、13回15安打8失点で0勝1敗、防御率5.54という結果だった。

 日本人投手はこの時点で3連敗。それを止めたのは松坂大輔(当時レッドソックス、現・福岡ソフトバンク)だった。

最多勝利は松坂の3勝、黒田も2勝を挙げている。

 松坂はメジャー初年度の2007年のポストシーズンで4試合に先発し、エンゼルス相手のア・リーグ地区シリーズ第2戦で4回2/3を投げて7安打3失点と勝敗つかず(チームは勝利)。インディアンスとのア・リーグ優勝決定シリーズ第3戦では4回2/3を投げて6安打4失点で敗戦投手となり、日本人投手のポストシーズン連敗記録を4試合に伸ばしてしまった。

 だが、シリーズ3勝3敗で雌雄を決する第7戦にも先発すると、5回6安打2失点と粘投を見せて、ポストシーズン日本人初勝利を記録。さらにロッキーズ相手のワールドシリーズ第3戦でも5回1/3を投げて3安打2失点で、今のところ日本人の先発投手としてはワールドシリーズ唯一の勝利投手になっている。

 松坂は翌2008年のレイズとのア・リーグ優勝決定シリーズ初戦でも先発し、7回4安打無失点でポストシーズン3連勝。同シリーズの第5戦にも登板して今度は4回5安打5失点と打ち込まれ(チームは勝利)、レッドソックスが同シリーズで3勝4敗で敗れたために印象が薄まってしまったものの、冒頭の田中に匹敵する好投だった。ちなみに松坂のポストシーズン3勝は今も日本人投手の最多記録である。

 同年はナ・リーグ地区シリーズ第3戦で黒田博樹(当時ドジャース)が、カブス相手に6回1/3を投げて6安打無失点の好投で、日本人投手ポストシーズン4連勝を記録した年でもある。

 黒田はフィリーズとのナ・リーグ優勝決定シリーズ第3戦でも6回5安打2失点で勝利投手になり、日本人投手のポストシーズン連勝記録を5に伸ばした。なおヤンキース時代の2012年にもオリオールズ相手のア・リーグ地区シリーズ第3戦で8回1/3を投げて5安打2失点と好投しているが、この時は勝ち星がつかなかった。

大魔神・佐々木、大塚、斎藤隆は救援で結果。

 日本人投手のポストシーズンにおけるパフォーマンスと言えば、決して忘れてはならないのが救援投手の活躍である。

 最初に活躍したのは「大魔神」こと、マリナーズの佐々木主浩だった。佐々木は新人だった2000年と、イチローにとってのメジャー初年だった2001年にポストシーズンで登板し、1年目は4試合4回2/3を投げて無失点で3連続セーブを挙げるなど大活躍。2年目はヤンキースとのア・リーグ優勝決定シリーズ第4戦に投げて1/3回2安打2失点で敗戦投手になっている。

 2005年には大塚晶則(当時パドレス)がカージナルスとの地区シリーズ3試合に投げて1失点で勝敗、ホールド等は付かなかった。

 2006年には斎藤隆(当時ドジャース)がメッツとの地区シリーズで2試合2回2/3に投げて無失点。2008年にもカブスとの地区シリーズに投げた。彼はレッドソックスに移籍した2009年にも地区シリーズのエンゼルス戦に登板しているが、それら最初の4試合ではいずれも勝敗、ホールド等が付かなかった。

 だがブルワーズに移籍した2011年、ダイヤモンドバックスとの地区シリーズ第1戦で1回1安打無失点と好投して、日本人の救援投手で初めて勝ち星を記録。同年はカージナルスとのリーグ優勝決定シリーズまで計6試合7回を無失点、1勝2ホールドと目立った。

岡島、上原、田澤が見せたハイパフォーマンス。

 佐々木、大塚、斎藤の後に続いたのは、岡島秀樹(当時レッドソックス)だった。

 岡島は2007年からの3年間で、今も日本人救援投手としては最多の21回1/3を投げて5失点。2007年のインディアンスとのア・リーグ優勝決定シリーズ第7戦からロッキーズとのワールドシリーズでの3試合、翌2008年のエンゼルスとのア・リーグ地区シリーズ第2戦まで5試合連続でホールドを挙げている。岡島のポストシーズンでの通算8ホールドは今も日本人投手最多記録である。

 もっとも記憶に新しい日本人救援投手のパフォーマンスと言えば、2013年のレッドソックス日本人コンビ・上原浩治(現・カブス)と田澤純一(現・マーリンズ)である。

 上原はレンジャーズ時代に2回1/3を投げて5安打3本塁打と打たれて苦い思いをしているが、レッドソックスに移籍した2013年にクローザーに抜擢されると、レイズとのア・リーグ地区シリーズ第2戦で1回2三振と完ぺきに抑えて初セーブを記録。

 続く第3戦では同点の9回2死からサヨナラホームランを打たれて敗戦投手になったものの、第4戦の8回2死から登板して1回1/3を投げて無失点で2セーブ目を挙げてすぐさま立ち直り、タイガースとのア・リーグ優勝決定シリーズ第6戦、カージナルスとのワールドシリーズ第6戦とそれぞれシリーズ最後のマウンドに立って胴上げ投手になった。

13試合1失点、ワールドシリーズ優勝という離れ業。

 計13試合13回2/3を投げて1失点という2013年の上原のパフォーマンスは、彼がリーグ優勝とワールドシリーズ優勝時に2度も胴上げ投手になったという事実だけでは収まらない。ア・リーグ優勝決定シリーズの最優秀選手を受賞したことで、日本人選手としては2009年のワールドシリーズ最優秀選手賞に輝いた松井秀喜に匹敵するぐらいインパクトのあるものだった。

 なお上原のポストシーズン通算7セーブは、前出の佐々木をしのぐ日本人過去最多であり、自分1人で達成できる数字ではないことを考えれば、今後これを破る選手はなかなか現れないのではないかと思う。

ダルビッシュと田中はワールドシリーズで勝てるか?

 そんな圧倒的なパフォーマンスの上原の陰に隠れてしまうが、当時レッドソックスのセットアッパーの1人として活躍した田澤のパフォーマンスも日本人選手の中では抜き出ている。

 田澤はトミー・ジョン手術から完全復活した2013年、先発から救援に完全転向。上原への橋渡し役として同年のポストシーズンでも様々な場面で起用され、計13試合に登板して7回1/3を投げて1失点、1勝6ホールドで前出の岡島に次ぐ好成績を残した。

 とくにタイガースとのア・リーグ優勝決定シリーズでの“三冠王”カブレラとの3度の対戦では、試合終盤の勝負どころで空振り三振と内野ゴロ2つと完ぺきなパフォーマンスを見せた。

 今年はダルビッシュと田中がともにワールドシリーズに進出する可能性がある。そうなれば、松坂以来となる史上2人目の日本人の勝利投手が誕生するかも知れない。

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