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菅野智之vs.米国の強力スラッガー。禁断の球種、ケンカ腰解禁で勝負!

Number Web のロゴ Number Web 3日前 鷲田康
MLBのスカウトも注目している菅野のピッチング。黒田博樹と同じか、それ以上の活躍を期待できる、という声も。 © photograph by Koji Watanabe/SAMURAI JAPAN via Getty Images MLBのスカウトも注目している菅野のピッチング。黒田博樹と同じか、それ以上の活躍を期待できる、という声も。

 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の準決勝、日本対米国戦は米時間21日午後6時(日本時間22日午前10時)に、いよいよ熱戦の火蓋が切って落とされる。

 2大会ぶりの世界一奪回を目指す日本代表「侍ジャパン」は19日(同20日)の夜にアリゾナから決戦の地・ロサンゼルス入り。試合前日の20日(同21日)は午前10時からドジャースタジアムで最終調整を行った。

 日本の先発はエースの菅野智之投手(巨人)、一方、アメリカは昨年16勝をあげている右腕、タナー・ロアーク投手(ナショナルズ)と発表された。

米国代表の打線は、全員メジャーリーガー。

 気温15度。灼熱のアリゾナから一転、少し肌寒さを感じるドジャースタジアムの外野の芝生の上で、菅野は遠投を繰り返した。

 登板前日のルーティン。やるべきことはやり切って、後は勝負のマウンドに上がるだけだ。

 2年連続で本塁打王に輝くノーラン・アレナド(ロッキーズ)や通算225本塁打のアダム・ジョーンズ(オリオールズ)、同208発のジャンカルロ・スタントン(マーリンズ)ら1番から9番まで全員メジャーリーガーが並ぶ米国打線。

「(アメリカ打線は)全員が知っている名前の選手ばかり。ただ相手がどうこうではなく、まず自分のピッチングをすること。背伸びせずにしっかり準備してきたことをやりたい」

 エースは静かに闘志を燃やした。

 不完全燃焼に終わった東京ラウンドのピッチング。特に14日の2次ラウンドのキューバ戦では、ストレートは150キロを計時したが、決め球のスライダーの制球が甘くなったところを痛打された。

米国戦でのリベンジに込めた秘策とは?

「できれば6回まで」と意気込んでマウンドに上がったが、結果的には4回を投げて74球を費やし7安打4失点で降板した。

「(東京ラウンドは)個人的には不本意なピッチングだったので、リベンジのチャンスを与えられて嬉しい。1週間の調整期間の中で大きく変えることはできないので、今までの反省を踏まえてやっていくのが一番だと思っています」

 前日にアリゾナで行われたドジャースとの強化試合の前にブルペンに入った。63球を投げ込んだが、そのピッチング内容に菅野の反省と米国戦でのリベンジへ向けた秘策が込められている。

「選択肢の中に入れておけば有効だと思う。まずまずでしたね」

 こう自己評価したのが、6球投げたフォークだった。

封印していた「フォーク」を、ついに解禁する!

 大学時代からフォークは持ち球の1つで、プロ1年目には試合でも投げていた。しかし、2年目に肘を痛めたこともあって封印。その後はワンシームなど肘に負担の少ない球種を軸にして、逆にフォークはほとんど投げなくなっていた。

 そのボールを解禁する。

 150キロの真っ直ぐに鋭いスライダーが武器の菅野だが、米国の強力打線を抑え込むためにはもう1つ必要なのが縦の変化だ。

 キューバ戦でも数球投げたが、改めてパワー系のスラッガーには有効である手応えを得ている。加えて縦の変化を見せることで、最も得意なスライダーの横の変化もさらに有効になるという相乗効果も期待できる。

「あると思わせるだけでも効果はある」

 投球の組み立ての幅を広げるために禁断の球種の“解禁”に踏み切った。

 そしてもう1つがインハイの真っ直ぐだ。

「デッドボールでぶつけた方がいいくらいの覚悟で」

「手が伸びるところは強い。いかに窮屈に見せるかということを意識して投げたい」

 前日のブルペンでも右打者の胸元を意識したストレートを丹念に投げ込んでいる。もちろん内角を意識させることで、外のスライダーやフォークを生かす目的だが、大切なのはそこに投げ切る勇気をいかに持てるかなのだろう。

「(内角を)ガンガン攻めていきたい。ホームランを打たせるなら、デッドボールで一発、ぶつけた方がいいぐらいの覚悟でやりたい」

 制球に自信があるからこそ、逆に飛び出したセリフだったが、ケンカ腰にこう語る姿には、気持ちでは絶対に負けないという思いが込められていた。

「甘いボールは打たれるし、いいボールはしっかりいい結果につながる。当たり前ですがムダな四球を出さない、先頭打者をしっかり切る、ツーアウトから長打を食わない、とか気をつけることはある。

 ただ、ムダな四球を出さないと言っても、2死三塁ならあと2つ四球を出しても3人目で抑えればいい。

 そのぐらいの気持ちで、とにかくどんな形でも0点に抑えることしかない」

 菅野は米国戦で求められるピッチングをこう表現した。

日本の打者が苦手とするタイプの投手。

 米国先発のロアークは球速150キロ前後で、打者の手元で動く真っ直ぐが武器。

 力任せのパワーピッチャーではないが、ツーシームにスライダー、カーブなどの球種もあって日本の打者が苦手とするタイプの投手だ。

 それだけにゲームの序盤はしのぎ合いとなる公算が高く、先発の菅野にかかる比重も大きくなる。

一番いい投手ということで……彼に託した。

「打線がどうのこうのというより、まずは先発がある程度、試合を作ってくれることが必要になる」

 こう語る小久保監督は菅野を先発に指名した理由をこう説明した。

「(菅野に先発を)伝えたのは(日本を発つ前の)成田(空港)の待合室。いま日本で、(代表に)選んでいる中で一番いい投手ということで彼に託そうと思った」

 迷いはなかった。

 試合は完全アウエーの中で、バリバリのメジャーリーガー軍団との戦いだ。

「勝機がある、ないに関係なくやるのが戦(いくさ)。そういうつもりでやります」

 まず、序盤をエースがどんな投球で立ち上がるか。そこから勝機は生まれるということだ。

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