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菊池雄星、米1年目のキャンプイン。最終的にはエースになる存在か?

Number Web のロゴ Number Web 2019/02/12 17:00 笹田幸嗣
マリナーズと最大7年の変則契約を結んだ菊池雄星。入団会見では挨拶から質疑応答まで、ほとんど英語でこなした。 © photograph by Kyodo News マリナーズと最大7年の変則契約を結んだ菊池雄星。入団会見では挨拶から質疑応答まで、ほとんど英語でこなした。

 マリナーズに移籍した菊池雄星は、12日(日本時間13日)のキャンプインを前にアリゾナ州ピオリアのキャンプ施設で内容のある練習を続けている。

 3日に渡米。空路アリゾナ入りした左腕は「ちょっと時差ボケ。体は飛行機移動でガチガチ」と笑いながら、翌日からマリナーズ・カラーの練習着に身を包み米国での自主トレを開始した。高校入学以来、12年間目指し続けてきた憧れの地での第一歩。自然と目は輝いた。

「素晴らしい環境で野球が出来るなっていう喜びを感じています。新しいチームメートだったり、そういう方々とお会いすることで、いよいよ始まるんだなという気持ち。このシアトルのマークを付けながらやるというのは身の引き締まる思いです」

 5日にはキャンプ地入り2日目にして、さっそくブルペン入りも果たした。直球、スライダー、カーブ、チェンジアップの全球種29球を投げ「凄く軽め。6、7割の力」とは言うものの、糸を引くように伸びる直球は捕手のミットを叩き、乾燥したアリゾナの空に響き渡った。

 それだけでなく、スライダーは横滑りしながら低めに集まり、チェンジアップは直球同様の軌道からスッと沈んだ。

初投げで見せた高い技術と意識。

 誰が見ても調整、仕上がりは順調。だが、よく考えてみれば今、ここで投げているのは異国から海を渡ったメジャー1年目の投手だ。

 日本の野球環境とはマウンドもボールの質も気候も違う。その初投げで、自分の思いのままにボールを投げる27歳の高い技術と意識に唸らされた。

「どれだけマウンドが固いのかと気にしていましたけど、あまり日本と大きく変わらないというところは安心しました。あまり違和感はないかなと。ボールも(ずっと)同じ球で投げましたし、試合とは違う状況でしたけど、今のところ問題はないかなと思います」

踏み出す足の幅は日本と一緒。

 伝え尽くされた話ではあるが、過去、多くの日本人投手は硬く、傾斜のきつい米国のマウンドに苦労を強いられてきた。環境の違いから技術的なアジャストを求められ、踏み出す足の幅を狭める改善を求められた。

 ステップ幅を狭めればイメージは変わり、当然リリースポイントも変わってくる。そこに滑りやすいボールが大きくのしかかってくる。

 だが、菊池はサラリと言った。

「歩幅は日本と一緒でしたね。そこも気になっていたんで。一緒で行ける。あとは力を入れればもうちょっと広がると思います」

メジャーに適した投球フォーム。

 この日は6、7割の力で6歩半。最終的には7歩を目指すと言う菊池は初ブルペンで当面の不安を解消したわけだが、そこには彼が地道に築き上げて来た確固たる技術があった。

 菊池の投球フォームは股関節を軸とした縦軸回転で真上からボールを投げ下ろす。その上でマウンドに着地する右足はソフトランディングで土をとらえる。

 過去、1年目から大活躍を収めた先駆者・野茂英雄(ドジャース)、大塚晶則(パドレス)、岡島秀樹(レッドソックス)らと同様のこの技術は、メジャーの投手環境に最も適しているとされる。

 菊池は高校時代からメジャーを目指して来た。そのために12年の年月をかけ、メジャー流の技術を意識し、磨いてきたのか。そんな取材側の思いをぶつけると彼はこう答えた。

「メジャーを意識してフォームを作ってきたわけではないですよ。ひとつずつ、ひとつずつです。それは今も変わりありませんが、昔と比べればアメリカの情報も入りやすい時代ですよね。(米球界に挑戦した)土肥さん(昨季までの西武投手コーチ)からアメリカの考えもいろいろ聞いていましたし」

 自身の準備はサラリとしまい込みながら、周囲への感謝も何気なく口にする。謙虚に言葉を選ぶ姿と合わせ、彼の人となりを見たような気がした。

今季期待の新戦力トップ5。

 菊池は7日にも2度目のブルペン入りを果たした。全球種36球を投げ「どの球種も良かったです」と、さらに自信を深めた。

 その一方で順調だからこそ「今の時点のことであって、打者が立ってからどうなるか。そこですね」と、先を見据えた。

 米国の経済誌フォーブスは「今年期待の新戦力トップ5」と題した特集で菊池の名を取り上げた。

 また、全国紙USA TODAYは「2019年、MLBで知っておくべき100選手」の記事の中で4位に選び「最終的にはエースになり得る存在である」とリポートした。

 前途洋々。菊池雄星のメジャー1年目のキャンプがまもなく始まる。

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